- 日時: 2014/06/16 19:42
 - 名前: バサルモス愛好家 ◆QA49JpLa4c (ID: .QBKeDaJ)
 
 〜第三章〜「クンチュウ」
  それからボクは、走って、走って、走りまくった。 どれくらいの時が過ぎただろうか。 走るのをやめても、走る感覚が体に伝わる。
  「疲れた…。」
  ボクは岩にもたれかかった。
  ―――――まだ涙は止まってなかった。
  そして、また泣いた。
  『これが夢なら良いのに』
  心の中の自分が、どこかで言った。
  懐かしい思い出が胸をつたる………が、 過ぎ去った物は帰ってこなかった。それは悲願しても変わりようがない。
  そんな時、ボクは懐かしい童話を思い出していた。 これは確か、お父さんから聞いた話だ。
  『―――――その少年はモンスターと心を通わせ合うことができ、自由にあやつる事ができた…。そして物凄い技術力で 新しい家と防具を作りました…。』
  ボクの記憶はここまでだった。 思い出したっても、六年くらい前だもんな…。
  「ボクも…。こんな風になりたい…。」
  そんな時、まだ夕方なのに空に流れ星が走った。 橙空に輝く光の星が、美しく瞬いてゆく。
  「綺麗……。」
  そんな時。
  「キィィィ!!!」
  甲高い虫の様な鳴き声が聞こえ、瞬間的にボクは思わず声が聞こえる方へと目を向けた。
  ――――イャンクックが一匹、小さなクンチュウが一匹。
  イャンクックは巨大なクンチュウを二匹同時にくわえている。
  大小のクンチュウ三匹から連想して、親子だろう。
  そしてイャンクックは父らしきと母らしきクンチュウをくわえると空へと飛び去っていった。 その時、ボクは直感的にクンチュウに話しかけた。 虫なのに抵抗はなかった。 ―――――君も、ボクと仲間みたいだね…。
  END..また次回に。  |