- 日時: 2013/10/03 22:01
- 名前: シンラ (ID: ZxQdJ8RU)
第4話「旅立ち」 気がつくと、クルトはベットで寝かされていた。 「ここは・・・・・・・レイの家?」 「やっと目ぇさめたか、この馬鹿。」 答えたのはレイと呼ばれる青年だった。武器はバベル、防具は蒼火竜の素材でできたリオソウルと呼ばれる防具だった。どちらもクルトには手の届かない上位ハンターの装備だった。 「馬鹿とはなんだ!」 「馬鹿を馬鹿と言って何が悪い。」 「ふざけんな!!」 「それだけ叫ぶ元気があれば、怪我はほとんど治ったかのう。」 今にもレイに殴りかかりそうなクルトを村長が一声で収めた。 「村長、居たのかよ・・・・・・・・ってそうだ!ジンオウガは!?」 「安心せい。ジンオウガはレイが討伐した。後、クルペッコもな。それにお前さんをここまで運んできたのもレイなんじゃぞ。」 「うっ」 クルトはジンオウガに叩きのめされた。しかしレイは、楽に狩ったかどうかは知らないが、少なくとも、ジンオウガを一人で狩猟するだけの力がある。その事実がクルトに重くのしかかった。 無理もない。クルトは下位ハンター。レイは上位ハンターなのだ。そのことにも、クルトは苦しめられる。 「・・・・・・・・・村長・・・・・・・・・・・・。」 「何じゃ。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すまなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 クルトの口から出る言葉はそれでせいいっぱいだった。しかし村長は、 「がっははははは!!!なに、そう気を落とさんでもいいわい。お前さんが無事だっただけで十分じゃ!!のう、レイ。」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 レイは黙っていたが、微かにうなずいたのを村長は見ていた。そして、 「のう、クルトや。」 「?」 「お前さん、しばらくここを離れてみてはどうじゃ?」 「なんだ?やっぱり弱っちいハンターはこの村にいらないってか?」 クルトは心情とは裏腹に、笑いながら答えた。しかし、 「そうではない。ここは街からも遠く、クエストの数も少ない。いっぺん修行と気分転換のためにどうじゃ、といっておるのだ。」 「・・・・・・・・・・」 「それに、お前さん、悔しいんじゃろ?ジンオウガにやられたことと、レイにまた助けられたことが。」 「わかるのか?」 「お前さんのことなど、手に取るようにわかるわい。何年お前さんを見てるとおもってるんじゃ。」 「でも、村はいいのか?俺以外に村にハンターは居ないだろ?」 「それなら、レイが居てくれることになってな。」 「マジかよ!」 「実はこの話を持ちかけたのはレイなんじゃ。あいつがすでにいろいろ手配してくれとるらしくてのう。後はお前さんの返事だけじゃ。」 クルトは驚いた。子供のころ、喧嘩ばっかりしていたレイが自分のために何かするなんて、考えてもいなかった。当のレイは壁にもたれかかっていたが、不意に口を開き、 「お前があまりにも情けない姿だったから、仕方なく、だが。」 「で、どうなんじゃ、クルト?」 クルトはしばらく考えていたが、 「・・・・・・・・・・分かった。ただ、次帰ってくるときは俺も上位ハンターになってるからな!」 「がっはははは!!頼もしいわい!それじゃ、さっさと身支度せい。3日後には船が来るぞ。」 「早!それに手配してるんだったら、目的地も決まっているんだろ?どこなんだ?」 「ああ、それなら、」 村長が言おうとした言葉をレイがさえぎりこういった。 「タンジアの港だ。」 「ああ、確かレイもそこにいたんだったな。どうりで手配が早いはずだ。よし。じゃあ荷物の整理してくるぜ!」 そういうと、クルトはベットから跳ね起きると、自分の家にかえってしまった。」 「はは、威勢がいいわい。・・・・・・・・・・・・・・それより・・・・・・・・・・・・・レイ、古龍がこの村の下にいると言うのは本当か?」 「厳密には分からないが、確かにこの村の近くの海に奴はいる。」 「奴とは?」 レイはしばらく黙ったあと、こう言い放った。 「ナバルデウス亜種だ。」
そして3日後、クルトの迎えの船が来た。 「じゃあみんな、行ってくるぜ!」 クルトの目は期待と未知への憧れでかがやいていた。 |