- 日時: 2014/01/11 14:05
- 名前: 片手拳 ◆EBwplS/Cbs (ID: WUTXFbiQ)
今年初の小説であります!
〜第十二話「お見舞い」〜
目を覚ますと、私はベッドの上に寝かされていた。 痛みはない。 だが、傷はまだ治療中のようで、全身に包帯がぐるぐると巻かれているような感触を感じる。
私は右腕を上げようとしてみた。 動いた。以前と同じように、上がる。 モンスターとの戦いで折れたはずだが、元通りの形に繋がっている。 何日寝ていたのかは分からないが、この分だとあと一週間もあれば元に戻るだろう。
ベッドの横には椅子が置かれており、治療を担当していると思われるギルドの救護施設職員が座っている。 「あら、気が付いたみたいですね」 職員が声をかけてくる。 「はい。ちゃんと繋がってて、安心しました」 「……まだ身体はあまり動かさないほうがいいですよ。繋がりかけですから」 私は右腕を下ろした。 「そうそう、今のうちにもう少し眠って、休んでおいたほうがいいですよ。その方が速く治りますから」 それではお言葉に甘えて、もう一眠りするとしよう……。
どれほど眠っただろうか……。 「ハンターさん、起きてええええ〜!」 私は甲高い大きな声と共にゆさゆさと身体を揺さぶられて目を覚ました。 「……ふあっ!?」 びっくりして間の抜けた声を出してしまった。恥ずかしい。 私の顔をあどけない顔の少女が覗き込んでいる。十歳程だろうか。 少女はウルク装備を着ているらしい。って事はハンターだよな……。 背中にはハンマーと思われる紺色の地に緑色の模様が入った武器を背負っている。 いかにも堅そうな質感だ。何かのモンスターの甲殻でできているらしい。
「ハンターさん、起きた!」 少女が当たり前の事を叫ぶ。 あれで起きない方がおかしいだろ……。 少女は続ける。 「そうそう、ハンターさん!」 「何?」 そもそも誰だよ、この娘……。 「お兄ちゃんから聞いたけど、ハンターさんに、大事なお知らせがあるんだって!」 こんな妹がいる知り合い、居たっけな……。
その時、部屋にもう一人、男ハンターが入ってきた。 ゴア装備にエイムofトリック。あの時の人だ。 ゴア装備の人は少女と話し始めた。 「リンカ、遅くなってゴメン!」 「もうお兄ちゃん、遅いよ〜」 なるほど、この人の妹か。リンカって名前なんだ。 ……まずい、まだゴア装備の人の名前を聞いていなかった。 名前を聞いていないのは向こうも同じだ。
「あの、ところで、あなたのお名前は……?」 私はゴア装備の人に尋ねた。ゴア装備の人が答える。 「俺はユータ。よろしくな!君は?」 「ナナミ。よろしくね〜」 テンションを上げて返したいが、この辺が限界だ。
〜第十三話につづく〜 |