- 日時: 2014/01/11 18:04
- 名前: 片手拳 ◆EBwplS/Cbs (ID: WUTXFbiQ)
〜第十三話「ギルドからの通達」〜
「それでね、ナナミさん」 リンカがアイテムポーチから封筒のような物を取り出しながら言った。 「この手紙を渡して、って頼まれたの!」 いちいち声がデカい……。
「リンカちゃん、ありがとね」 私は封筒を受け取ると、中から紙を取り出して、読み始めた。
『こちらの手違いで、狩場に恐暴竜イビルジョーが出現する事を予測できず、下位クエストとして掲載してしまった、誠に申し訳ない。 お詫びに、護石を差し上げよう。封筒に入っているはずだ。 下位ハンターでありながら恐暴竜と対峙し、パーティーメンバー全員を無事生還させた功績により、上位昇格試験を受ける許可を与える。 上位昇格試験の内容は抽選で決定するので、十月九日朝九時にギルドのハンター登録受付に集合すること』
要約するとこう書かれていた。
封筒には黄緑色の小さなお守りのようなものが入っていた。 効果は分からないが、とりあえず持っていることにしよう。
私は一つ気になることがあるのでユータに尋ねた。 「……今日って何日だっけ。眠ってたから日付を覚えていなくて」 「十月八日だが」 「えっ、あと一日しかないじゃん。どうしよう……」 「……」 黙り込む二人。答えようがないといった表情をうかべている。
そこへ、先日の施設職員が入ってきた。 「そこのお二方、面会は五時までですよ〜」 部屋の壁に掛かっている時計を見ると、四時五十八分をさしている。
「それじゃ、俺ら、そろそろ帰るわ」 「ナナミさ〜ん、また明日!」 ユータとリンカは部屋を出て行った。 (ん?今、リンカちゃん、『また明日』って言わなかった!?) あの二人、明日も来る気なのか? ユータはともかく、リンカのあのデカい声はどうにかならないのだろうか。
他に考えられるとしたら、もしかして……。 ……まさかね。
〜第十四話につづく〜 |