- 日時: 2014/03/23 10:53
- 名前: 片手拳 ◆EBwplS/Cbs (ID: uEqNVni5)
久しぶりに小説いきます。
〜第十七話「斬れなくたっていい・中編」〜
……ドギィィィィィン!
大きな金属音が響いた。 ドスランポスの体重が乗った跳び蹴りが構えた盾に直撃した。 一般人なら即死する威力だろう。当たりどころが悪いとハンターでもケガは避けられない。
その衝撃で私は少し体勢を崩してしまった。 早く立て直さなければ……。
ドスランポスの本来の狙いは跳び蹴りで私を仕留める事ではなかったようだ。 ドスランポスは片足を地面に付け、もう片方の脚で私の背中を踏みつけた。 私に逃げられないよう体重をかけてくる。
元からないよりマシな程度の防具である。強度の限界を超えてしまったようだ。 防具の背面が裂けはじめた。
うつぶせでは反撃もままならない。そもそも相手が見えないのだ。 当てずっぽうにハンターナイフを振り回す。 ガキン! ドスランポスの口に当たった。ドスランポスは私に噛み付き、喰いちぎろうとしていたようだ。 音からして、刃が欠けたようだ。 ただ、ドスランポスの歯も欠けたかもしれない。そんな手ごたえだった。
ドスランポスはもう一度私に噛み付こうとした。 何とか大きく身体を捻って躱す。 そして、両手でドスランポスの頭を掴み、右眼に拳を叩き込んだ。
「グエッ!グゥゥゥ!」 凄まじい痛みだったようで、ドスランポスは私の背中を踏みつけていた脚を浮かせ、後方に大きく跳び退いた。
私も立ち上がり、回復薬を飲み干しながら、先程欠けたハンターナイフの刃の状態を確認する。 数か所が大きく欠けており、研いだ所でまた斬れるようになるとは思えない。
……だが、斬れなくたっていい。 ダメージを与えられさえすれば。 相手も片眼を潰されているのだ、もしかすると、こちらの方が多少有利かもしれない。 刃がガタガタのナイフも、鈍器として使えば、攻撃力は多少落ちるが、使えない事もないだろう。
「グルオオオオッ!グルゥ!」 ドスランポスはもう一度ランポスをけしかけているようだ。
もう一度言うが、ドスランポスは右眼を潰されている。 (ランポスを始末して、あいつの右側に入れば、この勝負、貰ったも同然だ……!) 私は脚に力を込め、走り出した。
〜第十八話につづく〜 |