- 日時: 2014/03/28 23:58
- 名前: 翼の勇車 (ID: BjvmUIHn)
まちきれん! 更新します!!
第七話〜芸人〜
出てきたドスゲネポスは、たった今アプケロスを倒したゲネポス達を見回すと、ギャオウッと鳴き声を上げた。それを聞いたゲネポス達は顔を見合わせると、一斉に餌にありつき始めた。 「へえ、部下に先に食べさせるなんて。相変わらず心が広いねえ」 ギザミがのんびりとそんなことを言っていると、食事をしていたうちの一匹が一塊の肉をドスゲネポスに差し出した。 ギャオッと嬉しそうに鳴いたドスゲネポスはその肉をゆっくりと食べはじめる。ゆっくりとは言ってもそんなに多いわけではなく、あっという間に平らげると大股で歩き始めた。 「よし行こう。ゲネポスがまわりにいない時がいいしね」 そう言うとゆっくりと前進を始めるギザミ。いよいよご対面みたいだ。ネオも、 「どんな奴かにゃぁ」 と楽しみにしていたようだ。 「おーい、ゲネッポー」 ある程度近づいてから、ドスゲネポスに声をかけるギザミ。というかゲネッポて……。 「しーあわっせはー、あーるいってこーない、だーからあーるいて……って、その声はザザヤン!」 うわあ……、遠くから見てても十分変わってたけど、声聞くとさらに……というかギザミのことザザヤンって呼んでるのね。 「うん、久しぶりー。元気してた?」 「それはこっちのセリフや! こっちの大陸きたはええねんけど、群れのリーダーなんか初めてもうたさかい、全然そっちに行く機会が無くて困っとったんやで!」 うん、すごい親しみやすそうな人(モンスター)っていう印象を受けた。 「ところで……」 ドスゲネポス改めゲネッポは私の方を見てから、顔をギザミによせた。 「このべっぴんさん、ザザヤンの《コレ》かいな?」 そういって小指と思われるツメを立てて見せていた。 「「へ?」」 一瞬意味がわからず、ギザミと私は同時にすっとんきょうな声を上げてしまった。そしてその意味が分かった時、 「「いや無い無い無い無い!」」 「あっはっは、冗談や冗談!」 うう……ちょっと意地悪な人。ちなみにネオは、ヤドを叩いて爆笑中。 「とまあ冗談はおいといて、何しに来たん? ただワイに会いにきただけやないやろ。いうてみ?」 「う、うん。実は、今ゲネッポはギルドに目をつけられちゃってるみたいなんだ。だから、多少目立つ行為は避けておいた方がいいかなって、カスケが……」 「……天性の芸人のワイに、目立つなとは随分と酷なこといいまんな、カスヤンは。まあ背に腹はかえられぬっていうさかいな、これから気をつけますわ」 カスケさんがすごい名前で呼ばれた気がしたけど、分かってもらえてよかった。またネオが爆笑している。 「せや、せっかく来たんやし、群れの連中にも紹介さしてもらえん? 砂漠での採取クエとか、楽になると思んまっせ」 なんでも、砂漠での依頼は群れぐるみで手伝ってくれるそうだ。本当にありがたい。 「ワイもカスヤンに散々世話になっとるさかい、こんなことは朝メシ前ですわ」 なんと心強い言葉。これなら大型モンスターとの戦闘でも……。 「いやいやいや! 採取クエならウェルカムウェルカムだけんども、流石に大型モンスターとの戦闘はカンニンしてや。ワイらは戦術は自信あるけども、パワーは無いんですわ。そういうのはザザヤンの仕事や」 まあ、小型モンスターからの護衛くらいはやってくれるそうなので、心強いことに代わりは無い。 「ありがとうございます、ゲネッポさん」 「やめてえなミズネエ。これはゲネポスなり、いや芸人なりの仁義や。気にせんといてな」 |