- 日時: 2014/03/30 20:06
- 名前: 翼の勇車 (ID: bMHDJrWl)
更新しようかなっ♪
第十二話〜初めての……〜
「お、お兄ちゃん、なんか知らない人がいるよぉ」 「紹介するって言ってるだろ。ほら早く」 お兄ちゃん? イャンクックとイャンガルルガは別種のはずだけど……。 「あ、ああ。コイツは俺の兄弟のルカ。まあ、兄弟つっても義理のだがな」 ああなるほど、義理か。それにしても、イャンガルルガって気性が荒いって聞くけど、ルカ君はここにいる誰よりも気弱な感じだ。それに、ガルルガの特徴である刺がほとんど無い。新手のイャンクック亜種と思われても仕方ないほどだ。 「ひっ」ビクッ 私がガン見しながら考察している姿が怖かったのか、びくつくルカ君。ちょっと可愛いかも……。 「ほらほら自己紹介して」 「う、うん。僕、イャンガルルガのルカっていいます。よ、よろしくお願いし、します……うわぁん! 緊張したよお!」 「あーはいはい、よく出来たな。というわけだ、よろしくな」 おお、いつになくクックが大人に見える……。 「ねえ、ルカ君の名前って何が元?」 何となく隣にいたギザミに聞いてみた。 「ああ、刺の無いガルルガだからカルルカ、さらに縮めてルカだよ。それとだけど……ルカちゃんは女の子だよ?」 何ですとぉー! 僕っ子ですか? いやそれ以前に、兄弟じゃなくて兄妹でしたか。見事に騙されました。 「ル、ルカ、なんでここにいるんだ? お前は超大陸にいるって……」 カスケ君が質問する。 「うう……だってお兄ちゃんに会いたかったんだもん……」 そう言いながら一回り大きなクックに抱き着く(?)ルカちゃん。目には涙を浮かべている。先程の女の子だという情報を踏まえて再度言う。可愛い。 「どうやらコイツ、こっちの大陸まで一人で飛んできたそうなんだ。無茶するよな……」 なんという兄妹愛、ちょっと感動した私であった。というかクック、お前は本当に幸せ者だね。 「ま、それぞれの紹介も終わったことだしよ、なんか飯でも食おうぜ!」 珍しくトトスが仕切っている。ルカちゃんの相手でクックは手一杯みたいだし、そういう手筈になってたのだろうか。 「ねえ」 ギザミが話しかけてきた。 「ルカちゃん、こんがり肉が好きなんだ。こっちに来てからはまだ食べて無いみたいだし、作ってあげたら仲良くなれるんじゃない? いつも肉焼きセットは持ってたよね、はい生肉あげるっ」 素晴らしいアドバイス& サポート! やっぱり私は三匹の中でギザミが一番好きだ! 私はギザミから受け取った生肉と肉焼きセットを持って前に出た。ルカちゃんがこっちを見てくる。肉焼きセットに生肉をのせ、例の音楽と共に焼き始める。 「テッテテ、テテテテッテテ、テテテ……」 なんと、ルカちゃんが音楽に合わせて歌い出した。話しかけるきっかけ作り程度のつもりでやったが、まさかこれ程とは……。ギザミには感謝してもしきれない。 「テレレン、テレレン、テレレン、テレレン、テレテッテテン♪」 ルカちゃんの楽しそうな様子を見て嬉しくなる私。そして……。 「「上手に焼けましたぁ!」」 一緒に言った。嬉しそうに笑っているルカちゃんに、私は今焼き上げたこんがり肉を差し出す。それを見たルカちゃんは後ろを振り返り、にこやかに頷くクックを確認すると、私に「ありがとう!」と元気に言い、パクリと口に入れた。美味しそうに食べるルカちゃんを見てほっこりしてから、ギザミの方を見ると、私に向かって両のハサミでガッツポーズしていた。あとでちゃんとお礼しないとな……。 |