- 日時: 2014/03/14 20:27
- 名前: 葵只 ◆9sSjKSOhi2 (ID: c8Ixzzgj)
モンスターハンター オリジナル 第一章 死
―――少年は少女を連れて密林を走っていた。 次第に両者の息は荒くなる。
「ハアハア・・・」 止まっている暇はない。後ろから追ってくる怪物に捕まるわけにはいかないのだ。 しかし、走っても走っても足音は段々近づいてくる。 そして鳴き声が聞こえた。
「グォッグォオオオ!!!」 父はハンターだった。 その父が作ったモンスター図鑑の最初に載っていたモンスター・・・
青き狩人、ドスランポス。 少年達は何故この狩場まで来てしまったのか?
答えは簡単だ。村がモンスターに襲われたからだ。 父は戦った。しかし死んでしまった。 相手は不明だった。しかし、その姿はまるで悪魔――― 「うぐっ!」 少年は足元の蔦に引っ掛かり倒れこんでしまった。 なんとかほどこうとするが焦って逆に絡まる。 少女は最早諦めたかのように座り込んだ。
――――もう終わりだ。 せめて、せめて姉は助けなきゃ・・・! 少年は蔦をなんとかほどき、そこらに転がっていた木の棒を持ち出す。 そして叫びながらドスランポスへと向かう。 トサカは鮮やかな赤に染まり、涎をダラダラと垂らしている。 「うおりゃああああああああああ」 ゴンッ。
少年が振り回した木の棒は見事にドスランポスの頭に当たった。 「グギャアアア!?」
少年は当たったことに心から喜んだ。 しかしその程度で倒せるほど大型モンスターは甘くは無かった。 そしてドスランポスは溜めを作り――――
少年は咄嗟に腕を引っ込めた。 だが僅かに遅かった。
ギシャ。
少年の腕から血が噴き出す。 それはドスランポスの顔に当たり、更にトサカを赤く染める。 少年の腕は二つになり、肘から綺麗に切り取られた。
返り血は少女にも降りかかった。 少年は自分を恨んだ。 蔦に引っ掛かりさえしなければ。浮かれていなければ。 少年はそのまま倒れた。
意識が薄れていく中、父に似た体格の男が双剣をドスランポスに切り刻み、撃退したのが見えた。 男は涙を流していた。 少年もまた、泣いた。
「ごめんよ、父ちゃん・・・」 |