- 日時: 2014/03/17 22:12
 - 名前: †紅魔† ◆39JCODjUas (ID: j2KYr6sm)
 
 第三章「ギルドへ」
  「たった一人でジンオウガを倒す」。 これは素人なんて尚更、ベテランハンターでもこなすのは難しい事だった。 紅はどこか楽しそうに笑顔のまま、 この狩り場、「渓流」の奥へと歩いていった。 ネコタクの運転手と俺は心配して待っていたが紅は5分程で帰ってきた。
  「…さぁ、帰りますかっ!」
  紅は何事も無かったかの様に運転手のアイルーを抱き抱えて、歩き始めた。 何がなんだか分からないが、終わったらしいのでギルドへと戻った。 コイツ、何をしたんだ?
  ーギルドー
  ギルドへと戻った俺達を待っていたのは、 何故か宴会を始め、騒いでいるハンター達とベロンベロンに酔っている受付嬢達だった。 いつもの受付のところには「姉ちゃん」と親しまれている鑼姉ちゃん、そしてギルドマスターが二人で話し合っていた。 勿論ギルドマスターが酒を片手に持っているのは言うまでもない。
  「おぉ、帰ったかアイ。…よくやったの、紅よ。お前は渓流に突如現れたジンオウガを追い払ってくれたそうじゃな。」 「あんなの楽勝っスよ♪」
  成る程、こいつはジンオウガを追い返しただけなのか…
  ふと横を見ると紅が、「へへん」と何処からか酒を持ってきて一気に飲み干していた。 と同時にいきなり倒れ、何処かへ運ばれていった。 あ、酒は弱いんだ…。
  「フフっ、紅君ったら無理しちゃって…」
  困り顔で呟く鑼姉ちゃん。 周りには酒で酔った男共が集まっていた。 何人か「俺と飲もうぜ姉ちゃん!」とか言っているが本人は「ごめんね、今勤務中なの」とキッパリ断っている。 流石「ギルド界の女神」と言われるだけはある。 …ってどんな世界だよ!?
  「そういえば、アイは出たのかの?」
  そわそわとギルドマスターは聞いてくる。 出たのか…って…アレだよね? あの事だよね!
  「えっ?あ、はい。出ましたよ、この…雌火竜の逆鱗ッッッ!!!!」
  バックから慎重に取り出す俺。 ふっ…相当の変人に見えるだろうな。
  「むっ、出たのか…仕方ない、約束は守ろう」 「ありがとうございまーす♪」
  約束とは…そう、「この狩りで逆鱗が出たらレイア一式を作る為の資金を全てギルドマスターが払う」というものである。 ふっ…賭けを持ち出したのが悪かったのだよ、マスター。
  「う…すっからかんになったぞい…」 「まぁまぁ、マスターが賭けを持ち出したのが運の尽きだったんですよ」
  地味にひでぇ事言ってるぞこの女神。 もしかして俺達考え方が似てるのだろうか。
  「そんなことよりそろそろ帰るよ…お疲れ」 「おう、またのぅアイよ!」 「また来てね♪」
  二人に挨拶をして自宅へと帰る俺。 フフ…やっと明日からレイア装備着れるんだな。 思えば長かったなぁ。 片手剣の扱いにもかなり慣れてきちゃったよ。 どんだけ使ってんだ俺。
  ー自宅ー
  とりあえずいつも通り武器をアイテムBOXに放り込み、装備を一気に取り外す。 ふっ…この下着だけの状態だとなんか解放感があって良いなぁ。 軽い夕食を済ませ、風呂に入り終わったら後はGo to bed! さーこの柔らかい布団の中で思いっきり眠るかね。 明日は休みだしゆっくり……。
  「ふわぁぁ…。」
  俺は深い眠りについた。
  ー深夜ー
  「んぅ…っ…?」
  おかしい。何かがおかしい。 俺は確かにいつも通り家に帰り、 いつも通りの生活をした。 なのに、何かに俺の体を触られている。 俺には親も兄弟もいない。 それに家は鍵を閉めている。
 
  普通なら俺以外の人間がベットにいる訳が無いのだ。  |