- 日時: 2014/07/06 09:00
- 名前: 翼の勇車 (ID: AEpeyXfK)
クロスオーバー ダブルサクライザー×翼の勇車
三十一章
「おーいっ、ここですよーっ!」 先に到着していたギザミグループが、船から降りてきたメンバーを待っていた。 「あれ? カトリアさん、顔赤いですけど大丈夫ですか?」 「あっ、うん、大丈夫」 「……? まあいっか。到着しましたよ! ここが私達の村です!」 若干不思議そうに首をかしげたミズキだったが、直ぐに村の紹介へとシフトするミズキ。 「どうする? とりあえず村長の家に行く?」 「それがいいにゃ。あの村長のことだから、最初にオイラの所にきてくれよー! とでも言いそうだしにゃ」 カスケの提案で、とりあえずは村長の所に向かう事になった一行。 「さっきから聞いてて思ったんだけど、村長さんって結構変わってるのか?」 「変わってるというか……お茶目とでも言えばいいのかな。ま、見てのお楽しみだよ」 アストの質問にギザミはそう答えると、ミズキ達に着いて歩きだす。 「おら、ボーッとしてんじゃねえよ。はよ行け」 水から飛び出してきたトトスに促され、ミナーヴァも移動を開始したのだった。
「おーい、村長、いるー?」 家の玄関を開け、真っ暗な部屋をのぞきこみながら声をかけるミズキとカスケ。 「留守なんじゃないのか?」 少し離れた所でその様子を見ていたその他全員の中、ツバキが腕を組みながらそう呟く。 「それは無いにゃ。村長は、家にいない時は決まって村中を駆け回って情報収集してるにゃ。ここまで来るまでに会わなかった時点で、家にいるのは確実だにゃ」 その隣にいたネオがそう答えた、その時だった。 「…………」ソローリ、ソローリ…… 家の陰から、一人の竜人が出てくる。そしてその竜人はそーっとアスト達の方を見ると……。 「(シーッ)」 「「「…………」」」 人差し指を立て、彼らに静かにするように求める。この時、ミナーヴァメンバーにも彼がやろうとしている事がようやく分かった。 二人にばれないようにその後ろへ移動した彼は、懐からひとつのビンを取りだし、二人の背後少し離れた所に置いた。その中には何かが詰め込まれている。 「(今回は込んでるにゃ……)」 「(前はどんなんやったっけ?)」 ネオとゲネッポがこそこそと話している。どうやらこれは今回だけの話ではないらしい。 二人から距離をおいたその竜人は、今度は地面に落ちている石ころを拾うと……ビンへ向けて投げた。 《ドカァン!》 「「うわあぁ!?」」 次の瞬間、ビンが小規模爆発を起こし、ミズキとカスケは驚き過ぎて半空きのドアの中へと倒れこんだ。……のまでは良かったのだが。 「あっ……」 「ごっ、ごめん!」 二人が倒れた後の姿勢が、まるでカスケがミズキを押し倒したようなものになってしまったのだ。これには流石に鈍感カスケもヤバイと分かり、すぐに立ち上がってミズキに手をさしのべた。それを見ていたアスト達の耳にはどこぞのカラフルな鳥の辺りから舌打ちが聞こえたが、気のせいだろうと片付けた。 「あっはっはっは! ナーイスリアクション!」 「村長ー? いくらなんでもやりすぎっ!」 顔を真っ赤にして抗議するミズキ。顔が赤いのは怒っているためではないだろう。 「いやーわるいわるい。にしてもこれ最っ高だな、ビン爆弾」 村長と呼ばれた彼は懐から火薬草を詰め込んだビンをとりだしてじっくりとながめる。 「え、あの人が?」 カトリアが驚いた顔でネオへ訪ねる。当のネオは、深いため息で肯定の意を示したのだった。 |