- 日時: 2014/07/06 15:22
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: a/j.291p)
クロスオーバー ダブルサクライザー×翼の勇車
三十一章続き
とりあえず、キャラバンの代表としてカトリアとセージが村長の家に上がらせてもらい、他のメンバー達は外で待つことになった。 「えー、そうだね。とりあえず、そちらの麗しのお嬢さん、名前は何かな?」 村長はカトリア、ミズキ、カスケを座らせてから、話を始める。 無論、麗しのお嬢さんと言うのはカトリアのことだ。 「はい。キャラバン『ミナーヴァ』の団長を務めています、カトリア・イレーネと申します」 カトリアは深々と頭を下げる。 「そんなに畏まらなくてもいいよ。楽にして、楽に」 村長はカトリアの頭をあげさせる。 「じゃあ、次にミズキちゃん。彼女達と出会ったのは、昨日クックの所へお泊まりに言った、その翌日……今日のことだね?」 「あ、はい」 ミズキはミナーヴァと出会い、ここまでに至るを簡潔に答えた。 一通りを聴いた村長は眉を歪ませた。 「うーん、夢の話か。オイラは睡眠学者じゃないから、分からないことは多い。でも確かなのは、カトリアちゃんだったかな、彼女達が明確な意識や感覚を持ってここに存在するわけだね」 さすがは村長。 普段はおちゃらけている割りに、こういうことの飲み込みや理解は早い。 「えー、それでウチの村に一泊しに来たわけだね」 「はい。厚かましいことは承知でお願いし……」 「いいよ」 カトリアの申し訳なさそうな頼みに即答する村長。まず、カトリアが言い終えるよりも先に答えている。 「と言うか、元の世界に戻れるようになるまでここで滞在しても構わないよ。オイラとしても嬉しい限りさ」 仕方なさを顕すどころか、歓迎するつもり満々である。 「さぁ、そうなったら早速歓迎会の準備だ!忙しくなるぞぉー」 歪めていた眉はどこへやら、むしろ活気に満ちたモノへと豹変し、村長は早速村全体にこのことを伝えるために飛び出そうとして、留まった。 「あ、そうそう。ミナーヴァの皆には客人用の宿を貸しきりにするから、安心してね」 それだけを言い残すと、村長は家を飛び出した。 取り残されるカトリア、ミズキ、カスケの三人。 「えーっと、ミズキちゃん?村長さんって、いつもあんな感じに?」 「はい、いつもあんなんで」 村長の計らいで、村の宿を貸しきりにしてもらい、ミナーヴァのメンバーは幾つか部屋を分けて入る。 カトリアの指示した部屋の割り当てはこのように分けられている。
・カトリア、ルピナス、シオン、マガレット ・ライラック、エリス、ニーリン、ユリ ・アスト、ツバキ、セージ
ちなみに、カトリアは真っ先にエリスを自分の部屋とは別に配した。先程のアレが原因である。 と言うわけで、アスト、ツバキ、セージの二人と一匹は『男部屋』として部屋に入る。 中は広くは無いものの、きちんと清掃はされている。 「あ、そう言えば着替えとかどうすんだろ。俺達、今付けてる防具と、インナーが一丁だけだぜ?」 アストの意見は最もだが、セージはそれに答える。 「部屋着と替えの下着ぐらいは用意してくれるそうだニャ」 「そんなにサービスしていいのか?」 ツバキが声を濁しながら溜め息をつく。 「何だよ、じゃあツバキはずっと防具付けたまんまで過ごすのか?」 「んなわけないだろ」 少し軽口を交わすアストとツバキ。 これで気持ちは落ち着いた、とセージは小さく一息ついた。
「…………」 宿の外ではペッコが忌々しげにアストの部屋の窓を睨んでいた。 「ぺーヤン、どないしたんや?」 その様子を不審に思ったゲネッポはその極彩色の羽根を生やした背中に声をかけてやる。 「なんてこった……!」 そのペッコは怒りに身をわなわなと震わせていた。 「だからどないしたんや?」 「アストのヤローと、ツバキが同じ部屋に入りやがったぁ!」 ペッコは天を仰いで吼えた。 「別にええんとちゃうか、男同士なんやし」 そう、ゲネッポは気付いていないのだ。 ペッコはゲネッポに向き直る。その眼は血走っている。 「ちげぇよアホンダラ!ツバキはっ、ツバキなぁ…………」 ペッコは大声を出そうとして抑え、ゲネッポに耳打ちする。 「な、なんやってぇーーーーー!?」 今度はゲネッポが吼えた。 |