- 日時: 2014/07/06 18:37
- 名前: 布都御霊剣 ◆Mp0wNgpgF6 (ID: FuMG2urw)
モンスターハンター「焔の詩」 サイドストーリー 微笑は風と共に1章-2 グラニ・デュナスがこの家に入ってきた。 私の息子であると同時に古の知識の守護者たるデュナス家の血を持つ者―― 私が、その古の知識を手にするのに必要な“鍵” 恐らく、私に利用されないようにガレムが既に真実を話しているだろう。 その話を聞いてどれ程私を憎んでいるか、確かめなければならない。 確かめなければ、有効な“駒”として動くかどうか解らない。 ――試すしかない。この目で。この耳で。 部屋に薄気味悪い不適な笑みが、小さくこだました。
屋敷が広ければ、部屋も広い。 しかし、ずっと同じところにいても退屈なだけで、気晴らしに庭でも歩こうと思い、廊下へ出たときだった。 反対方向から、ライラ・デュナスに会った。 あれが・・・・・・僕の母親であり、お婆ちゃんを殺した人間―― こんにちはと、社交辞令の挨拶を軽く交わし、その場から立ち去ろうとしたが、肩をつかまれ、引き止められた。 「デュナス・・・・・・私は罪深い事をしてしまいました。いくら命令されてやったとは言えど私は・・・・・・人を一人殺してしまいました。謝れば許される話ではない事は承知です。ですが、この命に換えてもその罪を償いたいのです」 僕の母さん――いや、ライラ・デュナスは跪き、苦しそうな顔でそう言った。 だが、許す気は無い。 許したところで、お婆ちゃんが生き返るわけが無い。 いくら償ったって、あの温もりは2度と帰ってこない。 僕は只、冷たい目で一瞥し、その場を去った。
庭を散歩し、自分の部屋に行こうとしたとき、僕の父さん――ガレム・デュナスに話しかけられた。 「ちょっと・・・・・・来なさい。見せたいものがある」 父さんは手招きをし、歩き出した。 廊下を歩き、階段を下り、仕掛け扉を抜け、少し歩いたところに、見るからに厳重そうな扉があった。 「この中にあるものこそが、かつての文明の英知だ。そして、それはこの血と共に託されてきた――この中身が外へ出るときは“人が力に溺れず、踏み外さずに常に正しき道へ導ける者が現れた時”それだけだ」 力? 溺れる? 踏み外す? 正しき道? 導く者? どう言うことだ? 「君には・・・・・・まだ難しい話かもしれん。しかし、その背中にいずれ刻まれる重責だ。今はその胸の内にしまっておくといい。今は、これを護らなければならない。もしもの事がある。我が家の紋章と共に刻む重責。それはとてつもなく重い。だが、それは人に“希望”と“可能性”を与えるだろう。だが、使い方を誤ればそれは“破滅”を呼び起こす・・・・・・それを背負う覚悟が、今の君にはあるか?」 その問いに答えられるだけのものは、今の僕には無かった。
予想していなかった。 ある程度の事は想定していたが、まさか、あそこまで明確な憎悪を滾らせていたとは、思いもしなかった。 あれでは、手駒にするには難しい。 いったい、どうしたらいいものか―― いや、何も“鍵”はグラニだけではない。 そうだった・・・・・・いつも近くにいたから意識していなかったが、ガレムだって“鍵”だ。 まだ、切れるカードはいくらでもある。
やっと更新できました。 失踪していたわけではありません。 なんやかんやあって忙しかったんです。 「これ本当にモンハンかよ!」と突っ込みたい方、2章までしばしお待ちを・・・・・・ しかし、1章はけっこう大事なエピソードです。 第2期の伏線がたんまり張られていますので・・・・・・ |