- 日時: 2014/07/09 17:07
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: R0bcO7pg)
クロスオーバー 7倍quasar ×ダブルサクライザー
十一章 温泉だよ!全員集合ー!
〜ミナーヴァside〜
無事にアオアシラの狩猟に成功したカトリア達はユクモ村の集会浴場に帰ってきていた。 先に帰っていたのか、ニーリンとツバキが待っていた。 「おぉ、イレーネ殿、戻られましたか」 「ニーリンさん、ツバキくん。地さんは?」 カトリアは回りを見回しても地の姿が見えないことに気付く。 それに関してはツバキが答える。 「地さんなら、ついさっき「クエスト消化に行ってくる」とか言って依頼を受けていきましたよ」 確か土砂竜ボルボロスだったかな、とツバキは地が受けていた依頼を思い出す。 「呼ばれた気がした」 不意に、地がカトリア達の後ろから現れた。 「地さん?忘れ物ですか?」 残妖はここに地がいることから、忘れ物でも取りに来たのかと思い込んだ。 だが地の答えは全くの逆だった。 「いや、もう終わらせた。過去形。で、帰ってきた。現在形」 もう依頼を終えて帰ってきたと言うのだろうか。 ツバキがついさっきと言ったので五分かそれくらいだと思っていた。 だとしても、いくらなんでも早すぎる。 地は以来達成を伝えるためにエリスの元へ行く。 「ほい、ボルボロス狩ってきた」 依頼状の半券と剥ぎ取ってきたばかり(ついニ、三分前に)の土砂竜の甲殻を見せる地。 エリスはそんな地に戸惑いを見せたが、規定に従って以来達成の判を押す。 「……本当に狩ってきたんですか?」 「ほんとほんと。ちょっと裏技使っただけだよ」 その裏技が何かは想像も出来なかった。 この地と言う男、どこも掴めない。 「そう言えばカトリアさん。温泉って混浴だし、やっぱ全員入るんですか?」 アストが呑気にそんなことを口にする。 それがまさに、口は災いのもとである。 「こっ、こらアストくんっ。そんなえっちなこと言っちゃいけませんっ!普通にっ、女の子は女の子、男の子は男の子で別に入りますっ!団長命令ですっ、決定っ。異論は聞きません!」 そこまで混浴を認められないのか、特権濫用までして否定するカトリア。 『そんなえっちなこと』を一番考えているのはカトリアではないかと思ったが、それを口にしても無駄な気がしたアストだった。 「あのー、カトリアさん。俺ちょっとだけ意見を。異論じゃないですよ」 挙手をするのはツバキ。 「はいツバキくん」 「ちょっと失礼……」 ツバキはカトリアに耳打ちする。 それを聞いたカトリアは瞳を見開いて驚いた。 「そっか、そうだったんだ」 カトリアは納得したように頷く。 それから、アストとセージに向き直った。 「女の子から先に入るつもりだけど、それでいいなら、他の皆も呼んできてくれるかな?」 なるほど、他のミナーヴァのメンバーや霊華、冥花を呼んでこいと言いたいらしい。 アストとツバキは快く承諾すると、集会浴場を出る。
〜ユリ&冥花side〜
「あっ……」 ユリは慌てて釣竿を引っ張るが、時既に遅し。 水面から現れたのは、エサ取られた釣り針だった。 「うー、また取られちゃったぁ」 眉を困ったようにしかめ、唇を噛むユリ。 隣でエサとなるミミズを付けてやっていた農はまぁまぁ、と慰めるように声を掛けてやる。 かれこれ三回ほど挑戦するものの、一匹も釣れていない。 「おーい、ユリー、冥花ー」 入り口の方から、愛しの彼、アストの声が聞こえてくる。 それを耳にしたユリはパァッと笑顔になって振り向いた。 「アストくーん、こっちこっちー」 ユリはアストに向かって手を振る。 アストはユリの姿を確認して駆け寄る。 「皆で温泉に入るから、一旦集会浴場に集合な」 アストはユリの瞳の色が分かる距離まで来ると足を止めて用件を伝える。 「えっ?皆でって、アストくんも?」 「い、一応男女で時間を空けて入るってカトリアさんが言ってたよ」 「そうなの?私は、アストくんと混浴でも良かったんだけど……」 「そんなこと下手に言ったらツバキに殺されるからやめて」 一瞬、自分のタオル姿がアストにフラッシュバックされたのかと思い、ユリは悪ふざけで自分の腕で身体を抱く。 「やだぁ、アストくんったらエッチ」 「あれはほんとに悪かったからっ、そのネタで俺を虐めないでくれぇ」 そうこうしている内に、冥花も鉱脈の方から帰ってくる。その手には何の取り柄もなさそうな石ころが幾つも握られている。 「ねぇ、あんた達って付き合ってるの?」 冥花の純粋な質問に、大慌てで応じるアスト。 「違うって冥花っ、俺とユリは付き合ってな……」 「でも私はアストくんのこと好きなんだけどね」 ユリはそんなことを頬をトマトのように赤らめて答える。 「ユッ、ユリッ……堂々と言わなくても」 「だって、ほんとのことだもん」 ユリは上目使いでアストと目を合わせる。 「あー、初々しい初々しい。つか、温泉行くんでしょ」 冥花は見てられない、とでも言いたげに頭に手を添える。 農の自己紹介もあって、ユリ達は集会浴場に向かう。
〜霊華side〜
挨拶回りをする彼女の前に現れたのは、海賊のような出で立ちの猫の喋るネコ、セージだった。 「あら、喋るネコさん」 「オレの名前はセージだニャ。それより、カトリアが集会浴場に来いと言っているニャ」 ネコの割りには随分と大層な態度を取る。 「分かったわ。じゃあ行きましょうか」 霊華はセージの言う通り、その足を集会浴場への石段に向ける。 「霊華と言ったかニャ、一つ聞きたいことがあるニャ」 呼び捨てにされるのは心地好いものではないが、霊華は不快感を表には出さずにセージに向き直る。 「お前、幽霊か何かかニャ?」 「…………」 どうやらセージは既に自分の正体に気づいているようだ。 「何のことかしら?」 「オレだから分かることだがニャ……この件は黙しておくニャ」 セージはそれだけを言うと、石段を降りていく。 霊華はその後ろ姿を見送る。 「さすがはネコ……本能的な面ではヒトより優れているようね」
〜炎side〜
聖のその肉体は四散した。 だが、炎はこれで終わりとは思わなかった。 「ちっ、核を逃したか……」 咄嗟、炎は新たな気配を察知し、その場から飛び下がる。 その瞬間、光線が闇を焼き払っていった。 「ふぅん?避けるかい?」 聖の声ではない……が、その口調は聖そのものだ。 その方へ向き直ると、両腕に巨大かつ長大な火砲を手にしたヒトがいた。 「別の肉体に核を移したのか……」 「その通り、君の攻撃をまともに受けたら核ごと死んでしまう。反応さえ出来ればこうして肉体を移し変えれる」 聖は不敵に笑う。
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