- 日時: 2014/07/09 17:08
- 名前: 布都御霊剣 ◆Mp0wNgpgF6 (ID: dwRb7DkJ)
モンスターハンター「焔の詩」 サイドストーリー 微笑は風と共に1章-3 父さんに導かれ、地下室に行った。 そこで父さんが言っていた事は、今の僕には到底理解できるものではなかった。 数日たった今でさえ、頭が混乱している。 腑に落ちない点だっていくつかある。 かつての文明の英知――果たしてそんな物が実在するのだろうか? 実在はするのだろう。僕から見た父さんは、少なくとも無いものを隠すような無駄な事はしない。もっと、合理的な人のはずだ。 実在すると仮定したところで、解らない事が多すぎる。 いったい、どうすればいいのだろうか・・・・・・ その判断が、自分の未来を大きく左右する事はなんとなく解っていた。 それ程重大な分岐点にいることは、感じ取っている。 解らない時は、答えが出るまで行動しなさい。 そうだ――何事も行動しなければ始まらない。いつまでも悩んでいたって前には進めない。 お婆ちゃんは、そう言っていた・・・・・・ だったら、確かめるしかない。 廊下へ飛び出し、父さんの部屋まで走る。
何度立ち止まろうとしただろうか。 何度後ろを振り返ろうとしただろうか。 何度後戻りしようとしたんだろうか。 だが、それでは前に進めない。 全ての迷いを振り払うかのように、廊下を走り抜ける。 程なくして、父さんの部屋の扉にたどり着いた。 この扉を叩くか、叩かないか。 最終意思確認だ。 この扉の向こうに、答えがある筈だ。 それを行動が証明してくれる筈だ。 覚悟を決め、扉を叩く。
扉を叩き、部屋に入るなり複雑な顔で「それが答えか・・・・・・」と言われた。 その決断に後悔は無いな? 口では言っていないが、目がそう言っている。 「お婆ちゃんから・・・・・・教わったんです! 解らないからって、苦しいからって、諦めちゃいけないって! 例えそれがどんなに残酷な事でも・・・・・・それを受けてめられる強い人間になれと!」 父さんはこの答えに微笑した。 「やはり適わんな・・・・・・いいだろう。“鍵”を託そう。ついて来なさい」 そう言われ、部屋の奥へ進んだ。
「今ならまだ、戻れる。今一度問う。我が一族に課せられた重責を背負う覚悟はあるか」 天井の絵を指差し、そう言う。 その絵は、天空を貫くほどの長さを持った柱。そして、剣を口にくわえた、翼の生えた蛇が、その柱に巻きついている。そんな絵だ。 「これが我が一族の家紋――これを背負う、その覚悟を問う・・・・・・とはいっても、その目が揺らぐ事はない・・・・・・か。いいだろう。その背中に“星の世界へ手を伸ばす柱”、“可能性の剣”、“希望の翼”、そして“意思と言う名の蛇”を刻もう」 背中を出しなさいと付け加え、父さんが何かを探し始める。 言われた通りに背中を出し、その間に見つけたのかそれを背中に当てた。 背中を押されるような感覚がしたのも一瞬で、痛くも痒くも無い。 「・・・・・・これで、この家の秘密は託した――もし、使うときが来たらあの扉の前で叫べ。“リブート”と。昔の言葉で、再起動を意味する」 僕は頷き、「ありがとうございます」と言ってその部屋から出た。
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