- 日時: 2014/07/13 10:36
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: Sw9Sbe9h)
クロスオーバー 7倍quasar ×ダブルサクライザー
十四章 地の温泉巡り
〜地side〜
「さて凍土についたわけだが」 孤島で秘湯を手に入れた地は次に凍土に来ていた。 移動時間は約一分弱。速すぎる。 「つか、寒い。ちょっとホットドリンク買ってくるか」 寒さに身を震わせた地は、その場から消えた。 正確には、消えたように見えるほどの速さで移動を始めただけだ。 凍土の近くの村。 「!?」 道具屋の店主である中年の女性は、目の前にいきなり(見えないくらいの速さで普通に立ち寄っただけ)地が現れたことに酷く驚いた。 そんな様子にも関わらず、地はゼニーを差し出す。 「おばちゃん、ホットドリンク二つね」 「あ、あぁー、はいはい、ホットドリンクね」 棚から赤いビンを取り出して紙袋に包んで、地からゼニーを受け取る。 「あんがとwww ほんじゃねwww 」 そして、目の前から地が消えた(やはり見えないくらいの速さで移動)。 「……疲れてるのかしらねぇ」 女性は目を軽く擦った。 ホットドリンクを飲んで、地は狩り場へ駆り出した。 「うはっwww トウガラシがうめぇwww 口から火が出るわwww 」 身体が火照ってきたため、早速極寒のまっただ中へ。 孤島でアレだけのモンスターがいたのだ。この凍土ではどうなることやら。
〜ミナーヴァside〜
全員身体を洗い終えて、温泉に浸かる。 「はぁ〜、極楽極楽ぅ〜」 ライラはどっかりと周りの人工加工された石に腕をかけて、温泉に浸かりながら気の抜ける声を漏らす。 「ライラって、今日は何をしていたの?」 隣に付くのはカトリア。 「ん、工房内の把握とか、独自の道具の使い方とか。そうそう、この村って木材を武器に用いるみたいよ」 「木材を?」 武器に木材を用いるような話は聞いたことがない。 カトリアは少し気になった。 「木材っても、ただの木じゃないよ。このユクモ村の近辺で取れる木ってね、王公貴族からも重用されるモノなんだってさ。それくらい頑丈でしなやか、使い勝手がいいんだとさ」 「へぇー……」 「勉強になったよ。鍛冶屋始めて十五年くらいは経つけど、知らないことはいくらでもある。アタシゃまだまだ若いんだと」 ライラは背伸びする。 「おーい、お二方ー」 ふと、ニーリンもやって来る。 「一杯どうですかな?中々旨い酒ですぞ」 温泉に浮かぶお盆を二人に差し出すニーリン。 「おっ、気が利くぅ。いただくよ」 ライラはニーリンに淹れてもらい、一杯あおった。 「二人とも。飲むのはいいけど、飲み過ぎはダメだよ?」 ちゃんと釘は刺しておくカトリア。 その辺はちゃんと理解しているだろう、ライラとニーリンはゆっくり味わう。 「ん、イレーネ殿はよろしいのか?」 ニーリンは飲みながらカトリアを見やる。 「わ、私はいいよぉ。お酒ってあんまり好きじゃないし、強くもないから」 カトリアは遠慮する。 「あー、そうだった……」 遠慮するカトリアを見ながら、ライラはニヤニヤと笑う。 「カトリアって、一杯飲んだだけでベロッベロになるんだったねぇ。お・子・さ・ま」 少し酔ってきたのか、ライラはカトリアの額をつつく。 「む、お酒なんか飲まなくてもちゃんと大人になれますぅ」 ぷぅ、と頬を膨らませるカトリア。そんな仕草を見て大人になれますと言っても説得力は微妙だ。
「お、落ち着かないなぁ……」 ツバキはそわそわしながら温泉に浸かっていた。 「そうかな?」 一緒に浸かるのはユリ。 ツバキは腕で身体を抱きながらユリを見る。 「だ、だって、普段は人前でこんな格好しないし、恥ずかしいじゃないかぁ……」 「えぇ?でも、恥ずかしがってるツバキくんも可愛いね」 「かっ、可愛……!?そ、そういう冗談はやめてくれよユリ」 ツバキは温泉で火照った頬をさらに火照らせて真っ赤にする。 「あ、そうだ。この前街で見掛けたんだけど、あの、真っ白で角の生えた、なんだっけ、キリンとか言ってたかな。それ着けてみたら?」 ユリの口からよもやそんな言葉が飛び出す。 キリンシリーズとは、幻獣キリンの素材から作られる防具で、実物は幻に近いが、知名度だけは大陸各地で有名、特に女性用の、というモノだ。 その理由は、露出度の高さにあり、人前では間違いなく男達のふしだらな視線の的になる。 しかしながら、その性能は並の防具の一線を覆すモノであり、特に雷には無敵の耐性を持っている。 「ユッ、ユリッ!?おまっ、なんでそんなこと知ってるんだよっ!?」 ツバキは一瞬でもそのキリンシリーズを装備した自分を想像して、激しく首を振って忘れようとする。 「ツバキくんなら絶対似合うよ。だってこんなに可愛い女の子だもん」 ユリはツバキの真っ赤な頬をなでなでする。 「〜〜〜〜〜……」 もうしばらく、温泉に浸かることになりそうだ。
|