Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ!二代目!企画考案中!( No.1049 )
  • 日時: 2014/07/14 14:10
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: mP86R8JY)

 クロスオーバー 7倍quasar ×ダブルサクライザー

 十五章 夕暮れオレンジ

 〜炎side〜

 霊峰の、何もない空間が突如切り開かれた。
 その中から出てくるのは炎。
 聖は存在から消滅させた。二度とあの時空間に姿を見せることはないし、この現実世界に現れることもない。
「時々、自分が恐ろしくなる……」
 炎は自嘲するように呟くと、剣を納めて霊峰の大地に足を着ける。
 辺りは赤い夕陽が注がれれ、茜色に染められて幻想的な色彩を生み出して炎の帰還を迎えていた。
 炎はしばしの間、その自然が生み出す芸術に見とれていた。
「美しいな。……この美しさを知っているのに、なぜヒトは醜い行いを続けるのだ」
 元の世界での、狂気の惨状……あれはまだ終わっていない。
 そのすべてを滅ぼすのが、己の役目。
「そのためには……」
 ユクモ村の方角を向く。
「まず、地を殺す」
 思いきり私情の挟まった呪詛の言葉を吐き、剣を抜き放つ。
 無論、空間移動のためだが、まだ完全に力が戻った分けではない。
 下手に使って時空間に閉じ込められるのは御免被りたい。
 そう思った炎は剣を納めた。
「たまには自然を味わうのも悪くないな」
 急ぐことはせず、ゆっくりと一歩一歩雑草や水溜まりを踏み締める。
 草むらから小動物が炎を見ては様子を見て、興味を失えば勝手に逃げていく。
「ん?」
 その草むらの間に目を止める。
 何があったかは分からないが、傷付いた兎が衰弱していた。
 このまま何もしなくては死んでしまうかもしれない。
 炎はしゃがみこんでその兎を腕で抱き、右の人差し指を傷口に当てる。
「ケアーエイド(介抱創膏)」
 炎の指先が優しく輝き、その光が傷口を包むと、傷口が塞がって瘡蓋が出来上がっていた。
 傷口を無くそうとすると炎自身が消耗してしまうので、生物が持つ回復力を促進させただけだ。
 その兎を地面に降ろしてやる。
 兎は不思議そうにその瘡蓋を見ている。
「無理はするな」
 それだけを言い残し、炎は再び歩き始めた。

 〜ミナーヴァside〜

 冥花が上がってから少しが経って、他も上がり始める。
 更衣室へ戻り、支給されたユクモノドウギに着替えていく。
「残妖の湯上がり卵肌……」
 霊華がまた妖しい目で彼女を見ている。
 それを察した残妖は霊華を見ながら警戒しつつ着替えていく。
「れっ、霊華しゃまっ……」
「噛んでるわよ、残妖」
「うぅ、みょんなところ突っ込まないでくださいっ」
 また霊華がえっちなことをするのでは、とカトリアがその蒼い瞳をギラつかせて監視している。
 さすがにやり過ぎたのかと自覚はしていたのか、霊華はそれ以上残妖を弄ろうとしなかった。

「アストくん、上がったよぉ」
 ユリとツバキが最初に部屋に戻ってくる。
 その声に反応するアストと農、セージ。
「あぁ。皆上がったのか?」
「うん。だから安心して入っていいよ」
 ユリはまだ水が滴る黒髪を拭きながら頷く。
 ふと、アストはユリの後ろに隠れているツバキに目を向けた。
「ツバキ?どうしたんだ?」
「……………」
 ツバキは腕で身体を抱きながら顔を背ける。
 その理由はユリが答える。
「この服ね、意外とピッチリしてて胸のライン隠せないから恥ずかしいんだって」
「!?」
 一瞬アストの脳が沸いた。
 同時に思い出すのは、ゴア・マガラの攻撃を受けてサラシに絞められた胸が露になったツバキの姿を思い出す。
 いくらサラシで押さえ付けているとは言え、どうしても発育は続いているために完全には膨らみを隠せないのだ。
 フルフルシリーズやギザミシリーズという分厚い装備、それも男性用なので気にしなかったが、いざ薄着になるとそれが現れてしまう。
 今のツバキはユクモノドウギを着ているため、パッと見は年齢の割りにはやや胸囲の発育に乏しい女の子にしか見えないのだ。それはサラシで締め付けているために乏しそうに見えるだけで、いざその締め付けを外すと本来の大きさが戻ってしまう。
「みっ、見るなバカ!」
 ツバキは顔を真っ赤にしながらアストに背を向けて怒る。
「もう皆にも分かってるんだし、女の子だって隠すこと無いんじゃないかな?」
 ユリはツバキをアストに見せようと引っ張る。
「やめてくれユリィッ、セクハラで訴えるぞっ!」
「女の子同士なら大丈夫だよ!」
「そういう問題じゃなぁいっ!」
 もみくちゃになるユリとツバキ。
 見るに堪えないので、アストは支給されたユクモノドウギとタオルを持って部屋を出る。
 農もそれをスルーして部屋を出て、セージはユリの頭にチョップを与えてから集会浴場に向かう。

 〜地side〜

「あぁあぁあぁあぁあぁぁもぉお前ら死ねやぁーーーーー!!」
 地は荒ぶっていた。
 アグナコトル亜種が、ジンオウガ亜種が、ギギネブラ亜種が、ボルボロス亜種が次々に月穿ちセレーネの黄金色の焔に燃やされていく。
「ここにいたら炎に殺されちまうよぉぉぉぉぉ!!」
 ナーバスになりながらも、その射撃は正確無比で万発万中。
「オラオラァッ、死にたい奴も死にたくない奴もさっさと前に出てこいやーーーーー!!」
 地の咆哮が凍土に響く。