- 日時: 2014/08/05 11:43
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: OFVDhLPv)
クロスオーバー 7倍quasar ×ダブルサクライザー
二十九章続き
〜ミナーヴァside〜
「御馳走さんでしたwww 」 地はやはり即行で食べ終わっていた。 「おかわり、いただけるかしら?」 一方の霊華は、もう何度目のおかわりを要求しているのだろうか。 ルピナス曰く「十人分くらいはおかわり出来ますぅ」と言ったのだが、もう鍋の中のルーやおひつの御飯は底が見えている。ちなみに、この時点で霊華以外誰もおかわりをしていない。 「れ、霊華様……さすがに食べすぎではありませんか?」 残妖は裕に九回目のおかわりを食べ終えた霊華に歯止めをかけようとするが、ルピナスはニコニコと霊華の皿を取っては最後のおかわりを盛る。 「霊華ちゃんはぁ、よく食べますねぇ。作る方としてはぁ、嬉しい限りですぅ」 ルピナスはそう言うものの、地からすれば家計が火の車である。 「いいじゃない、おかわりはまだあるのだから」 何が悪いの?と霊華は言い張るが、今の霊華を肯定できるのはルピナスぐらいで、それ以外は絶句している。 絶句しているこの状況をどうにか振り切ろうと、カトリアは話も切り出す。 「えー、皆そのままでいいから聞いて。ハンター各人は、これから狩りに出ます。まず、狩り場から何か採ってきて欲しいものがあれば先に聞いておきたいの。何かある?」 つまり、狩り場に赴くついでに必要なものがあれば集めてくると言うのだ。 「はいよカトリア、アタシから一つ」 最初に挙手をしたのはライラだ。 「はい、ライラ」 カトリアは彼女を言い当てる。 「もし渓流に行くんなら、狩り場のその辺で転がってるって言うユクモの木を採ってきてくんないかな。丸太ごとじゃなくても、簡単に持ち帰れる程度の大きさを幾つかでいいって、じいさんが言ってたからさ」 ライラの言うじいさんとは、このユクモ村の加工屋のことだ。高齢の竜人ではあるが、その分というか知識はライラが本気で尊敬できるほどであり、歳だからといっても加工の腕も達者である。 「ユクモの木ね。なら、グループを分ける際に渓流組と作ろっか。他に意見は?」 カトリアは紙にペンを滑らせ、ライラの意見を書き取ると、他の意見を訊くが、他に意見は挙がらなかった。 「他には無いね?じゃあ、グループ決めは依頼の状況を見てから決めよっか。異論とかはない?」 「あぁ、すまない。俺からも一つだ」 次に挙手をするのは碧だった。 「はい、碧さん」 「俺は地と組ませてもらう。このアホと組むのは疲れるだろうしな」 碧は地を指しながら意見を述べる。 「あー、それ俺も思ってたわ。ツッコミなら碧じゃねぇと物足りねーしwww 」 地の方も賛成する模様だ。 ふと、ツバキがボソッと呟く。 「地さんって、マゾな上にホモなのか……?」 「ちょwww それはねーわwww 自重してくれwww 」 地はそんなツバキの呟きも逃さず拾う。 「自重してくれと頼むのは俺がお前に対してだ」 碧は地を掴むと、窓からポイッと放り出した。 「はんぶらびっ!!」 捨てられた地は落ち葉の中に頭から突っ込む。 「話が逸れたな。妖、いや、この世界では残妖か?お前はどうする?」 碧は残妖に目を向ける。 「あ、はい。私も狩りに出るつもりです。昨日はカトリアさん、アストさん、セージさんと組みました」 「そうか、わかった。カトリア、だったか?判断やグループの決定はそちらに一任しても構わないか?」 俺は地と組む、と窓を一瞥してから、カトリアに向き直る碧。 「はい。では碧さん、地さんのことお願いしますね」 カトリアは快く頷く。 「安心してくれ、あのアホは俺が責任を持って止めておく」 「おいこらwww 誰がアホだよwww 」 なぜか地は天井裏から部屋に入ってくる。普通に玄関から入ればいいはずだが。
〜炎side〜
ドボルベルクと言うディフェンサーを失った、ジンオウガとナルガクルガ。 「ガァルァァァァァッ!」 「ッシャァァァッ!」 ジンオウガとナルガクルガは左右から展開する。 しかし、ディフェンサーを失った以上、迂闊に攻め込んでくることはないだろう。 ナルガクルガが尻尾をしならせ、尾棘を放つ。 無論、炎にはそれが見えている。 剣を抜き放つと、ナルガクルガの飛来する尾棘を全てその剣で叩き落としていく。 「ストッパーたるお前には、大した攻撃はない……」 だが、ナルガクルガに注意を向けるのが目論見なのか、ジンオウガは背後から雷拳を炎を降り下ろそうと振りかぶってくる。 「そして……」 炎は一瞬で距離を詰め、ナルガクルガの尻尾を掴む。 「シャァッ!?」 そのまま炎はハンマー投げのようにナルガクルガをぶん回して、ジンオウガの雷拳にナルガクルガにぶつけた。 「お前は、雷に弱い」 「シャギャァァァァァ……!」 ジンオウガの一撃を直撃したナルガクルガはその場で息絶えた。 「あとはお前か」 「グルゥゥゥゥゥッ……!」 ジンオウガは、倒れたドボルベルクとナルガクルガを見やり、怒りを露にする。仲間意識はあったのだろう。 「ルゥガァァァァァッ!」 飛び掛かり、炎を仕留めようと雷拳を降り下ろす。 しかし、冷静である炎にそれは通じない。 ジンオウガは何としてでも炎を道連れにでもしようと苛烈に襲いかかる。 「もう終わらせてやる」 炎は大きく距離を取ると、背中の装甲から湾曲した刀、ショーテルを取り出してそれを投げ放つ。 飛来するショーテルはジンオウガの角を砕き、頭部に突き刺さる。 「グアァァァァッ!?」 ジンオウガは激痛のあまり悶え苦しむ。 その隙を見逃す炎ではない。 「散れ」 炎の宣告。 もうジンオウガの末は決まった。 炎は両脚の装甲の爪先に当たる部分からブレードを展開する。そのブレードは、人間が汗をかいて体温調節を行うように、炎の高くなった体温を吸収、蓄積し、展開時には超高熱となって赤く輝く。 悶え苦しむジンオウガに躍りかかる炎。 その爪先の超高熱のブレードが舞うように振り抜かれ、ジンオウガの甲殻は斬り刻まれていった。 炎は着地する。 「戦いとは鬼道なり。策無く、己が勢いのまま戦うは、敗れる兆しなり」 炎の爪先のブレードは脚の装甲に収納された。 それと同時にジンオウガは四散した。 すると、四散したジンオウガから青緑色の光の玉が浮かんでくる。ドボルベルクとナルガクルガからもだ。 「こいつら、俺の力の一部を持っていたのか……」 炎の散らばった力を偶発的に吸収してしまったのかも知れない。凍土でもブラキディオスの死骸からは同じように光の玉が浮かんでいたのだ。 炎はその三つの光の玉を回収する。 「さて、あと少しだな」 炎はその場から歩き始めた。 |