Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ二代目!企画選抜タイム( No.1159 )
  • 日時: 2014/08/07 15:58
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: .ibdy8w9)

 クロスオーバー 7倍quasar×ダブルサクライザー

 三十一章続き

 〜残妖&ツバキside〜

 二人は狩り場を回り、倒木の一部を剥ぎ取っていた。
 ライラからの依頼で、手頃なサイズのユクモの木を集めてきて欲しいとのことである。
 今は、地図上で言うところのエリア4にあたる。
 自然災害か何かに巻き込まれたのか、民家のような建物が残っている。
 その側に倒木はあった。
 ただ……
「……、おかしい」
 ツバキは神妙な声で呟く。
「何が、おかしいんですか?」
 採れるぶんの木を麻袋に詰めていた残妖は、神妙な声のツバキを見て首を傾げる。
 ツバキは注意深く辺りを見回しながら、その理由を答える。
「だっておかしいだろ。ここまでに三つもエリアを渡って、小型モンスター一匹見当たらないなんて、不自然すぎる……ドスファンゴはそこまで危険なモンスターでもないはずだ。なのにどうして……?」
「ツバキさん、考えすぎではありませんか?今回がたまたまこうなっているだけで……それに、まだ他の区域も見てないですよ」
「それはそうなんだけど……」
 残妖の言う通り、本当にたまたまなのかもしれない。  
 それでも、ツバキの中には腑に落ちないモノがある。
 とにかく、ここで留まっていても仕方がないので、エリア7へ向かう。

 エリア7。
 大きな稲穂が生い茂るこのエリアの中央に、巨体が見えた。
 焦げ茶色に、銀色の髭のようなたてがみ。
 モンスター図鑑のイラストの通りなら、こいつがドスファンゴである。
 が、その武器である勇壮な二本の牙は、なぜか両方とも折れている。
「……?」
 ツバキは鬼斬破の柄に手を置きながら、残妖を庇うように前に出る。
 ドスファンゴは、まだこちらに気付いていない。
 と言うより、あのドスファンゴは周りなど気にしている場合では無いように見える。
「縄張り争いでしょうか?」
 残妖は小さくツバキに問い掛ける。
「かもしれないな……、ッ!?」
 一瞬だけ残妖に気を向けていたツバキは、慌てて前に向き直る。
 ドスファンゴは、何者かに踏みつけられていた。
 そしてーーーーー食い潰されていく。
「っ……!?」
 残妖は見てはならないものを見てしまったように、目を見開く。
 ドスファンゴの三倍以上はあるだろう、黒い巨体。
 まさに悪鬼、化物、怪物だ。
「こ、こいつ、はっ……!?」
 そのモンスターはドスファンゴを粗方食い潰すと、今度はツバキと残妖に向き直った。
 まるで、次の料理が運ばれてきたかのような目で、だ。
「ぁ……ぁあ……?」
 残妖は恐怖のあまり、その場から動けなくなった。膝はケタケタと不気味に笑い始め、手が震える。
 モンスターは舌をなめずると、残妖を見る。
 次はあれを食べよう、と。
「残妖ッ!!」
 ツバキは怒鳴り、残妖を軽く殴った。
「みょんっ?」
 その衝撃で残妖は我に返る。
「逃げるぞっ、想定外だ!」
 残妖を促し、元来たエリア4へ逃げようとするツバキ。
「は、はいっ!」
 モンスターに背を向けて一目散に逃げる二人。
 だが、残妖はまだ恐怖が心を蝕んでいるのか、足が縺れて転んでしまう。
「あっ……!?」
「残妖!」
 転んだ残妖に、モンスターは唾液を滴らせながら牙を剥き出しにする。
「いっ、いやっ……!」
 急いで起き上がろうとする残妖だが、彼女とモンスターとの距離はもう近い。
 牙が残妖を捕らえる……寸前、その頭に雷光が一筋走った。
 ツバキが鬼斬破による一撃を与えたのだ。
「早く逃げろ残妖ッ!こいつは俺が……!」
 ツバキはモンスターの気を逸らすように、側面へと回り込んで攻撃を敢行する。 
「グオォウゥッ」
 モンスターもツバキを敵と見なしたのか、その方へ向いた。
 残妖は立ち上がって、恥も外聞もなく逃げ出した。
「誰かに伝えないと……!」

 〜ユリ&冥花side〜

 ユリは早速蜂の巣箱を管理しているアイルーに話し掛ける。
「ねぇ、この蜂の巣箱のハチミツってどうやって取るの?」
 そう言いながら、ユリは巣箱に近付く。 
「ちょっと待つニャあんた。そのまま近付いたらボコボコにやられちまうニャ」
 そのアイルーの注意を裏付けるように、途端に巣箱からミツバチの数が増えた。
「ひゃっ?」
 ユリは驚いて足を止め、後ずさる。 
「その格好じゃ危ないし、黒いから熊と誤認されるんだニャ。これを上から着るんだニャ」
 管理アイルーは、木に干してある白い服や手袋や頭巾を持ってくる。
 実際の農家でも使われているようなそれは、蜂を通さない作りになっている。
 アイルーもそれに着替えるので、ユリもそれを上から着る。
 全身白づくめになってから、管理アイルーとユリは巣箱に近付く。 
「まだプロトタイプだから多くは採れんがニャ、少しは採れるニャ」
「巣箱の中ってことは、巣があるんだよね?大丈夫?」
「ニャんの、蜂が恐くてハチミツ採集が出来るかニャ」
 管理アイルーは巣箱の天板を押さえている重石をどかし、巧妙な手際で天板を取り外す。
 その中にある蜂の巣として作られている重箱状の巣があり、ミツバチ達は驚いて一斉に飛び出し、管理アイルーとユリの作業服にまとわりつく。
「うわぁ、これほんとに大丈夫なの?」
 ユリは面白半分、不安半分で身体中についているミツバチを見下ろす。
 管理アイルーはユリに構わず作業を続けるので、ユリはそれに続く。
 重箱状の蜂の巣の周りを型どる、重箱内の板を巣箱から取り外す。
 それらを持って巣箱から離れ、農場の小さな小屋まで来ると、専用のろ過装置に置いて、木枠から巣を切り離す。
 すると、蜜が溢れだしてろ過装置に滴る。装置を通じてろ過されて不純物の無くなったハチミツが、下のカップにトロリと入っていく。
「ほれ、これで調合に使えるハチミツ三つ分の量が採れたニャ。まだプロトタイプだから、これで終わりだがニャ」
「すごいね、ハチミツってこんな風に作られるんだ?」
 ユリは感心して、完成されたハチミツを見る。
 一方の冥花は完全にスルーされており、ただそこで欠伸を漏らすばかりだ。