- 日時: 2014/05/07 18:26
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: rTKk6iWl)
クロスオーバー ダブルサクライザー×翼の勇車
十章続き
ミズキside
ミズキ、カスケ、ネオはちんまりと待っていた。 クック、ギザミ、トトスの三体が『ズレ』を感じたために見回りに行ってから、早一時間が経っていた。 「やっぱり遅すぎるよ」 ミズキは立ち上がった。 「ミズキ?」 「どこにいくにゃ?」 カスケとネオは立ち上がったミズキを見て声を掛ける。 「私、皆を探してくる」 「ちょっと待ってミズキ」 カスケは踵を返そうとしたミズキを止める。 「一人じゃ危険だよ。僕も行く。ネオもだね?」 「当たり前だにゃ。ミズキを放っていたら、密林中がパニックになっちまうにゃ」 「あのねぇネオ?私はそんなに無鉄砲じゃありませんっ」 むぅっと怒るミズキ。 「とにかくだよ。まずはここから一番近いクックの所に行こう。ミズキも、突っ走ったらダメだからね?」 ミズキとネオを仲介し、カスケはミズキの前に立って諭す。 「う、うん……」 カスケに言われると、ミズキは頬をほんのり赤らめて押し黙る。 さりげなくリーダーシップを張っている彼は、見ていて格好いいし、頼れそうだ。いや、頼らなくては勿体無い。 「じゃあ、行こうか」 カスケを先頭に、エリア7、つまり鍾乳石の壁と崖に囲まれたエリアへ向かう。
エリア7。 そこには、いかにも楽しそうな光景が広がっていた。 人一倍臆病で人見知りの激しいルカが、見知らぬ女の子を背中に乗せてはしゃぎ回っている。 もちろんそこにクックもいるのだが、彼だけではない。 ハンターが一人、そうでない人間が二人、オトモアイルーらしきアイルーが一匹だ。 「クック!何してるんだ?」 カスケは蔦を滑り降りてクックに駆け寄る。 「ん?あぁ、カスケ。見ての通りだ。ルカがとっても楽しそうだ。俺は嬉しいぞ」 クックは剽軽な顔を微笑ましげにしながらカスケに向き直る。 そのルカは満面の笑顔で女の子を乗せている。 「それそれーっ!」 「うわっほぉうぅっ!?ルカちゃんちょっと危ないですーっ!」 危ないとか言いながら、女の子は全力で楽しんでいる。 ふと、一人のハンターがカスケに気付く。 フルフルシリーズを装備しており、背中には太刀を背負っている。今はフードのようなフルフルヘルムをずらしているためか、その中性的な容姿がよくわかる。 「失礼、アンタは?」 ハンターはカスケに近付いてくる。 「あぁ、僕は彼らの友達だよ」 「友達?こいつらが、か?」 ハンターは驚いたような顔を見せる。 当然だろう。アイルーなどを除いて、モンスターと友達になっている人間など見れば驚きもする。ルカの背中の女の子もその一人なのかも知れないが。 「うわぁ、あんなに楽しそうなルカちゃん、久しぶりに見たよ」 「信じられんにゃ」 ミズキとネオも続いて蔦を降りてくる。 ハンターは降りてきたミズキとネオにも向き直る。 「アンタ達も、あの二頭の友達なのか?」 ミズキはハンターに気を向かれて戸惑った。 目の前で面と向かわれると、かなりの美少年だ。女の子と言っても差し支えないほどに。 「う、うん。あの、あなた達は?」 その会話を聞いていてか、オトモアイルーもやってくる。 見たこともない装備で身を包んでいる。まるで海賊のような出で立ちだ。 「話しても理解はしてもらえんだろうがニャ。聞いてくれるだけで構わんニャ」 オトモアイルーはこれまでの経緯を話してくれた。 昨晩は普通に眠ったはずのこと。目覚めたらここにいたこと。青いイャンクックと戦闘をしていたら、クックが助けてくれたこと。ルカもやってきてクックに泣きついていたら、女の子がルカに抱き付いたりして、今のように至ること。 「意味が分かんないにゃ」 ネオは首を傾げる。 「だろうニャ。オレも分からんニャ」 オトモアイルーも溜め息をつく。 「でもまぁ、分かったことはあるよ」 カスケが前向きに答える。 「クックが無事なら、きっとギザミとトトスも無事だよ。同じ『ズレ』を感じたなら、ここと同じような状況になっているかもしれない」 そう。彼らが感じた『ズレ』が同じかどうかの確証は持てないが、その確率は高いと信じたい。 「あっ、お姉ちゃん!」 ルカはミズキに気付いたのか、女の子を乗せたまま駆け寄ってくる。 「ふぇーっ、さすがに目が回りましたーっ」 ルカの背中の女の子は疲れたようにルカの背中に倒れている。 相当はしゃぎ回っていたらしい。 とにかく、まずは互いに自己紹介を行い、名前で呼び合えるようにだけはしておき、互いの状況を話し合った。 「ニャるほど、カスケ達の方の状況は分かったニャ」 セージと言うらしいオトモアイルーは頷く。 「そうなんだ。他の二人も似たような状況になっているかもしれない。これからそこに向かうんだけど……」 「あのぉ、ですからぁ、ご飯はどうするんですかぁ?」 ルピナスという女性が挙手する。 彼女を除いて、全員忘れていた。 |