- 日時: 2014/05/11 16:39
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: mkmdBJ1l)
クロスオーバー ダブルサクライザー×翼の勇車
十二章続き
セージside
鍾乳石の洞窟を抜けたその先には、目映いばかりの蒼が広がっていた。 熱帯雨林のような林の向こうに、蒼海が広がっている。 だが、その波打ち際にはキレイに二枚卸しにされた巨大な魚のようなモンスターが横たわっていた。 「まさかっ、トトスッ!?」 ミズキはゲネスケから飛び降りてそのトトスらしき屍に駆け寄る。 「落ち着いてミズキ、それはトトスじゃないよ。ガノトトスの、亜種だね」 カスケは冷静にその横たわるガノトトスと言うらしいモンスターに着眼する。 「あ、ほんとだ……トトスはこんなに緑色じゃないもんね」 ホッと胸を撫で下ろすミズキ。 クックはそのガノトトスに近づく。 「このやられようは、トトスのトトス・カノンだな。まだ死骸が腐敗しきってない、と言うことは、トトスがこのガノトトス亜種と交戦、倒したばかりか。だとしたら、近くにいるはずだが……」 クックはキョロキョロと首を回す。 「あらぁ、あんまり美味しくなさそうなお魚ですねぇ」 クックの背中の上で、ルピナスがそんな評価を下している。突っ込むところが違う気がするがスルーした方が良さそうだ。 「ん?」 ツバキはクックの背中から降りると、地面にしゃがみこんだ。 「どうしたニャ、ツバキ」 ルカの背中の上のセージが、ツバキを見やる。 ツバキは地面に転がっていたそれを拾ってきた。 それは、使い古したカラ骨だった。 「多分これは、ニーリンさんの空薬莢だ。ここでニーリンさんが戦闘を行っていたのは間違いないかもな」 よく見れば同じような空薬莢がいくつも転がっており、地面を埋め尽くしていた。どれだけ弾を撃てばこんな状況になるのだろうか。 その瞬間、ネオは青ざめた。 「まさかっ、そのニーリンさんって言う人、トトスと戦ったんじゃないかにゃっ……!?」 しかしネオのその憶測をカスケが否定する。 「多分それはないよ、ネオ。トトスは荒くれものだけど、好戦的じゃないから、話の分かるヒトを傷付けたりしない。大方、ここじゃないどこかで武勇伝を披露してるんだと思うよ」 「そ、そっかにゃ……」 クックはここから分岐しているいくつかの道を一瞥していく。 「どうするカスケ。エリア10の孤島はトトスの関知の外だが、一応ギザミのテリトリーになっている。ギザミは森を見に行くとは言ったが……」 「そうだね、可能性はゼロとは言い切れない。夜になって潮が満ちてからよりかはいい。先にエリア10に向かおうか」 クックの意見を取り入れたカスケは、波打ち際に足を踏み入れていく。他の皆も続いていく。
アストside
「んでよぉ、そこで俺様のトトス・レーザーが炸裂して……」 「ふむ、聞けば聞くほど不可解かつ無理解な想像に頼る武勇伝だな、トトスくん」 トトスが自分を称えるトトス武勇伝を披露している。 ほとんどの者は呆れてものが言えない状況だが、ニーリンだけが真面目に聞いていた。 「そういう私はだよ、トトスくん。工房試作品でなぁ、ガノトトスの水ブレスを応用したロングスナイパーライフルや、リオレウスの火球ブレスを再現したラケーテンバズーカを使ったことがあってなぁ。それに驚いて引っくり返るゲリョスのリアクションが面白いこと面白いこと……」 「マァジでぇ?カッケェなオイ!」 ニーリンはニーリンでよく分からない話を持ってきている始末である。 もはや、トトスとニーリンの間に入ることは不可能だ。色んな意味で次元が違いすぎる。 「それとそれとだ、あの超絶デブのグラビモスとやり合った時なんだけどよぉ。俺様の亜空間タックルによってかすってもねぇのに、そいつがボールみたいに跳んでくのよ。いやぁバウンドしていくデブを見たときは爆笑もんだったわぁ」 「おぉ、グラビモスで思い出したぞトトスくん。グラメガキャノンというヘビィボウガンを使った時だったんだがなぁ、なんとそのボウガンは弾が装填できないんだ。じゃあ何だコレはと引き金を引いた時だったよ。ボウガンからグラビモスの熱線が照射されたのさ。真っ白なフルフルが真っ黒になった時は片腹が痛くなってしまったよ」 ……もう収拾がつかない。というかニーリンはデタラメなことしか言っていないが、トトスは面白がっている。 ふと、ギザミは海辺の方を見やる。 「そう言えば、ビーチの方とか見てないな」 「ギザミくん?どうしたの?」 アストとユリに手を繋いでもらいながら、カトリアはギザミに話し掛ける。だいぶ打ち解けてきたようだ。 「ちょっと席はずしますね、カトリアさん。すぐ戻りますから」 そう言うと、ギザミは少し離れてからハサミを地面に突き刺して地中へ潜っていく。 |