- 日時: 2014/05/21 09:58
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: ktcE6mPm)
クロスオーバー ダブルサクライザー×翼の勇車
十七章 共感
気が付けば随分たくさんのモンスターがこの場に集まった。 イャンクック、ダイミョウザザミ、ガノトトス、イャンガルルガ、ドスゲネポス、ゲネポス二頭、クルペッコ、ドスランポス、ドスイーオス、ドスガレオス、ゲリョス、クイーンランゴスタ、アルセルタス、ゲネル・セルタス。 種を問わずこうまで集まれるのだ。やはり彼らは肉体的にも精神的にも並外れた存在だ。 「……よく、理解できません」 ふと、エリスが一人ごちた。 「どうしたの?えっと、エリスちゃん?」 ミズキは、頭を悩ませているような顔をしているエリスに声を掛ける。 エリスはミズキに目を向ける。 「……モンスターがヒトの言葉を理解し、口にする。それはアイルーも同じです。ですが……」 「?」 ミズキはエリスの視線を覗く。 その視線は、人間達とモンスター達の両方に向けられている。 「……獣人種には、本能とは別の理性もあります。なのに、なぜそうでない種までもがヒトと同じように話せるのでしょう?」 「確かに、それは気になってはいました」 エリスとミズキに歩み寄ってくるのはドスランポス、ランだ。 「私は、親が既にヒトの言葉を用いながらの生活に慣れていたのでしょうか。今となってはランポス本来の言葉すらもわすれそうですが」 ランはエリスに向けてそれを言う。 エリスは相手がドスランポスということに一瞬躊躇いを感じたが、超大陸のモンスターの生い立ちなどを知りたい気持ちが勝った。 「……考えましょう。そして、答えを出しましょう」 「えぇ、エリスさん。存分にどうぞ」 互いに、人間とモンスターの共存やら超大陸で生まれるモンスターの様子などを語り合う、エリスとラン。 ミズキにはとても追い付けなさそうなので、この場は離れた。
「そうなんですかぁ。ゲネッポさんはぁ、お料理が得意なんですかぁ」 ルピナスはニコニコとゲネッポと会話している。 「せやで、ルピネエ。ワイの料理は五ツ星級と噂されとるからな。おぉ、そうやそうや」 ゲネッポは前足をポンと叩く。 「おぉいクック、ちとえぇか?」 ゲネッポはクックに声を掛けた。 「どうした、ゲネッポ?」 「アンタんとこの巣、炊事場とかあったやろ?使ってかまへんか?」 イャンクックの巣に炊事場があるのいうのだ。 この大陸のモンスター達はどんな生活を送っているのだろうか。 「あぁ、構わないぞ」 クックはコクンとその剽軽な顔を縦に振った。 「おおきに。ほなルピネエ、行きましょか」 「はぁい」 ルピナスはドスゲネポスが相手だと言うのに特に怖がることもなく、ゲネッポについていく。
マガレットは、ゲリョスのゲリョに話し掛けていた。 「ゲリョさん。超大陸のゲリョスでしたら、やっぱり体内で分泌出来る毒も、普通のゲリョスとは違うんですか?」 どうやら、超大陸における毒について気になっていたようだ。 「うむ。我の毒は劇物の数百倍に相当する程度のモノだが、それがどうかしたのか?マガレット殿」 「げ、劇物の数百倍、ですか?それって、普通の人間は吸うだけで即死レベルですよね?」 恐らく、人間の化学技術でもそれだけの危険物質は作り出せないだろう。マガレットはゲリョの発言に半歩退いた。 「いや、そんなものでも使いようだ。以前にクック殿の妹たるルカ殿が体調を崩された時、我の毒を送り込むことで急速に抗体を作り上げることも出来る。毒も扱いようによっては薬になることは、医療人たる貴方も存じているだろう?」 「え、えぇ。文献や資料などでそういったケースもある、と言うことは知っていますが……」 マガレットはどうにも落ち着けなかった。 危険物が歩いているようなものなのだ。 「そうだ。マガレット殿、狂竜ウイルスはご存知かな?」 ゲリョは話の内容を変えてきた。 狂竜ウイルスと聞いて、マガレットの目付きが変わった。 「はい。といっても、まだ名前ぐらいしか」 「それについて、何か知識があれば教えて頂きたい。こちらも可能な限り知識を提供する」 マガレットとゲリョは、しばらく狂竜ウイルスについて語り合うのだった。
シオンはモンスター達を前にキョロキョロと見回していた。 そして、視線が止まったのは、ドスガレオスのレオだった。 レオはその視線に気付いてシオンに向き直る。 「ヒャッハッ!どうしたお嬢ちゃん?」 「乗っていいですかっ?」 シオンはレオの平たい顔と背ビレを見比べながら訊く。 一瞬、レオは呆気を取られたがすぐにいつものハイテンションを取り戻す。 「ヒャハ!オレのスピードに惚れちまったか?オーケイ、乗りな!」 「ひゃっほーっ!」 シオンは喜び勇んでレオに飛び乗ろうと背ビレに手を伸ばす。 「ヒャ!?ストップだお嬢ちゃん!オレの背ビレは……」 時既に遅し。シオンはその背ビレに手を触れた。 「!?!?!?!?!?!?!?」 途端、シオンは声にならない悲鳴を上げて、その場で全身を痙攣させて倒れた。 それを見て、慌ててカスケが駆け寄ってくる。 「シオンちゃんっ、大丈夫!?」 「っっっ……?っっ……、っっっっっ……!!」 シオンは必死に何か訴えようとしているようだが、声が出ていない。 忘れがちだが、ドスガレオスの背ビレには麻痺性の神経毒が含まれているのだ。 声帯まで麻痺しているのか、シオンはしばらくその場から動くことも喋ることも出来なかった。 「ヒャ、オレも忘れかけてたぜヒャッハ……」 レオはその平たい顔を困ったように歪ませた。 しばらくしてからシオンは動けるようになって、懲りずにレオに乗りたいと言うため、今度は首に乗るように言ったものの、首では地面に埋まってしまうため、結局諦めざるを得なかったのだった。 |