- 日時: 2014/04/21 18:36
- 名前: 片手拳 ◆EBwplS/Cbs (ID: awRhgtfW)
〜第二十話「一買い行こうぜ!・後編」〜
雑貨屋に着くと、そこには既に先客がいた。 二人の男ハンターが話しながら買い物をしている。
一人は青緑の派手な色彩の防具、ジンオウSシリーズを身に付けている。 背中には、飛竜刀【朱】と思われる太刀を担いでいる。 どこかで聞いた事のある声だが、フルフェイスなので顔が見えない。誰だったっけ……?
もう一人はずいぶんと見慣れない服装だ。 頭には円く平らな板のような、頂部にガーグァの羽を生やした防具を付け、胴から下は薄手の黒っぽい服のような防具を付けている。 確か、ユクモノ天シリーズだったかな……? こちらも武器は太刀。見た目はディオスソードのようだが、違うらしい。赤っぽく輝いているのがここからでも分かる。
ジンオウSシリーズのハンターが店員に話しかけた。 「砥石って売ってますよね?」 「ありますよ。お一つ80zになります」 「それじゃあ20個頼みます」
ユクモノ天シリーズのハンターも買い物があるらしい。 「……双眼鏡はあるか?」 「はい。おいくつでしょうか」 「一つでいい」
二人のハンター達は買い物を済ませたようだ。 「お買い上げありがとうございます!」 店員の元気のいい声が聞こえてきた。
二人のハンター達はその場に立ち止まって話し始めた。 まず口を開いたのはユクモノ天シリーズのハンターだ。
「なあレン、お前最近様子がおかしいぞ。どうしたんだ……?」 どうやらジンオウSシリーズのハンターはレンだったようだ。そういえば前に一緒に狩りに行った時もジンオウシリーズだったし。 「……」 レンは黙り込んだ。
「あ、お前もしかして好きな人でもいるのか?」 「そ、そんな訳ないですよ師匠〜」 レンは必死に反論しているが、どうやら図星だったらしい。
……というかユクモノ天の人、レンの師匠なのか。 さぞかし腕の立つハンターなのだろう。
「レン、お前がそういうなら、あまり詳しくは聞かないでおこう。ただ、もしボクに打ち明けてくれたら、協力してあげようと思ったんだけどなぁ……」 「……お願いします」 今この二人の話を聞いて思ったが、レンの師匠もなかなか面白い人だ。 「まあいい。こんな所で話してたら本人の耳に入らないという保証はない。続きはボクの家で話そう」 それもそうだ。と、私はつい無意識に相槌を打ってしまった。
……レンの師匠はレンを引きずるようにして連れて行った。
さて、買い物に戻るとしよう。
「あの、すいません!」 「いらっしゃいませ〜」 店員が甲高い声で私を歓迎する。
賞品の値段を確認すると、明らかにお金が足りない。 砥石と回復薬はあくまでストック用なので、後回しでいい。 そこで、上位昇格試験で絶対に必要だと思われる残りの二種を購入する事にした。
「大タル爆弾を三つと、爆雷針を一つ下さい」 「合計908zになります。お買い上げありがとうございます」 私は先ほどの闘技大会の報酬を丸ごと出し、お釣りを貰った。 爆雷針は初めて買ったが、案外高い物だな。一つ140zとは……。 まあいい。一つあれば何とかなる。 後は、回復薬が買えなかったので、家に帰って調合するとしよう。
それより、問題は、買った品物がポーチに入らない事である。
私は両脇に大タル爆弾を抱え、頭に大タル爆弾を載せ、口に爆雷針を咥えるという猛烈に変な恰好で帰路についた。
〜第二十一話につづく〜 |