- 日時: 2014/06/01 16:17
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: jYV20EP7)
クロスオーバー ダブルサクライザー×翼の勇車
二十一章続き
ゲネッポとネオが何かを感じて、クックの巣を飛び出したからに、一人残されるルピナス。 「あんなに慌ててぇ、どうしたんでしょぉ?」 ルピナスは小首を傾げて、人差し指を頬に当てる。 「あぁぁ、それよりもお鍋お鍋ぇ」 薪を足して火を強め、先程ゲネッポから教えてもらったスライスサボテンを加える。 そうして煮込むこと数分。 一度だし汁をおたまにすくって味見をしてみる。 「ん〜、美味しくなってますねぇ。さすがはぁ、ゲネッポさん」 ルピナスは満足げに頷くと、もうしばらく鍋に火を掛けておく。 手持ちぶさたになってしまった。 食料はまだまだたくさんある。 「もう一品、何かつくりましょぉかぁ」 そういうと、ルピナスは食料の山に手を伸ばす。 外では緊迫した空気が張り詰めている中で、ルピナスは一人のんびりと調理を続けているのだった。 「これとぉ、あとこれでぇ……」
先程まで、平和で楽しい時間だったと言うのに、一瞬にして殺伐とした空気に変わってしまった。 ミズキは、クックやティガを突破してきたクシャルダオラの事をアルタスから聞いてから、気が気でなかった。 クックやティガのことももちろん心配だ。 だが今はどうすることも出来ない自分にもどかしさを感じていた。 「私が、もっと強いハンターなら……」 ミズキはふと、自分の装備を見てみる。 防具は、クックの古くなった鱗などを分けてもらった防具。 鍛冶屋などに評価してもらったそれは、古龍種にも匹敵する防具だという。 武器は、超大陸のモンスター達と出会う以前から使っていた、ドスバイトダガーだ。 防具はこれでいいかも知れないが、武器がこれでは太刀打ちも出来ない。 「ミズキ」 ドスバイトダガーを見詰めていたミズキに話し掛けるのはカスケ。 「カスケくん?」 カスケはいつになく真剣な顔でミズキを見詰めていた。 そんな彼の顔を見てドクリと心臓が跳ねる。 「本当は黙っておきたかったけど、そうも言ってられない。僕じゃ無理だったけど、ミズキの、モンスター達と心を通わせられる心があるなら、『アレ』が使えるかもしれない」 「『アレ』って……?」 「いいから来てほしい」 カスケは踵を返すとその場を後にしていく。ミズキもその後を追う。
普段は入れない、不可侵領域に入っていくカスケとミズキ。 「カスケくん、一体何を……」 その不可侵領域の奥の奥。 そこには、小さな祠が奉られていた。 「ここは、僕とクック、ギザミとトトスぐらいしか知らない場所だよ。僕自信も、ここに来ることは禁忌としていた……」 カスケは祠に入り、その奥から古めかしい箱を取り出してきた。 「これは……?」 ミズキはその古めかしい箱を見て目を細めた。 「開けてみて」 カスケに促され、ミズキはその箱の蓋を開けた。 そこにあったのは、一振りの剣と盾……つまりは片手剣だ。しかし、その片手剣は石化しているかのような灰色をしており、まるでただの石のようだ。 「それを、持ってみて」 カスケがそう言うままに、ミズキはそれを手に取った。 すると、その剣と盾は途端に目映いばかりの光を放った。 「んっ……!?」 ミズキは思わずその剣から手を離そうとする。 だが、その剣の柄はミズキの掌から離れず、ミズキの意志に関係なく握らせている。 すると、灰色だった剣と盾はその灰色を吹き飛ばすかのように、その下から本来の姿を現した。金色の柄に、蒼く輝く刃、盾も同じような煌めきを放ち、それぞれの中央に碧の宝玉らしき玉が埋め込まれている。 「良かった。ミズキになら反応してくれた」 カスケは安堵したように頷く。 「カスケくん、これは……?」 ミズキはその片手剣とカスケを見比べる。 「超大陸と言う自然から生まれた、謂わば偶然の産物だよ。僕もクック達から聞いただけだけど、銘は『超龍剣【天一門】』らしい。いつ、どこで、何が起きて、こんなものが存在したのか、誰も分からないんだ。ただ分かるのは、使い手を選ぶってことだね。僕が持っても何も起きなかった。クック曰くの話だったから信じにくかったけど、こうしてミズキが力を解放してるんだ」 信じざるを得ない、とカスケは息をつく。 「これ、私が使っていいの……?」 「いいも何も、ミズキにしか使えないんだから」 ミズキは改めてその超龍剣【天一門】を見下ろす。 初めて触れたはずなのに、使いなれたような感覚がわかる。 そして、ミズキの中で確かな何かが生まれた。 これなら、戦えるのだと。
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