- 日時: 2014/06/01 21:08
- 名前: 真夏のペンギンさん (ID: QftNdw2r)
2話 目視の限界
☆メイ視点
セロが別人みたいになっているのを私は瓦礫の下で見ていた。血塗れで肉を裂く彼は悪魔の様に恐ろしかった。助ける為になんとか動こうとするが全身が燃える様に痛い。こんな時に動けない自分が憎たらしい。目の前がぼやけてセロの動きが追えない。ただ彼が不気味に笑いながら確実に追い詰めているのはわかった。全ての攻撃が憎しみで包まれている様だった。かなり消耗したアンノウンよりも優勢はセロにあった……が、それは逆転した。突然セロがたちどまったかと思うとうめき声を上げて頭を押さえてうずくまった。 「アア!!ガァァァァァァァ!!頭が割れる!!痛い!痛い!ガァァァァァ!俺はまだ、まだ、ま……たぁ……」 セロはその場に倒れた。アンノウンの目の前でである。その距離約2m。冷酷な殺意。意識を失った彼は身動き一つしない。うごかない身体で精一杯の声で叫ぶにも掠れ声しかでない。 「余を此処まで傷つけるとは……しかし貴様の命運も尽きたわ!天は余に味方した!」 彼の前でアンノウンが鍵爪を振り上げた。ダメだ!その場で見ているしかできない。身体が、憎い。死にたく成る程憎い。今の私には瞼を閉じる力も無かった。 「小僧!終わりだァァ!」 彼に無慈悲な爪が振り下ろされる。嫌だ!私はこのままじゃ嫌だ!嫌だァァ!何が何なのか分からなくなった。………………気が付けば私は下ろされたの下にいた。そしてゆっくり爪が降りてくる。私は手を前に出した。無意識に。ただ身体が命ずるままに。遠い昔から知っていたみたいな感じ。イメージを集中させる。護る。護りたいから!だから強くなったんだ!そう! 護る!! 同時に私の周りで引き延ばされた時間が元に戻る。そして私と彼の周りの大気が歪んだ。セロが起こしたのと同じだ。何も分からず自然と私は言った。 「ラムダ・ドライバ」 アンノウンが吹き飛び地面に叩きつけられた。突風で土埃が舞う。さっきまで動けなかったのが嘘の様だ。いや、アンノウンが起き上がる。私に向ける眼は怒りに燃えている。 「おのれェー!人間の小娘如きにィィィ!」 アンノウンが飛び掛かる。さっきの様に手を構えるが何がいけないのか壁ができない。やられると思った刹那何処からか途轍もない速さの弾丸が飛来した。アンノウンが爆発する。鉄鋼榴弾だ。しかしいったい誰が…… 「強榴弾ホーク・I・ドライブ弾」 抑揚のない声が聴こえる。森の中にライトボウガンのハンターがいた。綺麗な顔立ちに髪は長い金髪。女の様にも見える。しかし男性用の防具を装備しているしあの声からすると男だろう。あの距離から当てるとはかなりの手練れだろう。 「ブレ……無し、反動は極小、軌道補正……完了、次弾装填も完了……発射」 頭部に命中する。アンノウンが気づき黒い影の様に飛んでいく。しかし男は動じない。 「モード切り替え……白兵戦アサルトライフル。弾丸は……ラビットポップ貫通弾……ファイア」 男は逆に気が狂ったかの様にライトボウガンを連射し接近する。アンノウンとの距離はどんどん縮まる。彼奴がやられると確信したその時、奴の目の前にアンノウンは墜落した。あの男が撃った弾丸は全弾翼の付け根に被弾していた。セロが斧を投げ付けて肉が剥き出しになっていた所だ。そこに当て続けていたとは、何者なんだ。アンノウンが苦し紛れのブレスを吐く。しかし男は人とは思えない跳躍で回避するとまたも、 「モード切り替え……ボクサー散弾砲。弾丸、スパイダーラッシュ散弾……バースト発射」大きな炎の塊が直撃する。痛みにアンノウンが暴れた。 「馬鹿な……くっこの恨み必ず晴らしてくれる!」 アンノウンは影になり消えた。 「消えただと……そんなのアリかよ……くっ」 「動くな。お前の身体には相当な負荷がかかっている。彼奴もだ」 男はセロを見た。 「お前を護ろうとしたんだろうな。あそこまでの力場を形成するとは」 「よくわかんねないけど。まずありがとな。私はメイ。お前は誰なんだ」 「俺はクロイト・レージ。ギルド組織アマルガムの傭兵だ。階級は軍曹だ。ギルドマスターと議長に頼まれて君らを捜していた」 「へー。宜しくな!で何で捜してたんだ?」 「君らをスカウトする為だ」
To be continued
続けて良いのか?セロだけの予定がみんな炎さん化してきたぞ…… >>556 >>553 書いていいと思いますよ。私は何も言わずに書き始めましたし。
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