- 日時: 2014/06/03 19:43
- 名前: 布都御霊剣 ◆Mp0wNgpgF6 (ID: 5k4YnyPe)
モンスターハンター「焔の詩」12話後編 「俺は次のクエストで――ハンタ−を辞める」 そう、ジェノスが言い放ち、辺りはしんと静まり返った。 ただ、その場の空気を――静寂だけが占めていた時間が実質はほんの少しの間だったろう。 だが、精神的にはその時間は、10分にも、1時間とも感じられた。 そんな、長くて短い静寂を一番最初に破ったのが――ネフロライトだった。 「オイオイ、兄貴・・・・・・酒飲み過ぎて酔ってんじゃねえのか? 前も酒飲んだ時、口数が一気に増えてたしよ・・・・・・」 それから少し間をおいて、アズルライトがジェノスに話しかける。 「え・・・・・・ハンター辞めるってどう言うこと? このパーティーには、ジェノスが必要何だよ。なのに、どうして――」 正直な所、父さんを殺したと言う“黒龍”の事は気にならない訳でも無いが――いまはそんな根の葉も無い噂よりも、こっちの方がよっぽど重要だった。 一間置いて、右眼側に寄せていた髪を上げ、右眼を指差す。 その右眼――正確には瞼と言うべきだろうか、そこには痛々しい切れ込みが走り、右眼が―― 潰れていた。 「ガンナーにとって眼は重要なものだ。見えないモンスターを撃つことは、いくら俺でも出来ない。それに辞めると言っても第一線から退くだけだ。教官でもやって、次を担う若者の可能性を開拓する事に決めた。それに――お前らは十分強い。俺がいなくても十分やっていけるだろう。俺の代わりはネフロライトに、パーティーリ−ダーは楼華に任せるつもりだ」 そう言ったときのジェノスの左眼が――やけに寂しげに感じたのは、アズルライトの錯覚ではないだろう。 「・・・・・・もう、こんなモンで良いだろう。勘定を頼む」 「えっ! 某はまだ飲み足りませぬ!」 楼華がそう言ったのを無視し、ジェノスは例の10万ゼニーで支払いは済んだ。
それから1週間経ち、受付嬢に緊急で呼ばれた。 「あ、皆さん揃いましたね〜実は・・・・・・クシャルダオラの討伐依頼が下ったんです。しかも、4年前に撃退されて、古龍観測所の方でも血眼になって探していたクシャルダオラなの〜お願いできる?」 その問いに、真っ先に答えたのが―― 「行きましょう。異論は無いですね?」 何と、アンバーだった。 その瞳に、憎悪の炎を燃やしながら・・・・・・ |