- 日時: 2014/06/04 12:53
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: lzVg37Oi)
モンスターハンター 〜輪廻の唄〜
六十七章 悲劇
シャガルマガラとの決戦まであと一ヶ月と言う中、アスト達ミナーヴァのハンター達は武具の強化に奔走していた。 シャガルマガラという古龍を相手にするに当たって、現時点で、龍属性の武器は手に入らない。 ここはゴア・マガラ同様に、火と雷で攻めるべきだと決めて武器を選んでいる。 今回は火竜リオレウスの狩猟に来ていた。 アストの持っているディア=ルテミスは、ここからリオレウスの素材を加えることで、炎斧アクセリオンという火属性のチャージアックスに派生できる。 ライラの工房の紙面上のスペックの話になるが、属性の威力はディア=ルテミスと大差はないが、そのぶんと言うべきか、武器自体の攻撃力が大きく上昇するようだ。 それと同時に、リオレウスから作られる防具、レウスシリーズは、火属性を強化する性能が秘められているらしく、まさに今のアストにうってつけである。 ちなみにツバキの太刀にも、飛竜刀【紅葉】という火属性のものがあるが、シャガルマガラの弱点属性がハッキリしないため、ここは斬破刀を強化して鬼斬破という太刀にしようと考えている。 そして、今回の相手、リオレウスだ。 リオレイアとは対を成す存在で、リオレイアが陸の女王として大地を走るに対して、リオレウスは空の王者の異名を持ち、上空から敵を打ち倒すのだ。そうは言っても、リオレウスは地上戦が苦手と言うのかと問うなら、それは間違いであり、地上戦においてもリオレイア並の戦闘力を発揮する。 まさに死角のない、王者の名に相応しいモンスターだ。 天空山エリア8。 飛竜の巣ともなっているここで、アスト達はリオレウスと戦っている。 「だぁりゃあぁぁぁぁぁっ!」 アストはその水色をしたチャージアックスをアックスモードにして振り回す。 先日から作ろう迷っていた、氷属性のチャージアックス、シールドスクアーロだ。 リオレウスの弱点属性は龍と雷だが、次点で挙げられるのが氷だからだ。 化け鮫ザボアザギルの鋸歯が超低温の冷気を纏いながら、リオレウスの首筋の鱗を斬り刻み、凍結させる。 その反対側では、ツバキも続いている。斬破刀を正確に振るい、確実にリオレウスにダメージを与えていく。 「グァオォヴゥッ……」 アストとツバキの波状攻撃を受けてリオレウスは怯む。 ニーリンはいつもの狙撃ではなく、普通の立ち回りをしているが、その腕に不馴れという文字はない。 貫通弾は翼から翼を撃ち抜き、翼爪を壊していく。 セージはリオレウスの足元に張り付いてはラギアネコアンカーを斬り込ませていく。 アスト、ツバキ、ニーリン、セージ。 このパーティで狩りをするのも、もう数えられないくらいだ。 シャガルマガラだろうが何だろうが、負ける気はしない。 この三人と一匹なら、必ず勝てる。 そう信じていた。 途中、リオレウスが怒ったりしたが、大した問題ではなかった。 「ヴゥオォォ……」 突然、リオレウスは力無くその場で倒れた。 アストは降り下ろそうとしていたソードモードのシールドスクアーロを止めた。 「あれ、意外にあっけない……」 それほどまでダメージを与えていたのだろう。 「手負いだったのかもな」 ツバキは緊張を解いて、斬破刀を鞘に納めた。 「ん?ちょっと待てセルジュくん」 ニーリンは妃竜砲【遠撃】を納めずにまだ警戒している。 「手負いだとしたら、なぜ目立った外傷がないんだい?」 「え……?」 そう……リオレウスは強いモンスターだ。 そんな簡単に倒れるはずがない。 ツバキの言う通り、手負いであれば話は分かるのだが、ニーリンの言うように、このリオレウスは無傷で遭遇している。 だとすれば……? ツバキは慌ててリオレウスに向き直る。 リオレウスの口から、不気味な色をした吐息を吐き出している。 そして、リオレウスは、蘇ったかのように再び起き上がった。 「「「「!?」」」」 アスト達は酷く驚愕した。 リオレウスは怒りを露にして咆哮する。 「ギェヨォウゥワアァァァァァァァァァァッ!!」 至近距離にいたアスト達はその場で耳を塞いで足を止めてしまう。 リオレウスは咆哮を終えるなり、首を持ち上げて得意の火球ブレスを放とうとする、が、その挙動は恐ろしく速い。 狙いはアストだ。 だが、そのアストはまだ正気を取り戻したばかりだ。 火球ブレスが、放たれる。 「……!」 今からガードしても間に合わない。 アストは咄嗟でそんなことを思った。 そのアストとリオレウスの間に割り込む者がいた。 蒼に朱色の縁取られた、その装備を纏う者が火球ブレスを直撃した。 「ニギャガァァァァァ……!」 それは、セージだった。 「セージ!?」 「セージ!」 「オトモくんっ!」 セージは簡単に吹き飛ばされ、そのまま崖へと落ちていった。 それを直視したアストは悲痛に叫んだ。 「セェェェェェジィィィィィィィィィィ!!」 |