- 日時: 2014/06/05 14:36
- 名前: 布都御霊剣 ◆Mp0wNgpgF6 (ID: 6lwjBm5F)
モンスターハンター「焔の詩」14話 陽は完全に落ち、荷車を引くポポは水飲み休憩をしていた。 あと少しで狩場である氷海になる 荷車の中で、アンバーは星を見上げながらフロウといた時の頃の事を思い出す。 家に縛られる人形に嫌気が差し、まだ見ぬ外の世界に出たとき、いつもその手を引っ張っていたのはフロウだった。 もし、フロウに逢っていなければ――いや、あのまま家に縛られる人形のままだったら、そもそもフロウに逢えなかっただろう。 だが――そのフロウは、もういない。 フロウを喪って、生きる意味を失って、一度死ぬ事すら考えていた時に、師匠が僕が棄てかけた命を救ってくれた。 だから誓った。師匠のような、強い人になると。 師匠には、感謝し切れない程の恩があったのだ。 だから―― その時だ、ガタンと、強い揺れがした。 その揺れで全員眠りから覚め、荷車から飛び降りた。 それが風圧によるものだと気付いたときには、さらに強い風が吹いた。 そして――「奴」がゆっくりと降りてきた。 それは、鋼を思わせる硬質感のある甲殻に覆われていた。 右眼には傷が入っていた。恐らくフロウが一矢報いた痕だろう。 あれが――クシャルダオラ。 あれが――フロウが最後に狩りに行ったモンスター。 あいつが―― こみ上げてくる怒りと憎悪に従い、ノブレスオブリージュを抜刀し、切りかかる。 だが、その攻撃は、届く事もなく、何かの障壁に阻まれたかのように弾かれた。 その後、後ろから銃声が聞こえ、その弾が僕の頬をかすめ、そのままクシャルダオラめがけて飛んでいくが、それは見えない何かによって跳ね返されてしまった。 「・・・・・・アンバー! 一旦落ち着け。コイツは常に風の鎧を纏っている。それを削がない限りは攻撃は届かない!」 それでやっと我に返った。 直後、何故か空を見ていた。 ――いったい、なにがあったんだ? クシャルダオラが何かをしようとしていたのは解っていた。 だが――何があったのかは全く持って解らない。 薄れ行く意識の中で、アズルライト、楼華、師匠がクシャルダオラと相対していた。
「くそ・・・・・・何なんだこの風の鎧とか言うやつは!」 気絶しているアンバーをほったらかしにして、こっちはクシャルダオラと相対していた。 クシャルダオラの前に立つと不可視のブレスに吹き飛ばされると言うのはアンバーが身をもって教えてくれた。 そして、相手は生態不明モンスター――正確にはどのモンスターもそうなのだが、個体数や生息域の影響で、飛竜やら何やらと比べると、殆どの事が不明なのがクシャルダオラ等の――“古龍”に分類されるモンスターだ。 だが、実際こうやって闘っていると解ってくる事がある。 例えば、ブレスの直後や突進の後や、攻撃中は一時的に風の鎧が剥がれる事や、飛んでいるところを閃光玉で落としても少しの間風の鎧が剥がれることだ。 クシャルダオラが飛翔し、滑空してきた。 無論、ジェノスはそれを閃光玉で落とした。 「頭を集中攻撃! 奴は角で風を操る!」 そのジェノスの声に従い、頭に攻撃を仕掛ける。 スラッシュアックスを剣形態へ変形させ、頭に属性開放突きを当てる。 装填されたビンの力を一気に放出し、爆散させる。 楼華は大回転気人斬りを器用に頭のみに当てる。 そして、ジェノスは電撃弾を速射する。 狩りは最初の頃と比べると、大分順調に進んでいた。
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