- 日時: 2014/06/07 18:49
- 名前: 真夏のぺんぎんさん (ID: Kwfqn94N)
4話 発進ラノーチェス!
セロside
僕等はなんとかアンノウンを切り抜け密林近くの村に辿り着けた。まず僕等がしなくてはならないことは、モガ行きの船をさがすことだった。しかし案外すぐに見つかった。メイさんが安い往復船を見つけてくれた。どうも船長と知り合いらしい。かなり割引して乗せてもらった。しかし僕は船が出て暫くするととんでもない事を思い出した。それは……僕は船に弱いことだ。少し乗っているだけでもすぐに酔ってしまう。忽ちムカムカした感じが胃の中から込み上げてたちまち僕は立てなくなった。メイさんが呆れた様に見ている。 「お前よくラノーチェスに乗るとか言ったな……」 「いや……完璧に忘れてました」 「降りるか?」 「いえ!僕は乗りま……オエ」 そうだ。僕は此処で降りるわけにはいかない。もっと広い世界を旅したい。それに……いや、今は忘れよう。まずこの船の上での戦いだ。身体中の全神経を集中させる。心を落ち着かせ何も動じない亀のように……そうこうしているうちに夜になった。穏やかな海、酔いもだいぶおさまった。正直まだ海が海が荒れたら、さすがに戻していただろう。モガ村に着いたら、まず酔い止めを買おう。心に誓った。 「なぁセロ。凄く綺麗だな」 「そうですね」 「そういえばお前はラノーチェスに乗って何がしたいんだ?」 「僕は世界を旅したいです。様々なことを知りたいですし、師匠を殺したミラバルカンを追いたい。全ての真実を僕は……メイさんは?」 「私は……最強の剣豪になる!!……かな。馬鹿げてる?」 「いえ。素晴らしいと思います」 「ありがとね!」 彼女は笑った。美しい笑顔だった。不思議だと思う。何故彼女はこんなに美しいのにハンターになったのだろう。考えても分からないことだ。 「さてと、もう寝るかな」 「おやすみなさいです」 彼女は自室に戻って行った。その姿を見た後、僕も自室に入り寝ることにした。目が覚めると朝になっていた。窓から入る光が眩しい。重い身体を起こして外を見ると港が見えた。海の上に村がある。モガ村だ。 「おいセロ!あれ!」 見ると港に飛行船が止まっていた。三連のガス球がついている。推進用のプロペラが2対×3。最新鋭のガスタービンエンジン駆動だろう。大型なはねにもプロペラが付いている。相当な出力なのだろう。乗り口に沢山の人が集まっている。船の船長に礼をいい船を降りると先程の飛行船に向かった。途中ギルド嬢に聞いた。やはりあれがラノーチェスらしい。港に行く途中、警備らしき人に止められた。 「君、登録証を持っているかい?」 「えっと……」 「んなもん貰ったっけ?」 全くそんな物もらった憶えがない。僕等が困っていると 「おーい!彼らはワシが呼んだんだ!通していいぞ!」 大きい通る声が聞こえた。声の方にが体のいい不精髭を伸ばした男がいた。 「は!分かりました。艦長殿!」 どうやらあの人が艦長らしい。こちらに向かってくる。 「やあ、手違いがあってもうしわけなかったな。私はこのラノーチェスの艦長アンドリュー・ノーカーだ。これから宜しく」 「僕はセロ・アグマです。宜しくお願いします。こっちはメイ・バルフェルトです」 「っと宜しくお願いしまーす」 「宜しく。さてと、まずは君達の部屋へ案内しよう。こっちだ」 僕等は船内を進んだ。いかにも戦艦らしい廊下だ。歩くと僕等以外にもハンターがいた。暫く殺風景な廊下を進んだ。 「此処が君達の部屋だ。あと鍵はこれだ」 そう言って7と書かれた鍵を渡された。メイさんとは隣の部屋らしい。僕は荷物を置くため部屋に入った。綺麗に片付けられた部屋だった。窓から外の港を歩く人が見える。荷物をまとめ終わると機内放送が流れた。最初に入るノイズ 「ザーザー……えー、間も無くラノーチェスは出港致します。怪我をしない様に注意して下さい。ザーザー……」 すぐに動き出した。港が離れていく。ぐんぐん離れて、そして見えなくなった。再び機内放送 「間も無くラノーチェスは離陸します。危ないので衝撃吸収姿勢になって下さい。」 海なのに離陸と言うのだろうか。そして衝撃吸収姿勢とはなんだ。この飛行船大丈夫なのだろうか……激しい衝撃が身体を襲う。そして海が離れていく。空を飛んでいるのだ。やがて海も雲に隠れてしまい、見えなくなった。 「ザーザー……えーっともう空飛んだから動いていいでーす。昼食は12:30からでーす。それじゃ」 安心出来ない機内放送。とりあえずまずは他にどんな人が乗っているか見ることにしよう。
続く |