- 日時: 2014/06/08 15:47
- 名前: 翼の勇車 (ID: P6lN2du8)
では二作目も早くクロスオーバーできるくらいまで進めます。
翼の勇車が描く二つ目の作品『高校生モンスター』
第六話〜どうもアカリちゃんがヒロインらしい〜
私、アカリはとりあえず無事にドンドルマへ戻ることができた。それでもやっぱりあのミラルーツのことが気になっていたが。 「すいません、クエスト完了の報告をお願いします」 「はい、分かりました。クエスト中、何か変わった事はありませんでしたか?」 ギルドで報告をすると、いつも通りの台詞を言う受付嬢さん。いつもの口癖で、いえ、と言いそうになったけれども、あのミラルーツの事を言わなければと思う。 「実は……」 そこまで言いかけて、あのミラルーツが見せた悲しそうな、寂しそうな目を思い出す。 「どうしましたか?」 不思議そうな目でこちらを見てくる受付嬢さん。 「いえ、何でもありません。クエストの受注をお願いできますか?」
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準備完了ーっ。やあやあ読者の諸君、神山ルーツだ。たった今、作戦の準備が完了した。内容は簡単、広い所に文字を書いて、それを見たハンターのリアクションを遠目に見るってもの。簡単だろ? ちなみに文字は、『正面の岩の裏にイイモノあるよ』って書いた。挨拶とか書いてもリアクションで読めてるか判断しにくいし、実際に行動を指示すれば良いと思ってさ。っと、そうこう言ってるうちに来たぞ。あれは……お、ハンターちゃんことアカリさんじゃないですか。あんな怖い思いして直ぐにここに来られるとは……なかなか図太い神経の持ち主ですなぁ。 「あれ? 何これ」 俺からのメッセージを見つけた模様。あ、因みに言っておくけど、俺は超遠くの崖の上からこの様子を見てる。耳も良いからしっかり声まで聞こえますぜ。 しばらく俺のメッセージを眺めていたアカリちゃんだったけど、腕を組んで唸りだした。やっぱり読めない、か。 「ミラルーツ、いるの?」 それなりに大きい声で喋りだすアカリちゃん。え? ……え? 「このあいだはごめんなさい! あなた、もしかして私を助けようとしてくれたんだよね?」 なにこの子、理解が早すぎるぞ。生前読んでた、イャンガルルガに転生した人の小説でも、助けたハンターさんはしばらく気づかなかったというのに……。 「出てこいとは言わないけど……また来るから!」 そう言い、ベースキャンプの方へ戻っていった。……一体、なんだったんだ?
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「はあ……」 私、なにやってるんだろう。わざわざ時間をかけて密林に来たと思ったら、ミラルーツに話しかけるという名目の独り言言って何もせずに戻って来ちゃった。自分でも馬鹿じゃないのかって言ってやりたい。でも……あの時のミラルーツの目を見たら、いてもたってもいられなかった。ただの自己満足かもしれないけど……私が彼(?)の寂しさを少しでも和らげてあげたかった。今までの私では考えられなかっただろう、モンスターを助けたいと思うなど……。でも彼の目。あれは理性のある、まるで人間のような目だった。また……来よう。 |