- 日時: 2014/04/24 20:49
- 名前: 翼の勇車 (ID: .vGmR6TY)
恐怖のギザミさん。しばらくシリアス続きそうです……。
第二十二話〜ギザミとミズキ〜
「ギャアアアァァァ!」 巨木の影に隠れて向こうの様子を伺うと、そこには予想した通り全身から黒い気のようなものを放つギザミ、そして……。 「ゴア・マガラだ……」 この一件の元凶が、ギザミと対峙していたのだ。先手で動いたのはギザミ。奇声をあげながらゴアに殴りかかった。そのスピードたるや、元々ダイミョウザザミとは掛け離れた身体能力を持つギザミに狂竜病の力が合わさり、目にも止まらぬ速さ。完全に避け損なったゴアは、顔面にギザミ全力のストレートパンチが入り、悲鳴を上げてのたうち回った。 「ギャアア……」 ギザミがこっちを向く。気づかれたようだ。 「ギャアアアァァァ!」 奇声と共に、泡ブレスを吐いてきた。慌てて避けると、先ほど隠れていた巨木をブレスが貫通していくのが見えた。 「おいギザミィ! 僕だ、カスケだ、分かr「ギャアアアァァァ!」くっ……」 カスケ君の説得虚しく、ギザミはカスケ君にハサミを振り下ろした。なんとか避けたようだが、ハサミで砕けた巨石の破片がみぞおちに直撃したようだった。 「ギザミ止めてぇ!」 「や、やめろ、くるな……」 カスケ君に追撃しようとしていたギザミの前に思わず立ち塞がる。カスケ君が制止しようとしたがそんなこと気にしない。私はとにかく元のギザミに戻って欲しかった。すると、一瞬ギザミが躊躇ったような顔をする。 「グォァァァァァ!」 その時、先ほどギザミと戦闘していたゴア・マガラが起き上がった。鼻先が完全に潰れているのはどう考えてもギザミのパンチによるもの、凄まじい力だ。そんなことを考えているうちにこちらを見たゴアは、突進を開始した。するとだ。 「ワイらのことを!」 「忘れるにゃああぁぁぁ!」 ゲネッポとネオが止めてくれた。足に盛大な攻撃をうけたゴアは転び……そのまま私達の方へズザザザーッと滑ってきた。 「きゃあ!」 滑り突進という魚竜種のような攻撃をまともに食らった私は吹き飛び、ゴアのちょうど正面に転がった。 「あ、あ、あ……」 ハンターとして初めて大型モンスターと対峙した時と似た、純粋な恐怖が心を支配する。怖い、怖い怖い……。 「グオオォォォ!」 「いやぁぁぁぁぁ!」 ゴア・マガラの噛み付きが迫る。つい悲鳴を上げてしまう私。走馬灯が脳内を駆け巡る。 《ガキィィィン!》 痛くない。というか、攻撃が私に来ていない。ゆっくりと目を上げると、黒い気を纏ったギザミがいた。ハサミでゴアの攻撃を受け止めながら。 「ミズキ、ニハ、テヲダスナァァ!」 全力でゴアを殴りつけるギザミ。その体からは、先ほどの黒い気ではなく、鮮やかな赤色のオーラが溢れ出していた。 |