- 日時: 2014/06/14 16:58
- 名前: 布都御霊剣 ◆Mp0wNgpgF6 (ID: 0gNZcb1m)
モンスターハンター「焔の詩」15話 闇が広がる空間。 そこに、一つの意識が浮いていた。 下――そもそもそう言った概念があるのかすら解らないが、そこには常闇の深淵が、口を開けていた。 ここは、どこなんだ―― しばらくし、辺りを支配する闇に対照的に、形ある何かが、浮き彫りされたかのようにはっきりと眼の前に映る。 僕は、それを知っている気がした――いや、見紛う筈がない。 短いブロンドの髪を風に靡かせ、その瞳は宝石と思えるほどに澄んでいて、その肌は雪を思わせる程に白く透き通り、その柔らかい手が、僕の手を引っ張り、外の世界へ導いてくれて―― その全てが、記憶の中に眠っていたその名を呼び起こす。 「フロウ・・・・・・どうしてここに――」 だが、目の前にいるフロウはその問いに、答えを出さない。 「もう、敵討ちなんてしなくていいんだよ。ボクはそんな事、望んでないから・・・・・・それに、何もかも独りで背負わなくていいんだよ。 もう、独りじゃないんだから・・・・・・」 「僕は敵を討つためにここまで来たんだ! ここまで強くなったんだ! 今更、止まるわけにはいかない・・・・・・決着が付くまでは――」 「本当に決着を付けなければならないと思ってる事はそんな事じゃない。もっと別の事だよ・・・・・・本当は、気付いてる筈だよ・・・・・・」 そこまで言われ、言葉に詰まった。 思えば、初めて逢った時もそうだった・・・・・・ そのエメラルドの瞳に心を映され、読まれるような感覚―― 「それと・・・・・・いつまでここにいるのかな? クシャルダオラの狩猟の途中じゃなかったっけ・・・・・・」 そう言われ、現実に立ち返った。
指先は動く。 足も動く。 意識は――まだ少し朦朧としているが、それもじきに収まるだろう。 何やら長い夢を見ていたが、凍傷をしていないところ、そんなに時間は経っていない。 朦朧としている頭に鞭打ち、まだ少しぼやけている視界を回すと、クシャルダオラと死闘を繰り広げている師匠、楼華、そして――アズルライトの姿がその眼に映った。 それを見て、あの一言を思い出す。 もう、独りじゃない―― その言葉を心の中で反復する。 今の今まで、恐かったんだ――信じていた者を喪うのが―― ついさっきまで、当たり前のように傍らにいた者を喪うのが―― 喪う辛さを二度も体感したこの心は、喪う事を恐れ、いつしか信じる事をやめ、その心をずっと閉ざしていたんだ―― 心を閉ざす事で、これ以上心が傷つくのを止められると、錯覚――いや、そう思い込む事でこれ以上傷つかないと信じていたかったのだ。 たとえそれが――喪う恐さからの遁走だとしても――余計に傷を深めると解っていても―― あの時フロウが言おうとしていた事がこれだと言う事も、本当に決着を付けなければならないと思っている事は、これだということも知っていた。解っていた。 だが、それと向き合う勇気が無く、眼を逸らし、繕う事で逃げていた事も・・・・・・ けど、もう決めた。 自分の心から目を逸らし続ける事を、心を繕う事を、喪う事の辛さから逃げる事を―― そう決心すると、自然にノブレスオブリージュを抜刀していた。 武器を握る力が、いつもよりも強く感じるのは、錯覚ではない。 武器を構え、再びクシャルダオラと相対す――
>>801 人気投票とは面白い企画をしましたね。 僕は恥かしながら自分の小説だけで手一杯で他者の作品を読む暇がありませんでした。 本当にごめんなさい。 人気投票はいずれしようと思います。 まあ、本編第1期終了し、番外編が終わってからの話ですが・・・・・・
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