- 日時: 2014/06/15 17:20
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: lSOriG7Z)
クロスオーバー ダブルサクライザー×翼の勇車
二十五章続き
「ってあれ?ルピナスさんは?」 アストは避難していたミナーヴァのメンバーの中に、ルピナスがいないことに気付く。 最後にゲネッポとネオと料理を作りに行ってから見ていない。 ゲネッポとネオだけが戻ってきた、となると……? 「あのルピネエのことや。クシャルダオラのことなんぞ気付かんと呑気に料理作っとるやろ」 ゲネッポがそれを答える。 まさにゲネッポの言う通りになりそうだ。 「まぁ、無事は無事やろ。ほな、いこか』 「ですからそれは私の……」 ランがゲネッポを止めようとするが、遅すぎた。 ゲネッポを先頭に、全員はぞろぞろと洞窟へ向かっていく。
「あらぁ、皆さん。遅かったですねぇ」 ルピナスはニコニコと迎えてくれた。 「ル、ルピナスさん……?こ、これは……」 カトリアが目の前の状況を見て困惑する。 大量の鍋やフライパンが並べられ、食器などもキッチリと並べられ、どうぞご自由にと言わんばかりの状況だ。 「ちょっとぉ、作りすぎちゃいましたぁ」 いや、作りすぎというレベルではない。あからさまに人数分を越えた量だ。 根菜のスープ、ヤングポテトのポテトサラダ、特産キノコのキムチ鍋、飛竜の卵のオムライス、たてがみマグロの刺身、砲丸キャベツやシモフリトマトのサラダ、その他山菜や珍味を用いて作られたものが、洞窟内を埋め尽くさんばかりに並んでいる。 「んだこりゃ、バイキング形式じゃねぇかよぉ」 トトスはこの様子を見て首を捻る。 「バイキングと聞くとだよ、トトスくん。バイキングとは本来、ヴァイキング……つまり海賊を意味するのだよ。中世期の西方の国々から伝来した言葉で、どのような経緯で現代のバイキング形式の食事という形になったのかは諸説あるが、ヴァイキング達の食事の形がこのような形だったというのが有力だな」 ニーリンがトトスの言葉に付け足すように続く。 その場にいたほとんどが「そうだったのか」と思った。 「そんなことよりっ、早く食べましょうよっ!」 シオンはかなり前からお腹が空いていると言っていたのか、もう限界らしい。 「どうぞぉ。お好きなものをぉ、お好きなだけ取ってくださ……」 「いただきますーっ!」 もうシオンは駆け出していた。 「ヒャッハッ、我輩も腹が減ってしょうがなかったぜヒャッハッ!」 レオもシオンに続く。 そのシオンとレオを見送ってから、アストは全員を見る。 「じゃあ、俺達も」 その瞬間、洞窟中に「いただきます」が響いた。
皆が皆、思い思いの形で料理にありついている。 そんな最中、ツバキは一人考えに耽っていた。 (目の前の状況に精一杯で忘れていたけど、俺達の目的はどうやってこの世界から元の世界に戻るかを探しているんだ……ユリは楽しんでるからいいけど、いつまでもここにいるわけにもいかない) ここはどこか。 なぜ自分達とは他のメンバーがいないのか。 それらの問題が解決したと思えば、今度は「どうやって元の世界に戻るか」だ。 普通に眠っていただけで、いきなりこの世界にいたのだ。 (入ることが出来るんだから、出ることも出来るはず……しかし、どうやってこの世界に入ったんだ?) 物事には必ず因と果が存在する。 この奇妙な交わりにも、必ず裏で何か動いているはずだ。 (何かあるはずだ。何か……)
ユリは今度はカスケと話していた。 「へぇ、ユリちゃんとツバキはそんな風にミナーヴァの出会ったんだ」 「うん。で、その時ツバキくんと私を真っ先に助けに来てくれたアストくんが、すっごくかっこよく見えてね……」 ユリは頬をうっすらと赤らめながら、ミナーヴァとの、もとい、アストとの出逢いを語る。 アストにうっかり着替えを見られたと言うことは、さすがに恥ずかしいので黙っているが。 「……」 その二人をジト目で見ているのはミズキ。 愛しのカスケが、絶世の美少女……ユリと仲良さうに話しているのだ。 カスケがとてつもなく鈍いことは知っているし、ユリの言葉から、ユリがカスケに気を向けることはないだろうとは思っている。 ……が、どこか気に食わない。 「どうしたんだよ、ミズキ」 ミズキの後ろから声をかけるのはアスト。 そしてアストもミズキが気になっているあの二人を見る。 「ったく、カスケも鈍い奴だよな。なんでミズキの気持ちに気付かないかな」 アストは呆れたようにミズキとカスケを見比べる。 自分がカスケに好意を抱いていることがなぜ気付かれたのかは気にせず、ミズキは言い返す。 「アスト君も人のこと言えないけどね」 「え?俺が、カスケみたいに鈍いってことなのか?」 そして、全く無自覚のアスト。 アストとカスケ……ある種、似た者同士かもしれない。 |