Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ!二代目!企画発表!( No.821 )
  • 日時: 2014/06/16 23:03
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: JtTcn6Bi)

 モンスターハンター 〜輪廻の唄〜

 七十四章 ゼツボウノソラ【前編】

 アストはシャガルマガラが怯んだ隙にさらにソードモードの炎斧アクセリオンを叩き込み、エネルギーを蓄積させていく。
 カトリアは再びオオシナトを放ち、今度はシャガルマガラの腹に取りつかせた。腹から体液を吸収したオオシナトは朱色に輝く。この朱色はハンターの皮膚の硬質化……すなわち、防御力の強化に加えて同時に耳栓の効果も伴う。
 オオシナトを呼び戻して、カトリアは自分の右腕にオオシナトに体液を送ってもらう。
「グゥォアァァッ……」
 シャガルマガラは一度唸ると、その場から羽ばたいた。
 アスト達の頭から少し離れた上空で、シャガルマガラは咆哮を上げた。
「ヴゥオォォアァァァァァ!!」
 至近距離にいたアストとツバキはその咆哮に耳を塞ぐが、カトリアは先程の強化で耳は塞がないものの、自身の恐怖心は少からず煽られた。
 一方のニーリンは離れた位置にいるため、咆哮の影響は受けておらず、狙撃の体勢に入っていた。
 レックスハウルのブレ幅は大きい、だが命中さえさせればいい。
「撃ち落とさせてもらうぞ?」
 ニーリンはスコープに目を通して咆哮を上げているシャガルマガラに照準(ブレるのであまり意味を成さないが)を合わせる。
 ニーリンの指が引き金を引こうとした、その瞬間だった。
 不意に、ニーリンの周りに紫色の光が現れる。
 しかし、狙撃に集中していたニーリンはその光に気付かない。
 その紫色の光は、突如炸裂した。
「ぐふあぁっ!?」
 光の炸裂にニーリンは吹き飛ばされた。
 何が起きたのか分からないまま、ニーリンは地面を転がった。
「ニーリンさんっ!?」
 カトリアは恐怖心を無理矢理呑み込んで、吹き飛ばされたニーリンに駆け寄る。
 幸いダメージは少なかったのか、ニーリンはすぐに起き上がった。
「大丈夫ですかっ!?」
「くっ……心配するなイレーネ殿。しかし、今のは……」
 その紫色の光の炸裂はニーリンだけではなかった。
 この禁足地のあちらこちらに、炸裂しては消えている。
 アストとツバキもニーリンと同じように炸裂によって吹き飛んだが、すぐに起き上がる。
「ゲホッ……これ、狂竜ウイルスが感染するぞ!」
 アストは周りの仲間に聞こえるように叫ぶ。
 シャガルマガラは地上に降りてくる。
 その口からはゴア・マガラと同じような紫色の吐息をあらく吐いている。
「怒ったのか……」
 ツバキは咳き込みながら推測する。
 シャガルマガラはツバキを狙いに付けると、半歩退いてから、右、左と身体をくねらせるように体当たりを仕掛けてきた。
 ツバキはその場から跳躍して回避しようとする。
 だが、シャガルマガラの翼脚が横に大きいためか、その体当たりから逃れられなかった。
 結果、シャガルマガラの翼脚がツバキを蹴り飛ばした。
「がはっ……!」
 ギザミシリーズの硬い甲殻や鋏が碎け、ツバキは毬のように地面に何度も叩き付けられた。
「ツバキッ!っ、てめぇぇぇっ!」
 アストは仲間を傷付けられたことに怒り、炎斧アクセリオンのチャージをしてからシャガルマガラに接近する。
「グゥアォッ」
 シャガルマガラは後ろから敵が近付いてくるのが分かっていたのか、振り向きながら左の翼脚を振り抜いた。
「なっ……!?」
 アストは咄嗟に炎斧アクセリオンの盾を構え、シャガルマガラの翼脚を防ぐ。
 それほど強い攻撃ではなかったのか、大して体勢を崩されることはなかった。
 だがシャガルマガラは立て続けにアストを狙う。
 大きく息を吸って首を持ち上げると、狂竜ブレスを前方三方向に放った。
 ゴア・マガラとのそれとは、速さも質量もちがう。
 アストはそれも受け止めるが、立て続けに攻撃を防いでいるために、右腕が痺れてくる。
「くっ、そぉっ……!」
 シャガルマガラは尚もアストを攻撃しようとするが、その横腹から、ニーリンの拡散弾の爆発が直撃する。
「私があの程度で死ぬと思ったか?残念だったな」
 炸裂する光を回避しつつ、何度も拡散弾を放つニーリン。
(手持ちの拡散弾が尽きたな。調合しなくてはな)
 今は調合している場合ではないため、徹甲榴弾に切り換える。
 カトリアもシャガルマガラの背後から接近する。
 シャガルマガラとの距離が縮まったとき、カトリアは開闘の焔竜棍の刃を地面に突き刺した。
 そのままカトリア自身は飛び上がり、棒高跳びの要領で高く跳びながらシャガルマガラに肉迫する。
「てぇいぃっ!」
 落下の勢いと共に開闘の焔竜棍を振るい、シャガルマガラの背中を斬り裂き、焔を躍らせる。
「グァウゥッ!?」
 シャガルマガラは突然の背中への攻撃に怯み、その場で倒れ込んだ。
 カトリアは着地するなり開闘の焔竜棍を背中に納めて、シャガルマガラに飛び乗る。
「グゥアォッ、グァウゥッ!」
 シャガルマガラはカトリアを振り落とそうと暴れるが、カトリアは既にシャガルマガラの翼をしっかり掴んでおり、振り落とされない。
「くっ、うぅっ……!」
 モンスターの背中に乗るのもほぼ一年ぶりだ。
 しかし、ハンターとしての勘が狩り場という空気に触れることで取り戻し、自然に身体が動いてくれる。
 しばらく暴れた後にシャガルマガラは動きを止める。
 カトリアは腰のシースから剥ぎ取り用のナイフを抜いて、シャガルマガラの翼に突き刺しては引き抜くを繰り返す。
「グァウゥ、グゥォアァァァァァァァ!!」
 シャガルマガラが咆哮を上げても、耳栓の効果を得ているカトリアは構わず攻撃を敢行する。
 不意にシャガルマガラが体勢を崩し、その場で倒れた。
「っ、よし!」
 カトリアもシャガルマガラの背中から飛び降りる。
「ナイスですよカトリアさんっ!」
 アストは飛び降りるカトリアを一瞥しながら喜ぶ。
 炎斧アクセリオンをアックスモードに変形させ、腰溜めに構えた。同時に、刃となる盾が四方に展開する。
「フルパワー属性解放斬りぃぃぃぃぃっ!!」
 アストから炎斧アクセリオンが放たれる。