Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ!二代目!企画発表!( No.824 )
  • 日時: 2014/06/17 11:55
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: .ve6EmBT)

 モンスターハンター 〜輪廻の唄〜

 七十五章 ゼツボウノソラ【後編】

 アストの高出力属性解放斬りがシャガルマガラの頭部を捉える。
 炎斧アクセリオンに内蔵された榴弾ビンが炸裂し、連鎖的に爆発を巻き起こす。
 榴弾ビンはダメージの増幅に留まらず、モンスターの頭部に直撃を与えることでスタミナを奪う効果があり、立て続けにおこなうことで目眩を誘発させることも出来る。
 高出力属性解放斬りを放ち終えたアストは、反動を殺しながらもまだ倒れているシャガルマガラを見据える。
「まだやれる!」
 アストは体勢を立て直し、強制的にソードモードに戻った炎斧アクセリオンを再びアックスモードに変形させ、もう一撃高出力属性斬りを放った。
「うおぉぉぉぉぉ!!」
 またしてもシャガルマガラの頭部が爆発に包まれる。
 さすがにシャガルマガラも起き上がろうとしている。
 だが、猛攻はそこで止まらなかった。
 起き上がろうとしているシャガルマガラに近付くのは、ニーリンだった。
「これがダメ押しというものさ」
 ニーリンはレックスハウルの銃口をシャガルマガラの頭部に突き付けると、躊躇いもせずに引き金を引いた。
 放ったのは徹甲榴弾。
 当然、反動でニーリンは大きく後退する。
 一拍おいて、シャガルマガラの頭部に徹甲榴弾の爆発が起こる。
「グゥギャァォォゥッ!?」
 起き上がったシャガルマガラは不意にまた倒れ込んだ。
 徹甲榴弾にもスタミナを奪う効果があるため、炎斧アクセリオンの榴弾ビンの爆発と重なり、シャガルマガラは目眩を起こしたのだ。
「ニーリンッ、さすがだな!」
 アストは反動を殺しているニーリンを一瞥してから、もう一度シャガルマガラの頭部に接近しようとする。
「アストくんっ、下がってて!」
 アストの後ろからカトリアが近付いてくる。
 既にカトリアの腕からオオシナトが放たれ、シャガルマガラの頭部から体液を吸収する。
 頭部から吸収した発光色は、赤色。筋力の強化だ。
 アストはカトリアを見て頷き、腹下に潜り込む。
 ツバキはカトリアがダウンさせた時から既に尻尾に鬼斬破による気刃大回転斬りを二回叩き込んでおり、もう三回目に入っている。
「でぇぃっ、おぉぉっ、りゃぁぁぁぁぁっ!」
 断続的に気刃大回転斬りを放つツバキの鬼斬破は紅く輝いている。練気を最大まで解放し続けると、このような輝きを放つ。ちなみに、この紅い輝きが最高の状態だ。
 カトリアはオオシナトを呼び戻し、その体液を送ってもらう。
 それと同時に、カトリアの開闘の焔竜棍を握る力が強まり、カトリアは吼える。
「らあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 開闘の焔竜棍を躍るように舞うように縦横無尽に振るい、刃から放たれる焔が、シルバーソルシリーズを纏う銀色の彼女を赤く彩る。
 その姿、まさに『猛焔』だ。
「カトリアさん、すげぇ」
 アストは焔を描くカトリアを畏敬の念で見ながらも、ソードモードの炎斧アクセリオンをシャガルマガラの腹に突っ込ませて鱗を焼き尽くす。
「ふふっ、ネルスキュラに怯えていた人とは思えんな」
 ニーリンは初めてアスト達と出会った頃を思い出しながら、徹甲榴弾を翼脚に撃ち込んでいく。
「これが、カトリアさんの本当の姿か……」
 ツバキも尻尾への攻撃を休まずに、カトリアの焔を見やる。その焔がシャガルマガラの二本の内一本の角を半ばからへし折った。
 この一瞬でどれだけ攻撃を与えただろうか。
 古龍だなんだ言っても、一種の生物に変わりはない。
 もしかしたらもう勝てるのかも知れない。
 だがその、もしかしたら、や、ひょっとすると、という淡い期待は脆くも崩れ去るのだった。
 正気を取り戻したシャガルマガラは、後方へ飛び下がりながら、高度を上げ、そのまま急降下で突撃してくる。
 その矛先は、ニーリンだ。
「っ、私か……」
 ニーリンは冷静に前方へ転がって、自身の背中とシャガルマガラが激突スレスレで回避する。
 ニーリンの耳に嫌な風斬り音が届き、背筋に悪寒が走る。
「ふっ、当たるとでも……」
 回避を終えたニーリンはその時点で「次のシャガルマガラの狙いは別に変わる」と判断していた。
 そう判断して、レックスハウルに徹甲榴弾をリロードしながら振り向く。
 なぜか、目の前にシャガルマガラの顔がある。
「なっ……」
 なぜ?と思うより先に、ニーリンはシャガルマガラに撥ね飛ばされた。
「ニーリンッ!?」
 アストは吹き飛ぶニーリンを見て悲痛に叫んだ。
 炎斧アクセリオンを納めて横たわるニーリンに駆け寄る。
「しっかりしろっ、ニーリン!」
「っ、ふ、不様だ、な……」
 ニーリンはアストの顔を見ながら自嘲するように笑った。
 アストは目の前にシャガルマガラがいることにも気付く。
 そのシャガルマガラの口からは、狂竜ブレスが集束している。
 ブレスがシャガルマガラの目の前すぐに吐き出されると、連鎖的に左右へ爆発していく。
 アストはニーリンを庇いながら、炎斧アクセリオンの盾を構えて衝撃に備える。
 直後、爆発していく狂竜ブレスが炎斧アクセリオンの盾に襲い掛かる。
「うぅおあぁぁぁぁぁっ……!!」
 盾が壊れそうな激痛がアストの右腕を伝う。
 さらにシャガルマガラは縦方向にも爆発していく狂竜ブレスを放つ。
「ぐっ、そぉぉぉぉぉっ……!」
 アストは気力で踏ん張り、必死にニーリンを守る。
「ア、アルナイル、く、ん……」
 ニーリンはアストの背中を見て、かつての恋人を想った。
 自分よりも背が低くて華奢そうでも、守ろうとしてくれる彼にだ。
「アストォォォッ!!」
 ツバキはニーリンを守るアストを見て叫んだ。
 何とかシャガルマガラの注意を逸らさせようと、尻尾に鬼斬破を振るう。
 彼の狙い通り、シャガルマガラはツバキに振り向いた。
 ツバキは一旦鬼斬破を納めてシャガルマガラをアストとニーリンから離そうと距離を置こうとする。
 が、鬼斬破を納めようと考えた瞬間、ツバキの周りに狂竜ウイルスの光が現れる。
「しまっ……」
 既に鬼斬破を納めている最中だったツバキは咄嗟に反応出来ずに、その光の炸裂を受けて吹き飛んでしまう。
「グゥギャァォォゥッ」
 シャガルマガラは右の翼脚を降り下ろし、吹き飛んで地面を転がるツバキを押さえ付けた。
「ぐあっ!?ぅぐっ、は、離っ、せぇ……!」