Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ!二代目!企画考案中!( No.831 )
  • 日時: 2014/06/17 23:16
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: P7j/YsgZ)

 モンスターハンター 〜輪廻の唄〜

 七十七章 光を翔ける

 アストは少し離れた所で、その光景を見ていた。
 シャガルマガラと、焔の旋風を巻き起こすカトリアをだ。
 ニーリンとツバキも同じようにそのカトリアを見ていた。
「あ、あれが、カトリアさん……!?」
 アストは畏怖するようにカトリアを凝視していた。
 シャガルマガラの周りを飛びはねながら攻撃を繰り返し、まるで赤を纏う銀色の光がシャガルマガラにぶつかっては離れているようにも見える。
「おぉー、これが『猛焔』の真の姿か」
 ニーリンは余裕が戻ってきたのか、もういつもの調子に戻っている。
「カトリアさんの姿がよく見えない……あの中でどんな動きをしてるんだ……!?」
 ツバキもアストと同じようにカトリアを凝視していた。
 まるで残像が見えているかのような疾さだ。
「さぁて、イレーネ殿も本気を出したところで、私もそろそろ切り札を切るか」
 ニーリンはまだ本気でなかったと言うのだ。
「切り札って……」
「アルナイルくん。以前にも言ったように、私は出し惜しみはしない主義だが……」
 ニーリンはレックスハウルに徹甲榴弾をリロードし、様々な道具を入れる通常のポーチと、弾を入れるためのガンナーポーチも外した。
「切り札は取っておく主義でもあるんだ」
「それ、矛盾してないか?」
 ツバキがすかさず突っ込みを入れる。
「男が細かいことを気にするな、セルジュくん」
 ニーリンは行動に出た。
 アストとツバキも、見てばかりではいられないと動き出す。
 ニーリンはカトリアとシャガルマガラの乱戦の中に突っ込んだ。
「イレーネ殿下がってくれ!」
 ニーリンがそう叫ぶと、カトリアはシャガルマガラを攻撃しながらバック転で距離を置いた。
 シャガルマガラは当然カトリアを追うが、それは既にニーリンの手中にはまっていた。
 すると、ニーリンはその道具のポーチとガンナーポーチをシャガルマガラに投げ付けた。
 それらはシャガルマガラに引っ掛かる。
「覚えておくがいい。私の名は『深緑の流星』ニーリン・ガーネット……貴様にレクイエム(鎮魂歌)を奏でる者だ!」
 ニーリンはレックスハウルのトリガーを引き絞った。
 轟竜ティガレックスの咆哮のような銃声と共に、ニーリン渾身の徹甲榴弾が放たれた。
 その徹甲榴弾がシャガルマガラに着弾、爆発を起こす。
 それに続いて、ポーチの中にあったバクレツアロワナやカクサンデメキンを磨り潰したもの、さらにギリギリまで仕込んでいた爆薬が誘爆し、想像を絶する爆発がシャガルマガラを包み込んだ。
「グゥギィャアァオォォオゥアァァァァァ!?」
 シャガルマガラは凄まじい爆発に地面をのたうち回った。
「ふっ、のたうち回れるだけの元気はあるか……」
 ニーリンはレックスハウルを背中に納めた。調合素材を全てあの爆発に回したのだ。もう攻撃手段がない。
 だがそののたうち回るシャガルマガラにさらに追い討ちが襲い掛かる。
 それは、ツバキの鬼斬破だった。
 ツバキは鬼斬破をシャガルマガラに投げ付けたのだ。
 その投げ付けた鬼斬破が、シャガルマガラの目に突き刺さった。
「グギャアァッ、ギョォォウッ!?」
 シャガルマガラはまたさらに暴れまわる。
「へっ、どうせ俺はもうロクに動けないさ……後は頼むよ、カトリアさん、アスト!」
 ニーリンとツバキの援護を受けて、アストとカトリアは頷いた。
「行きましょう」
「えぇ」
 アストとカトリア、二人は共にのたうち回るシャガルマガラに突撃する。
 カトリアは跳躍して、シャガルマガラの背後に取り付いた。
「りぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 凄まじい焔がシャガルマガラの鱗を燃やし、尻尾の肉を斬り裂いていく。
 アストは正面からシャガルマガラの頭にソードモードの炎斧アクセリオンを降り下ろす。
「うぅおぉぉぉぉぉ!!」
 炎斧アクセリオンの紅蓮の炎がシャガルマガラを焼き焦がしていく。
 何度も連撃をぶつけ、剣にエネルギーが溜まってくる。
 それをチャージし、アックスモードにして振り抜く。
「こいつっ!」
 アストはアックスモードの炎斧アクセリオンを腰だめに構え、盾を四方に展開させた。
「喰らえぇっ!」
 高出力属性解放斬りがシャガルマガラの頭部を捕らえた。
 それと同時に、カトリアが尻尾に渾身の一撃を放った。
「でぇやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 空中で一回転し、全身の全力と落下の勢いが、シャガルマガラの尻尾を半ばから断ち斬った。
「グギャオォォウゥッ!?」
 シャガルマガラは今度は尻尾を斬り落とされた激痛にのたうち周りながら地面を転がる。
 それでも、まだ息の根はある。
「逃がすかよ!」
 アストは体勢を立て直し、のたうち回るシャガルマガラを追撃する。
 だが、シャガルマガラとて黙ってやられるわけではない。
 シャガルマガラは追撃してくるアストに向かって、狂竜ブレスを蓄えている。しかも、これまでにないほど、大きく溜めている。
 それでも構わずアストはシャガルマガラに突進する。
 いざ、シャガルマガラがその全力の狂竜ブレスを放とうと言うと同時に、アストの炎斧アクセリオンの剣が真っ直ぐにシャガルマガラの頭に突き出された。
「うぅおぉあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーー!!!!!」
 炎斧アクセリオンの剣の切っ先が、シャガルマガラのもう一本の角をへし折り、そのまま貫通し、頸を貫いた。
 それと同時に、シャガルマガラの口から特大の狂竜ブレスによる爆発が放たれ、アストを呑み込んだ。
「アストくん!」
「アルナイルくん!」
「アスト!」
 カトリア、ニーリン、ツバキは彼の名を叫んだ。
 果たして……?