- 日時: 2014/06/19 12:32
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: 78NaSqiQ)
クロスオーバー ダブルサクライザー×翼の勇車
二十六章続き
「ちょっと待って、カスケくん」 カスケに対して、カトリアが動いた。 「まずは状況を整理させてね。……まず、私達みんなが事の始まりの前に奇妙な夢を見た。その夢の終わりに目覚めた時、私達はこの密林にいた。しかも互いにバラバラに。超大陸のモンスター達の、クックくん、ギザミくん、トトスくんは目覚めると同時に何らかの『ズレ』たような感覚を覚える。その『ズレ』を確かめに行くと、それぞれの亜種と遭遇、そこに私達もいた。それぞれがそれぞれと合流してから、ペッコくんの召集で他の仲間を呼び寄せた。それに呼び寄せられたかのような、超大陸のモンスターではないクシャルダオラ。ニーリンさんの意見の、痛覚を刺激されると身体がブレたような感覚……。こんなものかな」 ここまでの経緯をあらかたまとめたカトリア。 もう超大陸のモンスターを前にしても恐怖心は感じないようだ。 「ニーリンさん、その痛覚を感じ続けるとどうなるの?」 カトリアは事の進展を促す可能性を見せたニーリンに問い掛ける。 ニーリンはその形の良い眉をしかめながら答えた。 「断定は出来ませんが……恐らく夢から目覚めて、この世界から退場することになるでしょうな。それを試してみようかと」 ニーリンも全員の前に立つ。 「全員聞いてくれ、私はこれからある試みを試行する。同時に、私がこの夢の世界から退場する場合もあり得る。私が消えたと言って混乱はしないでほしい」 彼女は右手のレイアガードを外して、素手になる。 静かに目を閉じ、息を大きく吸って吐く。 そして、カッと目を開いた。 「南無三!!」 そう叫ぶと同時に、ニーリンは自分の頬を思いきり叩いた。 その瞬間、ニーリンの身体が急速にぶれ、消えた。 「……マジで消えやがったぞ、ニーリンのやつ」 トトスは神妙に呟いた。 「でも、これでハッキリしたことが増えた」 ツバキが頷く。 「強い痛覚を感じると、夢から覚めると言うことがな」
〜ニーリンside〜
むくり、とニーリンは自分のベッドから起き上がった。 何か奇妙な夢を見ていた気がするが、覚えていない。 辺りは真っ暗、つまりまだ夜中だ。 「ふぁ……」 欠伸を盛大に漏らしてから、ニーリンは再び睡眠の体勢に入った。 眠気が意識を沈め、連鎖的に奇妙な感覚を覚える。
すると、ついそこにいたニーリンが消えた同じ場所に、彼女が現れた。 その光景を間近にして、全員が驚愕した。 「どういう分けよ、現実世界に戻ったんじゃないの?」 ライラは冷静にそのニーリンに問い質す。 だが、そのニーリンは目を見開いて困惑していた。 「ん?なんだ、ここは……ミナーヴァが全員揃っている?それになんだ?モンスターだらけではないか?これは随分と明瞭かつ不可解な夢だな」 ニーリンは首を傾げて辺りを見回すばかりだ。 その様子から、エリスは察した。 「……記憶が、残っていないですね」 ニーリンの様子から見るに、演技だとは思えない。最も、ニーリンの普段の言動や仕草が芝居臭いので分かりにくいが。 「……恐らくは」 ティガがその野太く低い声で答えた。 「……夢から覚めると同時に、記憶は残らない。二度寝しようとして、またこの夢の世界に入り込んでしまった。かつ、それ以前までの記憶は持ち越されない、というわけか」 「なんと、ティガレックスが喋るだと?」 ティガがヒトの言葉を発したことで、ニーリンは驚く。 慌ててカトリアがニーリンに事情と経緯を話した。 どうにか納得してくれたのか、ニーリンはいつもの調子に戻った。 「つまりこの世界では、モンスターが喋るなど当たり前……か」 ニーリンが頷いて納得している側で、カスケはまた難しい顔をして悩んでいる。 「痛覚を覚えることで、夢から目覚めてこの世界から退場。その時の記憶は残っていない。そのまま二度寝すると、またこの世界に入り込んでしまい、そのうえ以前のこの世界の記憶は持ち越されない……」 難しいな、とカスケは呟いた。 |