- 日時: 2014/06/19 17:45
- 名前: 7倍quasar ◆FGU2HBsdUs (ID: cbEwmClD)
第26話 異世界の物
俺といえばもう分かるだろ…。 シャガルの頭は甲殻に亀裂が入り、幾分崩れ落ちている。 もうそんなに時間はかからない…。
「…。」 バシュッ!!
俺はシャガルの腹めがけて貫通矢を放つ。腹をぶち抜いて機動力を落とすことを目的にした。 普段からシャガルを狩りすごしているからどれくらいでぶち抜けるか理解している。それの少し強めに撃っておけば問題ない。 しかしだった…。
カンッ!! 「何ッ!?」
俺の放った矢は貫通することなく、はじかれた。そんなこと今まで1度もなかったぞ?! それにしても…はじかれた音がまるで金属に当たったかのような音だった。仮にシャガルの甲殻にはじかれたとしてもそんな音がでることはない…。 だとすると別の何かが俺の矢を遮ったのか…?
バサッ! 「グゥォァアア!!」
シャガルは少し後ろの方向に飛ぶと、俺目掛けて突撃してきた。 回避してもよかったが…そんなことしなくてもよけることはできる。
バシュッ!! グサッ!! 「グゥォア?!」
俺はシャガルの右腕めがけて矢を放った。貫通はしなかったが、十分な威力はあった。 矢が直撃した右腕は力の衝突によって速度が失われた。これにより偶力、すなわちある場所を中心として対になる力が生じた。左腕は俺の方向に、右腕は反対の方向に力がかかる。 偶力によってシャガルは空中で右回転しながら地面へ落下した。バランスを失うからまぁ墜落するよな。 それにどうやら墜落した際、後ろ足に本来曲がるはずのない方向に圧がかかり、折れてしまった模様。運のないやつだ…。しかしそんなことはもうどうでもいい。 ―弓を強くひき絞る。
「俺もお前もこの世界にいてはならない存在…。悪いが…ここがお前の墓場だ」 バシュン!!
そして放つ―
「…死体はどう処理したらいいんだ」
俺が放った矢は頭を貫通した。脳組織が完全に破壊され、シャガルは力尽きた。 別にこれが珍しいことではない。普段からだいたい似たようなことを行っている。シャガルとゴアだけは…許せない。 それにしても…腹元を狙った際におきたあの現象…いったいなぜ…。 ―とにかく腹元を調べてみるか
ザクッ カツン。
何かに当たる音…あの時と同じ物体か? 俺はその物を体内から取り出した。 ―テッセンだ。
「なぜ体内に…?」
見たところまだ新しい…。誰かの物だろうか。 テッセンの刃先から紫色の光が輝く。発掘武器特有の輝き…となるとやはり誰かの…
―そのとき、俺の耳に誰かが泣く声がかすかに聞こえた。 聞き覚えのない声であるが…近くにいる。 誰か検討がつかないが、俺はその声のする元へと向かう。 |