- 日時: 2014/06/23 12:27
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: 54HGX8Pl)
クロスオーバー ダブルサクライザー×翼の勇車
二十七章 動き出す瞬間
ツバキは一人考えている内に、ふとあることに気付く。 他のメンバーの、この夢に入ってからの行動を照らし合わせると、この密林で、一つだけ誰も入っていないエリアがある。 孤島と繋がった海岸。そこからニーリン達は東の平原に抜けた。 その、隣の狭い細道だ。 さすがに関連性があるとは言いがたいが、まさかの可能性も捨てきれない。 そう思ったツバキは、アストに声をかける。 「アスト」 「なんだ、ツバキ?」 カトリアとギザミと話していたアストは、ツバキの声に振り向いた。 「ちょっと、ユリを頼む」 そう言うと、ツバキは一人このエリアを北に出て、海岸のエリアへ向かった。 「どこに行くんだよ?」 「野暮用だよ、野暮用」 アストの質問に、曖昧に答えるツバキ。もう彼の背中は壁に消えていたが。 「ギャ……」 「ァガャ」 そのやり取りを見ていたゲネスケ、ゲネカクは、ゲネッポに話し掛ける。 「お?なんやスケ、カク。……なんやと、ツバヤンが一人で行動を起こそうとしとるやと?何で一人で動く理由は分からへんけど、付いてってやり」 「「ギャァッアァッ(了解です)」」 スケ、カクは頷くと、ツバキの後を追った、
海岸と雑木林のエリアに出たツバキは、背後からの気配を察知する。 「誰だ?」 第三者に向ける、警戒の口調を見せるツバキ。 振り向くと同時に斬破刀の柄に手をかける。 やってきたのは、ゲネスケとゲネカクだ。 「なんだ、スケさんとカクさんか」 ツバキは警戒を解き、斬破刀の柄から手を離した。 ゲネスケとゲネカクはツバキの左右に、追従するように立つ。 「付いてきてくれるのか?」 「ギャァ(はい)」 「ギャォォ(もちろんです)」 ツバキはゲネポスの言葉が分かるはずもなかった。 しかし、ニュアンスと仕草で分かる。 肯定を意味する程度なら、ツバキでも分かる。 「悪いな。じゃ、付き合ってくれ」 ツバキとゲネスケ、ゲネカクはそのエリアへ足を踏み入れた。
ツバキとスケ、カクはその狭い細道を進んでいた。 一見、変わった所は何も見ない。 やはり気にしすぎだったか、とツバキはそう思った時だった。 ふと、雑木林の向こうに何かが見えた。 「……?」 ツバキとスケ、カクはその雑木林を抜けた。 そこにあったのは、奇妙な結晶体だった。 一見は紅く見えるが、透き通して見ると明るい碧色にも見える。 「なんだ、この結晶……。それにこの色合い、どこかで……」 よく周りを見渡せば、色違いな同じような結晶体がいくつも転がっていた。 赤茶色と蒼色、黒と赤、その他が様々な色がある。 ツバキはそれらを見比べてみた。 最初に拾った、紅と碧の結晶体だけが強く輝いているように見える。 「とにかく、これだけでももって帰るか……」
それを持ち帰ったツバキとスケ、カクはまだ洞窟にいる皆に見せた。 「変な結晶だな?」 アストはその紅いような碧のような結晶体を見て目を細める。 カスケもそれを見てみる。 「何だろう、なんか見たことのある色合いだなぁ」 カスケもそんな感覚を覚えているようだ。 トトスはツバキの持つその結晶体見下ろして、当然とばかり答えた。 「テメェら何ボケてやがる。紅と碧とか、どう見てもニーリンそのものだろがよぉ」 「!?」 アストは驚いてニーリンを見る。 紅い髪、碧眼。 そう、まさにその通りである。 「すごいなトトス、よく分かったね?」 カスケは驚くようにトトスの顔を見上げる。 「あ?すごくもねぇだろ」 カトリアもその結晶体とニーリンを見比べて頷いている。 「ツバキくん、これをどこで?」 ツバキはカトリアに向き直って答えた。 「海岸と雑木林のエリアに出て、南東の細道にありました。それだけじゃなくて、他にもたくさんの結晶体が落ちてました」 クックも入ってくる。 「クェ、この密林でそんなものは見たことがないな。何かの手掛かりになるかも知れん。集めてみるか」 クックの意見に賛成し、その結晶体を集めに行くことになった。
|