- 日時: 2014/06/25 11:30
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: VqurIsej)
クロスオーバー 7倍quasar ×ダブルサクライザー
第二章 見て話して分かること 〜ミナーヴァside〜
男性のハンターは何やら深刻そうな顔をしながら石段を駆け上がっていった。 訊きたいことは山ほどあるのだが、彼で無理ならそこにいる彼女達に訊けばいい。 ただ、その彼女達も何がどうなっているのか理解していないのか戸惑うように右往左往している。 しかし、何がどうなっているのか理解できないのはこちらも同じだ。 カトリアは意を決してその見慣れない服装をした三人(一人はそうでないような)に話し掛けてみる。 「すみません、少しお尋ねしてもよろしいですか?」 カトリアに話し掛けられ、あからさまに動揺するのは特に見慣れない服装をした二人だ。ちなみに、もう一人はどこか見たことがあるような服装をしており、メイドのような感じだ。 「ど、どうすんのさ霊華っ?」 「私に訊かないでよ、地からあぁは言われたけど……」 あたふたする二人の前に立つのは、メイド服の彼女だ。 「霊華様、ここは私が」 様とつける辺り、メイドの彼女はこの二人に仕えているようだ。 「はい、何でしょうか?」 カトリアは少しだけ安心する。 仕えている身の者なら、多少の外交の心得はあるはずだからだ。 「荒唐無稽な物言いですけど、私達は先程までシナト村と言う所にいたのですが、突然不可解な……次元の穴、と言いますか、それに巻き込まれて……。あなた方も同じですか?」 本当に荒唐無稽だ。カトリア自身も何を言っているのか自分ですらよく分からない。 それでも今はありのままを言う他に手段も選択肢もないのだ。 どうやらこちらを警戒しているのか、メイドの女性は言葉を選ぶように間を置いて応える。 「えぇ、その次元の穴と言うモノに入った、という点ではそうですね」 どこか遠回しな言い方だ。 向こうの目論みは分からないが、出会っていきなり策略を巡らそうとは考えないだろう。 「こちらは何も知らずにここへ来てしまいました。あなた方も何も知らずにここへ?」 カトリアは冷静に言葉を選択して対話を続ける。 「……、……いえ、何も知らないと言うのは否定しませんが、私達はこの世界の時間軸に存在しています。ここが本来いるべき世界と言えば分かるでしょうか?」 ますます分けが分からない。 何も知らないのに、この世界に住んでいた? そもそも、時間軸どうのなども分からない。 カトリアはこう言った、時空間異動や超常現象には疎い。 彼女達は一体何者なのか? それでもカトリアは理解の範囲内で解釈し、より慎重に質問を続けていく。
〜地side〜
一旦集会浴場を出た地は、石段を降りながら一思案する。 「(どーする、別の時間軸とはいえ残妖の装備は一応、共通点はある……ってそもそも俺がいた世界のこともロクに知らんのに、この世界の住人を装えってのが無茶だったな。残妖が多少なりとも融通利かせるだろうけど、長くは保たんだろ。今すぐ戻りたいけど、まだ確かめないといかんことも腐るほどあるし……あー炎のアホー、どこで何してんだよー)」 そう思いながら心底で炎を怨みつつ、石段を降りていく。 その時、突然声を掛けられた。 「そこのアナタ、ハンター様?」 今それどころじゃねぇんだわ、と言いそうになったが、どうにか平静を保つ地。 振り向いた先には、桃色の袴を身に付けた竜人の女性が紅い腰掛けに座りながら話し掛けてきていた。 「(あ、そういやこの人が村長だったな。ここにいた時間が短かったから軽く分からんかったな)はいはい、何でしょ?」 一応初対面を装う地。 「アナタはもしや、私達の村に専属してくださるハンター様でしょうか?」
〜炎side〜
炎は火山を駆けている。特殊な力が使えない今、瞬間移動よろしくのような動きは出来ない。 故に普通に走っている。それでも常人からすればかなり速いが。 「ちっ……地の言葉に真に受けたのが間違いだったな。こんな寄り道などするから……それに、今アホとか言われた気がしたな」 溶岩の河が左右に流れるエリア8を駆け抜ける炎。 が、そこに障害が現れた。 このエリアには麓へ向かうためのルートが二つある。 それが、二頭の大型モンスターによって、塞がれてしまっていた。 片方はイビルジョー、もう片方はティガレックス亜種だ。 「グゥオォォオォォォォオオォォォ!!」 「ギィィヤァァァァァァァァァ!!』 左右から挟み撃ちにされる炎。 だが、何の変鉄もない大型モンスターでは炎にとっては厄介ではなく、面倒なだけだ。 「どけ、貴様らと遊んでいられるほど暇じゃない……」 炎は脚の装甲から一振りの、ベイオネット(銃剣)状をした刃のダガーを逆手で抜き放った。ちなみにこのダガー、脚の装甲の土踏まずから切っ先を出すことも出来る。 イビルジョーとティガレックス亜種が突撃してくる。 普通ならどちらも敬遠したくなる相手、それが二頭同時。 しかし、全く問題にならない。 「散れ」 |