- 日時: 2014/06/26 17:40
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: tZAosrOG)
クロスオーバー 7倍quasar×ダブルサクライザー
第三章 単刀直入に言う、それと異論は聞けなくなった
〜ミナーヴァside〜
「…………」 カトリアはさらに眉をしかめて考え込んでしまう。 理解は出来ても納得はいかない。 そんな「何らかの力」などでこんな状況になっていたのでは堪らない。 納得は出来ないが、もはや自分達の常識の範囲外の世界だと言うことが分かった。 その上、「何らかの力」というモノが不安定と来たものだ。カトリアでなくとも納得はいかないだろう。 「失礼……少し良いだろうか?」 考え込んでいるカトリアの隣に立つのはニーリンだった。 「先程からの話を聞いていて思ったことがある。そこのメイドの君、上はドンドルマ、下は……確かタンジアの受付嬢の制服だったかな?」 ニーリンはメイドの彼女の上半身と下半身を見て聞いたことのない単語を口にする。ニュアンス的には地名のことを言っているのだろう。 「ドンドルマとタンジアの間は船で何ヵ月も掛かるような距離。時空間異動が出来るとは言え、少なくとも、好き好んで旅をしたがるような感じではない君達では有り得ない格好だ……そこから何が分かるか?君のその服装は、誰かから拝借、もしくは譲渡されたものだと見える。そして、その譲渡したのが先程の彼だろう?」 ニーリンのその言葉で、メイドの彼女は少し動揺した。 さらに畳み掛けるようにニーリンは言葉を続ける。。 「ここから先は私の妄想だがな。君にそのメイド服を譲渡した彼……時空間に穴を開けたのは、……っと、あなたですかな?」 ニーリンは気配を感じて石段の方へ向いた。 そこには、先程深刻そうな顔をしていた彼だ。 「待たせたな!」 先程の深刻そうな顔はどこへやら、おちゃらけた表情を見せている。 「地っ、何してたんだよ?」 「わりーわりー。ちなみに、その時空間に穴を開けたってのは俺じゃないよ」 その彼はニーリンとカトリアに向き直る。 「単刀直入に言う、それと異論は聞けなくなった」 おちゃらけた表情はそのままだ。 「そっちのあんたら、俺達と一緒に行動してくれ。決定。拒否権は与えない、与えさせない」 〜地side〜
地のその言葉に、リーダーらしき少女と、セルタス装備の女性は目を丸くした。 だが、その二人の間に割って入ってきたのは、レウス装備の少年だ。 「ちょっと待ってくたざいよっ、いきなり何なんですかっ?」 明らかに不満、と言うか疑問を持った赤い瞳を地に向けている。 「異論は聞けなくなったっつったろ。まぁ、簡単に話すとこうなる……」 ついさっき、村長らしき竜人の女性に専属されるハンターと勘違いされた。 本当は違うのだが、事態の収拾を図るために口から出任せよろしく、専属されるハンターだと偽った。 その対象は、ここにいる全員に向けたことでもある。 と言うわけで自分達と一緒に行動してくれ。 「ってことよ。つーわけで、これからよろ……」 「ちょっと地!あなた何を勝手に話を進めてややこしくしてるの!?」 霊華が口を尖らせて反論してくる。 どうやら不満があるのは双方からだ。当然だが。 「成り行きだって、成り行き。これも寄り道の一貫だと思えばいんじゃねwww 」 「よかないわっ!」 冥花も地に怒りの矛先を向ける。 残妖は頭が痛いと言わんばかりに溜め息をついた。 「はぁ……地さん、あなたと言う人は……。私達は構いませんかも知れませんが、あちらの意見も一致しなくてはどうしようもありませんよ?」 そう、一番の問題はそれだ。さっきもレウス装備の少年は露骨に疑問を向けてきてた。 それは向こうのリーダーの少女が良い判断をしてくれることを願うしかない。 「どうしますカトリアさん、見るっからに怪しいですけど……」 怪しいと言うのは否定できない。 「……」 リーダーの少女はまた考え込んでから、地に向き直る。 「つまり私達に、この村に専属されるハンターの集団を装い、生活してくれと、そう言うことですね?」 その通りだ。そうしてくれなければでっち上げた設定が全て水の泡になるし、後先を考える余裕もなくなる。 「そそ。オケ?」 地は確認を含めてリーダー、カトリアと言うらしい少女に訊いてみる。 「分かりました。どの道私達は路頭に迷っているも同然です。ここはお互いに協力して、元の世界へ戻る手段を模索しましょう」 「良いのですか?イレーネ殿」 セルタス装備の長身の女性は、カトリアを「イレーネ殿」と呼んで目を向けている。イレーネと言うのはファミリーネームのことだろうか。 「良いも何も、それ以外に最もらしい方法がありません」 「ふむ……了承しました」 すると、セルタス装備の女性は渋々と引き下がった。 つまり、交渉成立ということだ。 地は表情はそのままで内心ではかなり安心していた。 「ほんじゃ、これからよろwww 」 「ちょっと待て地!あたいはまだ納得し……」 「納・得・し・ろ。オケ?」 地はとりあえず冥花を黙らせる。 「もうどうにでも……、この村のご飯が美味しければそれでいいし」 霊華もどうやら折れてくれた模様。彼女がいいなら、残妖も大丈夫だ。 前途多難かつ行き当たりばったりかつ、口から出任せ嘘八百な生活が始まりそうだ。
〜炎side〜
「……俺はなぜここにいる」 そこはさっきまでの火山という猛暑地帯から、白一色の白銀の世界にいた。 ここは凍土。 確かベースキャンプまで降りてきて、そこからまっすぐ集落の在る方へ向かったのだが、なぜかこんな所にいる。 方向音痴だとは思わない。炎自身、この辺りの地理にも詳しい。 では、なぜ道に迷ったような様子を見せているのか? 「俺の力の消失、地理を間違えるわけがない、つまりは……」 何者かが、自分から力を奪い、さらには幻覚を見せているのだろうか。 さらに、あのイビルジョーとティガレックス亜種……まるで邪魔をするかのように。 見えない裏が、炎を邪魔している、もしくは試している? それを裏付けるように、咆哮が三方向から聞こえる。 「「「ヴゥオォォォォォォォォォォォ!!」」」 それは、三頭のベリオロスだ。 まるで炎が来るのを待っていたかのようだ。 「本来なら、さっさと黒幕を叩き潰したい所だが……試しているのなら、話は別だ……」 炎は三頭のベリオロスに囲まれていながら、全く動じていない。 今度は左右の腰の装甲の中に手を突っ込み、そこから一つずつハンドガンらしき銃器を取り出した。 「おい黒幕、これが俺の本気の、ほんの一部だ。よく見ておけ」 誰と言わずに炎は語りかけると、その両手に握ったハンドガンを構えた。 凍土に無数の銃声が響いた。
|