- 日時: 2014/06/27 23:17
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: UVI/GETW)
クロスオーバー 翼の勇車×ダブルサクライザー
二十八章 Memorial 〜思い出〜
「断定は出来ませんが……」 全員が考えている最中、マガレットが意見を出した。 彼女はその青紫色の瞳を、自身が持っている結晶体の青紫色に合わせる。その中には、ガノトトス亜種、崖に落ちそうになった所をゲネッポに助けられた時、ユリとギザミ、ペッコが見せてくれたモノ。ゲリョと話したコト、楽しい食事……その瞬間が見える。 「この光を見ることによる既視感……それで、ニーリンさんの深層心理に何らかの影響が発生、突発的に思い出したのでは?」 ヒトの心や記憶は不確かかつ、不完全なモノだ。 本の中に描かれる、魔法使いや超能力者でもなければ、ヒトの深層心理を読むなど不可能だ。 故にマガレットのその意見は間違ってはいないが、正しいのかと訊かれると返答は難しい。 「確かに、そう言うのが最もらしいと思う。私の分の結晶体は無いみたいだから、分かんないけどね」 ミズキはマガレットの意見に頷く。 ニーリンも、「そう言うものなのか?」とでも言いたげな表情をしながら、自身の結晶体を見詰めている。 「記憶の詰まった結晶体、ねぇ」 ライラはそれらをくるくる回してみる。 「コレ、記憶でいっぱいになったら一つだけ願いが叶うとか、そう言うアレ?」 どこのお伽噺だよ、と自分で突っ込みを入れながらライラはその自身の銀とオレンジ色の結晶体を掴む。 だが、その意見を肯定したのはユリだった。 「かもしれませんよ?ここが夢の世界かもってことなら、それもアリかもです。一つだけ願いが叶う……ロマンチックですよね」 ユリはその黒と深青の結晶体を胸に抱きながら、キラキラした瞳でライラを見ている。 記憶でいっぱいになる……それはつまり、想い出を作ることで、いつかそれは起きるのだろうか。
ミナーヴァは各々の結晶体を持ち帰ると、エリア7に戻った。 既に残っていた大型モンスター達があらかた料理を食べ尽くしていた。 全員、ごちそうさまを告げると、せっせと後片付けを終わらせる。 それらが終わる頃には、日は西へと傾こうとしていた。 それと同時にカトリアは気付いた。 今日、寝る場所がないことに。 カトリアの心情を察したのか、ミズキが彼女に声をかける。 「カトリアさん、ミナーヴァの皆は、今日はウチの村に泊まっていってくださいね」 「ウチの村?」 「はい。まだ不便なところはありますけど、逗留客を泊めるくらいの家屋は用意できると思います」 今更気付いたのだが、ここは狩り場なのだから近くに集落の一つや二つはあるだろう。 「それに、ウチの村長もカトリアさんと会ったら喜ぶと思いますよ。あの人、旅人とかキャラバンとか来るって分かったらお祭り騒ぎでもするんじゃないかってくらい喜びますから」 「そ、そうなんだ?」 変わった村長だね、とカトリアは苦笑する。 何はともあれ、今日の宿の心配はなくなった。 カトリアはミナーヴァ各員にその旨を通達する。 |