- 日時: 2014/06/28 23:14
- 名前: 7倍quasar ◆FGU2HBsdUs (ID: yjJzHrGy)
その21 常識外の力
〜地下10階〜
今の地は説得の余地はない。 本来この世界に存在するはずのない弓を、ありえないほどの力でひく。 両指をよく見ると…緑色をしたリングが親指を除いた指すべてについている。しかしリングなどつけて意味はあるのだろうか…。 おまけに彼が今放とうとしている矢の数は…12本。今までと変わりのない数ではあるが、その矢も今まで使ってきた矢とはまったく異なる。 ―筒に入れて発射する小型矢。射程距離が長いのはもちろんのこと発射速度がとても速く、避ける動作をする前に対象を射抜く…通称「片箭」 その矢を12本である…破壊力はもはや想像できない。 それ以上に、地から発せられる不気味なオーラが研究員へ恐怖を感じさせる。
「け…けけっ…こ、この小娘がどうなってもよいのか?!」
研究員はさっきまで抜いていた力を再び加えだす。
「い…いや…!やめ…て…っ!!」
残妖は全身から襲う痛みで意識が限界寸前だった。 それでもお構いなしに研究員は力を加えていく。
ポタッ
残妖の目から涙が落ちる音がした。っと同時にそれは起きた
ガシッ!!! 「なぁにぃ?!!」 「・・・・・・・・・。」
さっきまで扉にいた地が…もう真横に立っている。しかも一瞬で研究員の両腕を弾き飛ばし、残妖を別の場所へ、そして…。
「失セロ」 ズガッッ!!!!
研究員の腹に強烈な回し蹴りをおみまいする。
ズドンッッ!!!! 「ぐはっ!!」
あまりにも強烈すぎるその蹴りは研究員を壁にたたきつけた。 それでも研究員はなんとか体制を立て直す。しかしその前にいるのは…
―再び弓を引き絞る地。
今から反撃しても間に合わない。しかし、自身は進化を超越した存在。 ならばこの程度の攻撃くらい防御できる。 そう思った研究員は両腕を異常なほど肥大化させ、硬度も増強させる。 この固さは…ダイヤモンドくらいだと思えば幸い。
「け〜けけwwwwそんな攻撃でこの腕を破壊することはできまい!!」
と豪語する研究員。しかし…
「言ッタハズダ。塵モ残サヌト…」 グググ・・・!!!
弓を…引き絞る。そして…
バシュッ!!!
―放つ
ズグシャァァアアアアアン!!!!!!!!! 「ぐぎゃぁああああああ!!ワシのうでがぁぁぁあああああああ!!!!!」
放たれた12本の矢は…右腕にすべて直撃。 貫通作用を持ってはいない矢ではあるが…右腕を粉砕した。骨、筋肉、皮膚…すべてを塵へと帰した。 貫通作用を持たせていない…つまり、矢にかけられていた力はすべて当たった場所にかかる。故に、破壊力をある部位にのみ与えたいのであれば貫通作用は必要なくなるのだ。 しかしそれで終わるわけがない。彼の本気が常識外なわけ…それは
バシュシュシュ!!!!!
―異常なほどの攻撃速度にある。 矢を取り出し、引き、そして放つ。この動作を…1秒間に20回。それも12本の矢をいっぺんに撃ち込む。 矢の速度は…目視不可能。もはや音速に近い。この矢を回避するのは無理がある。
「―クタバレ。」
研究員は…断末魔を上げることなく、この世界から塵一つ残らずに消え去った。
「・・・・・・・・・・・・。」
目的は達成した。もう用はない。部屋からでようとしたそのときだった。
「「「「クエェェエエエ!!!!」」」」
さきほど炎がみかけた全盛期のイャンクック達が部屋へとなだれ込んでいった。 鳴き声だけでソニックブラストが発生する…もはや常識外の生物。 数々の伝説を持つモンスターが…複数。 どう考えても絶望しかない。たとえいかなるハンターといえどこの状況の打破は不可能だろう。 ―それでも彼は違う
「…邪魔ダ」 バシュシュシュッッ!!!!!
薄れゆく意識の中で残妖が見た光景…それは…
―一瞬で塵へと帰るイャンクック達、そして…塵へと帰ってもなお無慈悲に超高速で矢を放ち続ける地であった。
〜炎視点〜
「…あのあほ…仕方ない、地下10階にいくか。それだけ」 |