- 日時: 2014/06/29 18:47
- 名前: 翼の勇車 (ID: u0iFZ7fI)
クロスオーバー ダブルサクライザー×翼の勇車
二十九章 村へ
「おっ、村へ行くんかいな? なら誰がついていくか決めなアカンな」 「そうだね、ハンターも沢山いるけど、カトリアさん達はモンスターと戦えないし。用心棒に誰かついていった方がいいね」 ゲネッポとギザミの会話に驚くのはアスト。 「えっ、モンスター達って、村に来れるのか?」 「うん、村人みんなも彼らの事は知ってるよ」 ミズキの返答に、そうなのか……と複雑そうな顔をしたアスト。ツバキも同様だ。 「よし、じゃあメンバーの選定だな。まずはギザミ、お前はついてけ。守りには定評があるだろ?」 「了解。じゃあ次は偵察担当だね」 「ああ。機動力で言ったらドス三兄弟の誰かか、アルタスあたりだろうな」 「私は構いませんが、イーオを連れていくのはやめた方が無難でしょうね」 「うおおいラン! それはどういう事だぁ!?」 クックの指示でメンバーを決めていくモンスター達。 「なんというか……随分と手慣れてるな」 「うん、いっつも私を護衛するとかなんとかで決めてるから……」 ため息混じりにそう答えたミズキを見て、それもそれで大変そうだなと思ったツバキだった。 結果、ついて行くのはギザミ、ゲネッポの二人となった。
「俺ら行かないモンスター組は、それぞれの巣なり何なりに帰っている。明日の朝、またこのエリアに集合だ」 「リョーカイやクックヤン」 「よーし、それじゃあしゅっぱーつ!」 ギザミのヤドに乗ったミズキの楽しげなかけ声で、動き出す一行。目指すは、船のあるBCだ。 「ねえ、ベースキャンプって、目を覚ましたとき私たちがいたところだよね?」 「そうですね。……ということは、あの船で移動するのか?」 カトリアとアストが思ったこと。それは、あの船に全員が乗るのは難しそうということだ。人間とアイルーだけでもすし詰め状態だというのに、ゲネッポが乗るなど考えられない。ギザミに至っては、船の何倍も重いのだ。 「大丈夫、ボクは泳げるから、一部メンバーを乗せていくよ」 成体は砂漠に生息している事が多いため忘れがちだが、ダイミョウザザミは半水生のモンスター。水中でも呼吸が可能なのだ。しかし……。 (泳ぐって……水底を歩く訳じゃないよな……)
BCへと到着した一行。 「それじゃあ、誰がボクの背中に乗っていく?」 「勿論私は乗るよ」 「僕も乗るよ」 「ワイもや。後は誰にするんや?」 早速声をあげたのはミズキとカスケ、そしてゲネッポだ。 「はいはいっ、私ものりますっ!」 モンスターの背に乗るのがクセになったのか、元気よく声をあげるシオン。 「では、私も乗ろう」 いつのまにやら大分記憶が戻ってきているニーリンも挙手する。 「よし、ボクが乗せられるのはこんなもんかな。後はみんな船に乗って」 そう言ったギザミは、既に乗せているミズキ以外の乗る人達をハサミで上げると、ぐっと力を入れる。すると、ヤドとして背負っている頭蓋骨の顎が大きく開き、ゴオォォォという音が聴こえるほどの勢いで空気を吸い込んだのだ。 「さ、行こうか」 ギザミはそのヤドに溜め込んだ空気を浮きにして、水に浮く。そして見た目に反して強靭な力を持つその四脚で泳ぎ始めた。 「もう、何でもアリだな……」 諦めのようなため息を出したアストは、残りのメンバーと共に船に乗っていくのだった。 |