- 日時: 2014/07/01 10:16
- 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: ZTAwMmZe)
クロスオーバー 7倍quasar×ダブルサクライザー
六章 聖・エールハース
〜炎side〜
渓流に、リオレウスとリオレイアの希少種の屍が転がる。 炎はそれに全く意を介さず、誰もいない渓流の真ん中で呟くように、呼び掛けるように声を放つ。 「これだけ力を示せば十分だろう。そろそろ出てきたらどうだ、黒幕」 武器や暗器を懐に納める。 それと同時だった。 炎の頭の中に声が響いてくる。 「(なんだこれは、念力(テレパシー)の類いか?)」 ノイズのかかっていたその声は、やがて鮮明に聞こえてくる。 〈さすがだね、この世の理から外れた存在〉 「(貴様は何者だ。貴様が、俺の言うところの黒幕か?)」 炎は念力だけでその声の主と対話をする。 〈そんなところだね。そして、君から異常な力をお預けにしたのも、この僕さ〉 「(力を奪われることには慣れている。最も、どいつもこいつも俺の力を使いこなすことなど出来はしなかったがな)」 〈当然さ。何せ、この僕にでさえ君の力は操り切れなかった。常人が扱おうなど、愚行だよ〉 操り切れなかった? そこまで考えて炎は察した。 「(そうか、次元を斬った時のあの違和感……貴様が元凶か)」 〈御名答。君の力が強すぎて、うっかり別の世界まで巻き込んでしまった。その辺りは謝罪をしようか〉 「(そんなことはどうでもいい。さっさと姿を現せ。そして俺から力を返せ)」 〈残念だけど、まだそれには早い。君にはもうひとつやってもらいたいことがあるんだ〉 「(今度は何をさせるつもりだ?)」 〈嵐龍、アマツマガツチの討伐さ。あと半年もすれば、アマツマガツチは霊峰で目覚め、この世界に災いをもたらす。その前に先に止めてもらいたいのさ〉 「(貴様の目的は何かは知らんが、名前ぐらいは言え。俺の名前は言わなくても知っているだろう)」 〈ふふ、そうだね、炎。確かに君の言う通りだ〉 声は炎の名前を言い当ててやると、名乗った。 〈僕は聖・エールハース。この世に存在しない存在……言ってみれば、神のようなモノさ〉 「(神だと?笑わせるな、神などこの世に存在しない)」 〈信じるか否かは自由だ。信じ、疑うのは結局は己の問題。それがヒトの特権だ〉 「(解せん。それで、嵐龍アマツマガツチだったな。そいつはどこにいる)」 〈この渓流から、何日もかかるような北の方、霊峰だ。そこにアマツマガツチがいるよ〉 「(分かった、すぐに終わらせる)」 炎は念力を切ると、風のように北へ向かった。 これから対峙する、嵐の前哨のように。
〜ミナーヴァside〜
カトリア、アスト、残妖、セージは渓流に来ていた。 アオアシラと言う相手だけでなく、ここ、渓流と言う狩り場そのものも初めてなのだ。 「二人とも、支給品は持った?」 カトリアはアストと残妖に声をかける。 「はい、ちゃんと取ってますよ」 「私も大丈夫です」 二人は頷く。 「いい?今回は狩り場も初めて来る所だから、下手に分散はしないで、みんなで固まっていきましょう。ターゲットと遭遇した場合はその場で対処はするけど、基本的には各エリアの把握が先だからね?」 カトリアが出した意見は、いきなり狩りに入るのではなく、まずは地の利を掴むことからだ。 「残妖さんも、いいかな?」 「はい。そちらの判断に任せます」 残妖も了承してくれた。 アストはレウスヘルムを被り、その頭を隠す。 「そんじゃ、ゆっくり行きますか」 三人と一匹は狩り場へ入っていく。
〜地side〜
一方の地、ニーリン、ツバキは水没林に来ていた。 岩の屋根のようなベースキャンプで、三人は準備をしていた。(地は武器だけ装備してほとんど手ぶらに近かったが) 「地さん、少しいいですか?」 ツバキは鬼斬破を鞘に納めながら、地に話し掛ける。 「お、なんだ?っと、ツバキだっけ」 「俺とニーリンさんはこの狩り場に慣れていないんで、ロアルドロスの狩猟の前に、狩り場の把握だけ先にしてもいいですか?ニーリンさんにとっても都合がいいと思うんで」 ツバキの意見はまっとうだ。 地もさすがにそこまで否定はしない。 「オッケーオッケー。んじゃ、俺は先にあのポンデラ……ロアルドロスと水遊びでもしとくわwww ゆっくりしていってねwww 」 地はもう相変わらずのマイペースに戻っている。 「ありがとうごさいます」 ツバキは一礼すると、ニーリンの方へ向かう。 そんなツバキのギザミメイルに守られた背中を見つめる地。 「(あいつ女なのになんで男用の防具してんだろ?一人称も「俺」だし……まぁ男装趣味の俺っ娘ってことにしとくかwww )」 既に地はツバキの正体を見抜いていた。 |