Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ三代目!( No.169 )
  • 日時: 2014/09/17 13:47
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: sUCgr.zl)

 クロスオーバー 7倍quasar ×ダブルサクライザー

 番外編 執事とお嬢のお戯れ

 今日もユクモ村の朝は早い。
 朝食を食べ終え、家事も済ませた残妖とツバキは少しの間、借家でのんびりとしていた。
「お茶を淹れましたよ」
 残妖が湯飲みが乗ったお盆を手に縁側やってくる。
 今この部屋にいるのはツバキと残妖の二人だけだ。霊華はなぜかユリと出掛けている。
「あぁ、ありがとう。残妖さん」
 紅葉を見ていたツバキはおもむろに残妖を一瞥する。
 残妖はお盆を置き、ツバキの隣に座る。
「ふぅ……」
 ツバキは湯気にそっと吐息を当ててから、一口。
 残妖もそれに倣うように、一口。
「「ふぅ……」」
 二人揃って小さく一息つく。
 あと少しも経てばすぐにでも昼食の用意になるが、今はこうしてゆっくりしている。
「ゆっくりしていっ……」
「黙れ」
「げるぐぐっ!!」
 何かみょんなことが聞こえたのはきっと気のせいだ。
 こうしていること、数分間。残妖が話を持ち込んできた。
「ツバキさんって、女の子なのにどうして「俺」って言うんですか?外の世界では、そういう人もいるとは聞いたことがありますけど……」
「あぁ、それな……」
 ツバキは残妖に事を話した。
「そ、そうだったんですか……よく分かりませんけど、苦労してたんですね」
「ユリを守ることしか頭になかった、俺なりの結果だな」
 ツバキは小さく溜め息をつくと、もう一口お茶を口に近付ける。
「話は聞かせてもらったわよ?」
「うんうん」
 突如現れたのは、霊華とユリだ。
「霊華様にユリさん?どこに行っていたんですか?」
 残妖は二人の姿を見て小首を傾げる。ツバキも然りだ。
 有無は問わさず、ユリは話を進める。
「ツバキくんは私と来て」
 ツバキに手招きするユリ。
「残妖はこっちよ?」
 霊華は残妖に手招きする。
 何が何だか分からないが、とりあえず各々の相手についていく二人。

 〜残妖&霊華side〜

「あの、霊華様?この服は一体……」
「あらあら、よく似合ってるじゃない。さすが残妖ね」
 残妖の姿を見て、霊華は楽しそうに微笑む。
 清潔感のある純白のワイシャツ、その上に羽織るは対照的な黒のベスト。その黒と同じ色のスラックス。首から胸元を結ぶ赤いネクタイ。両手を包む白手袋。
「執事服よ、執事服。前に、ツバキと男装した残妖について話しててね、その件をユリにも話したら、彼女ったら「じゃあツバキくんも女装させないとね」とか言って、すっかりその気になっちゃったのよ」
「え、女装した、ツバキさん……?」
 残妖がそう口にした時だった。
「何じゃこりゃぁぁぁぁぁ!?」
 隣の部屋からツバキの咆哮が響く。

 〜ツバキ&ユリside〜

「うわぁ、私自身も予想外なくらい似合ってるね、ツバキく、ツバキちゃん」
 ユリは目の前の絶世の美少女を見て目を見開いていた。
 焦げ茶色のショートヘアに、薄紫色の瞳を見れば、ツバキと言うことは分かる。  
 が、その下を見れば誰がツバキだと言うだろうか。
 普段の勇ましい彼女にはとても似合わないだろうと思うような、水色のドレス。
 肩口や胸元が露出したセクシーな作りではあるものの、ツバキがそれを身に纏うことでいやらしさは鳴りを潜め、健全な色気と姿を変えて、その姿を見る者を魅了する。
 余計な装飾を省き、あくまで素材の良さを前面に押し出している。
「ユッ、ユリッ!よくも俺を騙したなぁっ!?」
「騙したなんて酷いよぉツバキくん。こんなに可愛らしい女の子なのに、女の子らしくない姿をし続けてるなんて、同じ女としては心を痛めていたんだよ?」
「だからってっ、ドレスなんて着せる奴があるかぁっ!」
 実の所、ツバキには目を閉じていてもらい、その隙にユリが着替えさせると言う戦法だ。自らおしゃれをしたがらないツバキには、こうするしかなかったのだ。
「さぁ、着替えも終わったし、残妖さんとご対面だねっ」
 ユリはツバキの手を取ると、連れていこうと引っ張る。
「いっ、嫌だ離せユリッ!こんな姿を誰かに見られたらっ、俺は羞恥心のあまり精神崩壊を起こすぞっ!?」
「きこえなーい」
 ツバキの抵抗も虚しく、ユリはふすまをスライドさせてツバキを押し出す。
 そこにいるのは、なぜか執事服の残妖と、霊華。
 しばらく、ツバキの姿に釘付けられている残妖と霊華。
「ィ、ヤァァァァァァァァァァ!!!!!」
 ツバキはとっても女の子らしい可愛い悲鳴を上げて、その場で気絶した。
「うそ、ほんとに精神崩壊しちゃったの?」
 ユリは倒れたツバキを抱き起こす。
 
 〜残妖&ツバキside〜

「ぅ、ん……ぁれ?俺……」
 布団から目覚めるツバキ。
 あれは悪夢だったのだろうか?
「ツバキさん、大丈夫ですか?」
 残妖が心配そうに見詰めてくる。
「そんな、気絶するほど恥ずかしがらなくても良かったじゃないですか」
「じゃ、じゃあ?夢じゃなかったのか……!?」
 途端、ツバキは顔を真っ赤にして俯いた。
「もう嫌だ死にたい」
「お、落ち着いてください」
 慌てて顔を上げさせる残妖。
「でも、あのドレスのツバキさん、本当に可愛かったですよ」
「か、可愛い?お、俺が……?」
「はい」
「〜……」
 とんでもなく赤面するツバキ。
「ざ、残妖の執事服だって、似合ってたぞ。か、カッコよかった」
「あはは、ありがとうございます」
 残妖は小さく笑うと、不意に畏まる。
「お嬢様、ご用件をどうぞ」
「やめてくれぇっ、俺はお嬢様じゃなぁいっ!」
 夕陽が二人を茜色に染めて、静かに照らしていたーーーーー。