- 日時: 2014/09/17 13:47
 - 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: sUCgr.zl)
 
  クロスオーバー 7倍quasar ×ダブルサクライザー
   番外編 執事とお嬢のお戯れ
   今日もユクモ村の朝は早い。  朝食を食べ終え、家事も済ませた残妖とツバキは少しの間、借家でのんびりとしていた。 「お茶を淹れましたよ」  残妖が湯飲みが乗ったお盆を手に縁側やってくる。  今この部屋にいるのはツバキと残妖の二人だけだ。霊華はなぜかユリと出掛けている。 「あぁ、ありがとう。残妖さん」  紅葉を見ていたツバキはおもむろに残妖を一瞥する。  残妖はお盆を置き、ツバキの隣に座る。 「ふぅ……」  ツバキは湯気にそっと吐息を当ててから、一口。  残妖もそれに倣うように、一口。 「「ふぅ……」」  二人揃って小さく一息つく。  あと少しも経てばすぐにでも昼食の用意になるが、今はこうしてゆっくりしている。 「ゆっくりしていっ……」 「黙れ」 「げるぐぐっ!!」  何かみょんなことが聞こえたのはきっと気のせいだ。  こうしていること、数分間。残妖が話を持ち込んできた。 「ツバキさんって、女の子なのにどうして「俺」って言うんですか?外の世界では、そういう人もいるとは聞いたことがありますけど……」 「あぁ、それな……」  ツバキは残妖に事を話した。 「そ、そうだったんですか……よく分かりませんけど、苦労してたんですね」 「ユリを守ることしか頭になかった、俺なりの結果だな」  ツバキは小さく溜め息をつくと、もう一口お茶を口に近付ける。 「話は聞かせてもらったわよ?」 「うんうん」  突如現れたのは、霊華とユリだ。 「霊華様にユリさん?どこに行っていたんですか?」  残妖は二人の姿を見て小首を傾げる。ツバキも然りだ。  有無は問わさず、ユリは話を進める。 「ツバキくんは私と来て」  ツバキに手招きするユリ。 「残妖はこっちよ?」  霊華は残妖に手招きする。  何が何だか分からないが、とりあえず各々の相手についていく二人。
   〜残妖&霊華side〜
  「あの、霊華様?この服は一体……」 「あらあら、よく似合ってるじゃない。さすが残妖ね」  残妖の姿を見て、霊華は楽しそうに微笑む。  清潔感のある純白のワイシャツ、その上に羽織るは対照的な黒のベスト。その黒と同じ色のスラックス。首から胸元を結ぶ赤いネクタイ。両手を包む白手袋。 「執事服よ、執事服。前に、ツバキと男装した残妖について話しててね、その件をユリにも話したら、彼女ったら「じゃあツバキくんも女装させないとね」とか言って、すっかりその気になっちゃったのよ」 「え、女装した、ツバキさん……?」  残妖がそう口にした時だった。 「何じゃこりゃぁぁぁぁぁ!?」  隣の部屋からツバキの咆哮が響く。
   〜ツバキ&ユリside〜
  「うわぁ、私自身も予想外なくらい似合ってるね、ツバキく、ツバキちゃん」  ユリは目の前の絶世の美少女を見て目を見開いていた。  焦げ茶色のショートヘアに、薄紫色の瞳を見れば、ツバキと言うことは分かる。    が、その下を見れば誰がツバキだと言うだろうか。  普段の勇ましい彼女にはとても似合わないだろうと思うような、水色のドレス。  肩口や胸元が露出したセクシーな作りではあるものの、ツバキがそれを身に纏うことでいやらしさは鳴りを潜め、健全な色気と姿を変えて、その姿を見る者を魅了する。  余計な装飾を省き、あくまで素材の良さを前面に押し出している。 「ユッ、ユリッ!よくも俺を騙したなぁっ!?」 「騙したなんて酷いよぉツバキくん。こんなに可愛らしい女の子なのに、女の子らしくない姿をし続けてるなんて、同じ女としては心を痛めていたんだよ?」 「だからってっ、ドレスなんて着せる奴があるかぁっ!」  実の所、ツバキには目を閉じていてもらい、その隙にユリが着替えさせると言う戦法だ。自らおしゃれをしたがらないツバキには、こうするしかなかったのだ。 「さぁ、着替えも終わったし、残妖さんとご対面だねっ」  ユリはツバキの手を取ると、連れていこうと引っ張る。 「いっ、嫌だ離せユリッ!こんな姿を誰かに見られたらっ、俺は羞恥心のあまり精神崩壊を起こすぞっ!?」 「きこえなーい」  ツバキの抵抗も虚しく、ユリはふすまをスライドさせてツバキを押し出す。  そこにいるのは、なぜか執事服の残妖と、霊華。  しばらく、ツバキの姿に釘付けられている残妖と霊華。 「ィ、ヤァァァァァァァァァァ!!!!!」  ツバキはとっても女の子らしい可愛い悲鳴を上げて、その場で気絶した。 「うそ、ほんとに精神崩壊しちゃったの?」  ユリは倒れたツバキを抱き起こす。    〜残妖&ツバキside〜
  「ぅ、ん……ぁれ?俺……」  布団から目覚めるツバキ。  あれは悪夢だったのだろうか? 「ツバキさん、大丈夫ですか?」  残妖が心配そうに見詰めてくる。 「そんな、気絶するほど恥ずかしがらなくても良かったじゃないですか」 「じゃ、じゃあ?夢じゃなかったのか……!?」  途端、ツバキは顔を真っ赤にして俯いた。 「もう嫌だ死にたい」 「お、落ち着いてください」  慌てて顔を上げさせる残妖。 「でも、あのドレスのツバキさん、本当に可愛かったですよ」 「か、可愛い?お、俺が……?」 「はい」 「〜……」  とんでもなく赤面するツバキ。 「ざ、残妖の執事服だって、似合ってたぞ。か、カッコよかった」 「あはは、ありがとうございます」  残妖は小さく笑うと、不意に畏まる。 「お嬢様、ご用件をどうぞ」 「やめてくれぇっ、俺はお嬢様じゃなぁいっ!」  夕陽が二人を茜色に染めて、静かに照らしていたーーーーー。  |