Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ三代目!( No.173 )
  • 日時: 2014/09/20 03:24
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: UCqWlBm0)

 クロスオーバー 7倍quasar ×ダブルサクライザー

 四十三章続き

 〜ルピナスside〜

 特に急ぐこともなく、ルピナスは狩り場へと入っていった。
 彼の言う通り、ここまでの道程には小動物一匹現れなかった。
 そして、ベースキャンプに到着した。
「ここがぁ、ベースキャンプですかぁ?でもぉ、誰もいませんねぇ」
 キョロキョロと周りを見回わすルピナス。
 簡素なテントとベッドがあるだけで、他には何もない。
「やっぱりぃ、誰もいませんねぇ。ではぁ、帰りまし……」
「待て」
 テント内を見通してから、帰ろうと振り返った先に、その青年はいた。
 朱い髪、紅い瞳、そして、全身から滲み出ているオーラ、などルピナスに気付くわけもなく、ルピナスはニッコリと挨拶する。
「こんばんはぁ。あなたがぁ、炎さんって言う人ですかぁ?」

 〜炎side〜

 こいつだ。
 この女性こそが、自分の気配を勝手に察知していたのだ。
 炎は何とも言えぬ感覚で女性に話しかける。
「おい女、貴様の名を教えろ。ちなみに俺の二人称は「貴様」だ。変えるつもりはない」
 とりあえず敵対心のない初対面の相手に自分の勝手を話しておく。
「お名前ですねぇ。私はぁ、ルピナス・クリティアと言いますぅ。それとぉ、私の質問にも答えてくださいねぇ」
「あぁそうだったな。俺があの地のアホの言うところの炎だ。霊華の奴が大変世話に、いや、迷惑になっている」
 炎は自分の名と、食料面で大変迷惑になっている霊華についての謝罪をする。
「いえいえぇ、霊華ちゃんはぁ、美味しそうにたくさん食べてくれるのでぇ、作る側としてはぁ、嬉しい限りですよぉ」
 普通なら文句を言うところだろうが、このルピナスと言う女性は普通とはかなり離れているようだ。
 それといざこうして対話をしてみて、炎は一つ意見を出す。
「貴様、もう少し早く喋れんのか」
 恐らく半分以上の人間がこう思っているだろう。
「ごめんなさいねぇ、炎さんの二人称がぁ、「貴様」って言う言い方を変えないみたいにぃ、私もぉ、この喋り方は変えられないんですよぉ。何て言うかぁ、習慣みたいなものでしてぇ」
「……」
 炎は心底で自分のペースを少し崩していた。
 自身を前にして、ここまでマイペースに接してくる相手は、地などを除けば他に見たことがないからだ。最もその地よりも遥かにマイペースのようだが。
「了解した……で、夢の中でも現実世界でも俺に干渉して、何のつもりだ」
 炎は本題を切り出した。
 勝手に気配を察知したり、干渉してくるのは結構。知りたいのはその理由だ。
 ルピナスは人差し指を顎に当てて、首を傾げる。
「んーとですねぇ、昨日にですねぇ、変な夢を見たような感じがしてぇ、その朝からぁ、何だか急に勘が良くなったようなぁ、感覚がするんですねぇ。何ででしょうかぁ?」
 やはり、ルピナスは力を与えられたと言う自覚がない。
「それからぁ、炎さんのことが頭から離れなくなっちゃいましてぇ、何だかどこかで何かしているかをぉ、感じちゃいますねぇ。それからぁ……」
「分かった、もういい」
 炎はルピナスを止めようとするが
「目と目を合わせてお話ししていたようなぁ、感じもしましてぇ……」
 聞いていない。
 炎は心底で溜め息をついた。
「あとぉ……」

 ルピナスが自身の異変を感じてからの事を話し始めて三十分が過ぎようとしていた。 
「こうしてぇ、顔を合わせてみるとぉ、色々分かりますねぇ」
 炎とルピナスの紅と暗緑の瞳が合う。
「炎さんはぁ、とってもぉ、優しい人なんですねぇ」
 いきなりを何を言い出すと思えば、そんなことだ。
 炎は呆れるように返した。
「人間の限界に絶望し、人間を辞めたようなヒトがか?」
「炎さんはぁ、どうしてそんなにぃ、強くなろうとするんですかぁ?」
「人間は絶対的な存在ではない。人間では絶対に勝てない存在もいる。そんなものが存在し続ければ、人類は滅ぶ。俺はそんな弱さに絶望し、一度死んだ。絶望と言う怨に囚われた俺は魂だけで存在していた。そんな時に、師は俺の未練に満ちた魂を拾い……俺を人間でない存在に転生させた」
 炎は掌から黒い焔を灯す。
「これがその結果だ。人間でなくなった俺は、時空を旅するようになり、人間ではどうにもならない脅威をしらみ潰しに破壊し、世界の調和を守ってきた。それが、人間を辞めた、俺自身への戒めだ」
 ルピナスは掌の黒い焔を見て、再び炎と瞳を合わせる。
「炎さんはぁ、とっても優しいんですねぇ」
「優しさだと?」
 彼女の言葉に炎は目を細め、掌の黒焔を消す。
「自分を辞めてまで守るなんてぇ、優しくないと出来ないですよぉ。でもぉ、炎さんは独りぼっちですよねぇ。私はぁ、独りぼっちなんて嫌ですぅ」
 ルピナスは言葉を続ける。
「ずぅっと独りぼっちでぇ、誰かのために辛い思いをしてぇ、誰からも感謝もされなくてぇ……、寂しくないですかぁ?」
 彼女の両手が、炎の右手を優しく包む。
「炎さんは優しいですからぁ、辛いとか言わないと思いますけどぉ……」
 優しく包んだ手が、静かに彼女の胸へと添えられる。
「私はぁ、炎さんが辛かったりしたらぁ、助けてあげたいですぅ。だってぇ……」
 ルピナスの頬が、蝋燭の火のように熱を宿す。
「私ぃ、炎さんに一目惚れしちゃったみたいでぇ……」
 恥ずかしそうに、はにかむルピナス。

 〜地&碧side〜

 水没林にて、環境を破壊しない程度に食料を集めるこの物理法則無視の二人。
「あーぁ、河が溢れる季節ならなー、チャナガブルとかガノトトスを釣ってお持ち帰り出来るんだけどなーwww 」
 地は釣竿を河に垂らしながら、誰と言わずに声を上げる。
 その隣には碧。
「仮に釣って帰って、どうやって食うんだ?」
「んー、まずチャナガブルは麻痺針を全部抜き取って安全にしてからなら調理、ガノトトスは固いヒレとか鱗を取り除いて、刺身にも出来んじゃね?」
「確信はないのか……」
 相変わらずこいつは何を考えてるか分からん、と碧はサシミウオを釣り上げる。
 ふと、遠くから翼の風切り音が聞こえてくる。
 その方向には、クルペッコ亜種がいた。
「地、あれはどうすんだ?」
「そりゃあもちろん焼き鳥にwww 」
「塩とタレなら?」
「どっちでしょうwww 解答はこいつを捕まえてからなwww 」
 早速鶏肉を捕まえにいく二人。