Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ三代目!( No.213 )
  • 日時: 2014/10/06 10:22
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: zZNEmWly)

 クロスオーバー 7倍quasar ×ダブルサクライザー

 四十七章続き

 〜ツバキside〜

 妙な感覚は感じたものの、気のせいだったのだろう。
「んーと、どこまで話した?確か霊華さんは連れてこられたんじゃなくて、自分の意志でモンスターハンターの世界に来て、残妖さんはそれに続くように来た、と」
 ここまでを整理するとこうだ。
 霊華達の本来いるべき世界は、常識が通じない。
 どうやら冥花には消えてしまった存在を知ることが出来るらしい。
 その力を炎に無理矢理使わされてこのモンスターハンターの世界に連れてこられた。
 冥花、残妖は自らの意志でこの世界に来た。
 その二人と地との関連性は不明。
 当然、ツバキにとってそんな内容など半分も理解していない、と言うか全て理解など不可能だ。
 ただ、「これはそういうものだ」と半ば自棄的に無理矢理納得しているに過ぎない。
「なるほど、といっても全然理解してないけどな。とにかく、そっち側の事情は分かった」
 ツバキは頷く。
「まぁ、そんなところね。他に訊きたいことは?」
「いや、今ので呑み込めた。もう大丈夫だ」
 現状で彼女達の本来いるべき世界のことを知りたかっただけだ。
 それを知ったのなら、あとは帰るだけだ。

 〜地&碧side〜 

 洞窟の中と言っても、やはり砂漠。絶対的な食料の数は少ない。
「地、次はどこに行くんだ?」
 碧は食用のキノコを引っこ抜きながら、地に声をかける。
 彼の声を聞いて、地はアプノトスから生肉を剥ぎ取りながらそれに答える。
「んー、ほんじゃ極圏かなwww 」
 極圏とは凍土の奥深くの奥深く、最奥部……間近でオーロラを観測できるほどの緯度に達する、世界の果ての一つ。
 ここに存在するのは、かつて世界を崩したと言われる、崩竜ウカムルバス唯一。
 草の一本も生えない、絶対零度の世界。
 本当の意味でウカムルバス以外の命が存在しない、まさにそんな、場所だ。
「しばきまわすぞこら」
「うっそwww んじゃどないしよ」
 真面目に考えて、凍土や火山と言った亜温地帯では食料は少ない。(最も、火山に生息するモンスターには鉱物を主食とする種もいるが)
 望みがあるのは、緑豊かな渓流や孤島、先程も行った水没林が当たる。
 さすがにシュレイド地方の密林や森丘、バルバレ周辺の原生林までは時間がかかる、と言うかさすがの地もそこまでの距離へ碧を投げることは出来ない。
「ま、普通に孤島にでも行くか」
「オケ」
 あらかた、環境破壊にならない程度にだけ食料を集めてから、地と碧は孤島へ飛び立った。
(アレ?そう言えば、夜の孤島……つかモガの森って確か……)

 〜例の二人組ハンターside〜

 少し遡る。
 謎の女性によって渓流近くまで飛ばされてしまった、この二人。
「ぁんの女……なんてことしやがんだ!」
「なぁ、いいかげん止めようぜ?あんなのがいる村だし、いくら温泉だからって……」
「うるっせぇっ!こんなド田舎まで来て、乳の一つ、尻の一つも揉まずに帰れるか!」
「その物言いする奴って大抵フラグ……」
「言うな!とっとと行くぞ!」
「もう帰りたい……」
 あくまで暴漢を貫き通そうとする一人と、さっさと荷物をまとめて帰りたいもう一人。
 満身創痍なのにムダに元気である。

 ユクモ村に再度到着した頃に、先程手を掛けようとした黒髪の美少女と、少し背は高いがあの謎の女性のような気配は感じられない、赤茶けた髪の美女が一人。
 さすがに謎の女性もあれで懲りたと思うだろう。
 今度こそと一人は意気込み、自首しようかと一人は諦めていた。 
 黒髪の美少女の方はこちらを知っている。
 それに感付かれないように、男用の更衣室に入る。

 〜ユリ&カトリアside〜

「……」
 まさか気付いていないとでも思っているのだろうか。
 たった一人で国一つの軍事力に匹敵するだけの力を持つ、エンペラークラスのハンターであるカトリアは、後ろから付けていた二人組のハンターに気付いていた。
 湯浴着を少しきつく締めて、ユリがちゃんと湯浴着を身に付けたのを確認してから、唐突に出入口の扉を開いた。
 当然、そこには例の二人組が待ってましたとばかり身構えて、止まった。
「あなた達?何をしようとしていたのかしら?今なら見逃してあげれるけど……?」
 カトリアの後ろから鬼のような怒気が漂う。
「カトリアさん、どうしたんですか……あっ!?」
 ユリも出入口に近付いて、その二人組と目を合わせる。
 昼間の暴漢だ。
「カ、カトリアさん、この人たち……」
 ユリはカトリアの背中に隠れる。
 カトリアはそんなユリを一瞥すると、その蒼の眼を刃物のように尖らせる。
「ユリちゃんに、何をしたのかな?」
「お、俺達はまだ何も……」
 弱気になっているもう一人の男。
「強がってりゃビビると思ってんじゃねぇ!」
 暴漢を貫き通そうとする方は、カトリアに飛びかかる。
 その汚い手がカトリアの身体に触れる寸前、その手は本来曲がらない方向へ曲がった。
「ぉっ、がっ……!」
「えっちなこと、考えたんだね……!」
 カトリアはその手を先に掴み、変な方向へ曲げていた。
「こっ、の……」
 すかさずもう片方の手を伸ばす暴漢。
 だが、既に目の前にカトリアは消えていた。
 彼の視界に移っているのは、床だからだ。
「ユリちゃん、見ちゃだめだよ?」
 カトリアはとてもいい笑顔をしている。
 ……が、目は一切笑っておらず、まるでモンスターと対峙するハンターのような殺意に満ちていた。
 カトリアは床に叩き付けた暴漢を見下ろし、片手で後頭部を掴みあげる。
 カトリアより何回りも大きい図体が足を浮かせている。
「あがっ、ぎっ、ぉあぁぁ、や、やめてくれぇぇ……!」
「うん、やめてあげるよ」
 カトリアはその暴漢を放り出した。
 その放り出した所は、集会浴場のド真ん中。
 数人の他のハンターが、その様子を見ている。
 そしてカトリアは言い放った。
「痴漢です!!」
 その瞬間、回りにいた他のハンター達は瞬く間に取り囲む。

 数分の後、暴漢二人は通報され、ギルドナイトによって御用となった。
「ユリちゃん、大丈夫だった?何もされなかった?」
 もうカトリアはいつもの優しい団長に戻っている。
 この時ユリはこう思っていた。
 やっぱりカトリアさんも普通じゃない、と。