Re: 小説を書きたいひとはここへ!( No.157 )
  • 日時: 2013/10/03 22:01
  • 名前: シンラ (ID: ZxQdJ8RU)

                            第4話「旅立ち」
気がつくと、クルトはベットで寝かされていた。
「ここは・・・・・・・レイの家?」
「やっと目ぇさめたか、この馬鹿。」
答えたのはレイと呼ばれる青年だった。武器はバベル、防具は蒼火竜の素材でできたリオソウルと呼ばれる防具だった。どちらもクルトには手の届かない上位ハンターの装備だった。
「馬鹿とはなんだ!」
「馬鹿を馬鹿と言って何が悪い。」
「ふざけんな!!」
「それだけ叫ぶ元気があれば、怪我はほとんど治ったかのう。」
今にもレイに殴りかかりそうなクルトを村長が一声で収めた。
「村長、居たのかよ・・・・・・・・ってそうだ!ジンオウガは!?」
「安心せい。ジンオウガはレイが討伐した。後、クルペッコもな。それにお前さんをここまで運んできたのもレイなんじゃぞ。」
「うっ」
クルトはジンオウガに叩きのめされた。しかしレイは、楽に狩ったかどうかは知らないが、少なくとも、ジンオウガを一人で狩猟するだけの力がある。その事実がクルトに重くのしかかった。
無理もない。クルトは下位ハンター。レイは上位ハンターなのだ。そのことにも、クルトは苦しめられる。
「・・・・・・・・・村長・・・・・・・・・・・・。」
「何じゃ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・すまなかった・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
クルトの口から出る言葉はそれでせいいっぱいだった。しかし村長は、
「がっははははは!!!なに、そう気を落とさんでもいいわい。お前さんが無事だっただけで十分じゃ!!のう、レイ。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
レイは黙っていたが、微かにうなずいたのを村長は見ていた。そして、
「のう、クルトや。」
「?」
「お前さん、しばらくここを離れてみてはどうじゃ?」
「なんだ?やっぱり弱っちいハンターはこの村にいらないってか?」
クルトは心情とは裏腹に、笑いながら答えた。しかし、
「そうではない。ここは街からも遠く、クエストの数も少ない。いっぺん修行と気分転換のためにどうじゃ、といっておるのだ。」
「・・・・・・・・・・」
「それに、お前さん、悔しいんじゃろ?ジンオウガにやられたことと、レイにまた助けられたことが。」
「わかるのか?」
「お前さんのことなど、手に取るようにわかるわい。何年お前さんを見てるとおもってるんじゃ。」
「でも、村はいいのか?俺以外に村にハンターは居ないだろ?」
「それなら、レイが居てくれることになってな。」
「マジかよ!」
「実はこの話を持ちかけたのはレイなんじゃ。あいつがすでにいろいろ手配してくれとるらしくてのう。後はお前さんの返事だけじゃ。」
クルトは驚いた。子供のころ、喧嘩ばっかりしていたレイが自分のために何かするなんて、考えてもいなかった。当のレイは壁にもたれかかっていたが、不意に口を開き、
「お前があまりにも情けない姿だったから、仕方なく、だが。」
「で、どうなんじゃ、クルト?」
クルトはしばらく考えていたが、
「・・・・・・・・・・分かった。ただ、次帰ってくるときは俺も上位ハンターになってるからな!」
「がっはははは!!頼もしいわい!それじゃ、さっさと身支度せい。3日後には船が来るぞ。」
「早!それに手配してるんだったら、目的地も決まっているんだろ?どこなんだ?」
「ああ、それなら、」
村長が言おうとした言葉をレイがさえぎりこういった。
「タンジアの港だ。」
「ああ、確かレイもそこにいたんだったな。どうりで手配が早いはずだ。よし。じゃあ荷物の整理してくるぜ!」
そういうと、クルトはベットから跳ね起きると、自分の家にかえってしまった。」
「はは、威勢がいいわい。・・・・・・・・・・・・・・それより・・・・・・・・・・・・・レイ、古龍がこの村の下にいると言うのは本当か?」
「厳密には分からないが、確かにこの村の近くの海に奴はいる。」
「奴とは?」
レイはしばらく黙ったあと、こう言い放った。
「ナバルデウス亜種だ。」




そして3日後、クルトの迎えの船が来た。
「じゃあみんな、行ってくるぜ!」
クルトの目は期待と未知への憧れでかがやいていた。