Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ!トリップ付けるの推奨( No.680 )
  • 日時: 2014/03/25 11:52
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: MxCRRdct)

 モンスターハンター 〜輪廻の唄〜 

 六章 その刃に闘志を乗せて

「ォワオォォォォォォォォォン!」
 ドスジャギィはその場で立ち止まって天を仰いで吠えると、追従していた配下のジャギィ達は瞬く間に陣形を組み、まっすぐにアストとセージに突撃してくる。
 セージはアストに怒鳴りながらラギアネコアンカーを構え直した。
「エリア5に急げニャッ!お前にこいつは無茶ニャッ!」
 アストは目の前のドスジャギィの存在に混乱しかけていたが、セージの怒鳴りで我に返り、恥も外聞もなくエリア5の坂道を駆け上がる。
 セージもそれを確認すると、先頭のジャギィを切り捨て様に反転し、アストの逃げたエリア5へ駆ける。
 この先は入り組んだ道になっており、モンスターが入ってくるには飛行手段が強いられる。ドスジャギィは地を歩くモンスター故に、ここまでは追ってこれない。

 エリア5。
 ここは飛竜種の巣になっているが、今の遺跡平原に飛竜は目撃されていおらず、中央にある巣に卵はない。
 アストは息を切らしながらどうにか登りきる。
「はぁっ、はぁっ……何だよ、ドスジャギィがいるとか聞いてないっての……!」
 だらしなく地面に座り込むと、水筒を取り出して水を一口飲んだ。
 一歩遅れて、セージも到着する。ちなみに、息一つ切らしていない。
「だからカトリアの言った通りだニャ。狩り場では何が起こるか分からんとニャ」
 セージはアストに諭すように言ってやる。
「そういうことかよ……」
 水を飲んで少しは落ち着いたのか、アストは冷静に息を吐いた。
「しかし、安心してばかりもいられんニャ。獲物がいると分かったドスジャギィは狡猾ニャ。恐らく、すぐにでも部隊を作り上げて、オレ達の逃げ場を潰してくるニャ」
 セージは冷静に状況を予測する。
 ここから繋がるエリアは、先程のエリア6と、ここのすぐ直下、エリア7だ。
 エリア7は、ドスジャギィ達鳥竜種の巣だ。ドスジャギィが統率している今のジャギィ達は、数も質も万全だろう。まともに押し掛ければあっという間に袋叩きに遭う。
 ではエリア6からなら、と考えるのも微妙だ。ドスジャギィ本体がまだそこにいるかもしれないのだ。
 だか、まだ体勢が整っていない今ならどうにか振り切れる可能性もあるが、かなり危険を伴うのは変わりない。
「逃げるにしても、どちらを下りても危険だニャ。どうしたもんかニャ……」
 セージが頭を悩ませている側で、アストはハンターナイフに砥石を当てていた。
「やるしかないだろ」
 アストが布切れでサッと刀身を拭くとハンターナイフの輝きが戻る。
 セージはアストを横目で見やる。
「本気かニャ?ドスジャギィはジャギィほど簡単な相手じゃニャいニャ。オレが大丈夫でも、お前が……」
「セージは大丈夫なんだろ?じゃあ俺も大丈夫だ」
 アストは何の根拠もなくそんなことを言い放つ。
 ハンターナイフを腰に戻して、今度はポーチから携帯食料を取り出し、封を切ると一気に頬張る。
「アホゥ。大型モンスター相手に、お前を守れるほどオレに余裕はニャい。それに、準備だって大型モンスターにそニャえた物はニャい……真っ向からヤツを仕留めるつもりかニャ?」
「おぉ、ほうはへほ?」
 おう、そうだけど?と言おうとするアスト。
 よく噛んでから呑み込む。あまり美味でもない味だ。
「っても、俺一人じゃ無理だ。だから頼りにしてるぜ、セージ」
 アストの真っ直ぐな赤い瞳が、セージの瞳と合う。
 セージはそんなアストを驚いたように目を見開いて見ていた。
 そして、フッと笑った。
「ニャハッハッ……お前ほどのバカは、これで二人めだニャ」
 ラギアネコトリコーンを被り直し、ラギアネコアンカーを軽く振った。
「よーし分かったニャ。オレは頭の悪い奴は嫌いだが、バカは嫌いじゃニャい」
 セージはアストの瞳と正面から向き合う。
「ただしニャ。逃げるときは躊躇いなく逃げるニャ。それだけは絶対守れニャ。いいニャ?」
「おうよ!」
 アストとセージは互いに拳をぶつけ合わせると、ドスジャギィがいるだろうエリア6へ向かった。

 エリア6には、やはりドスジャギィとジャギィの群れがいた。
「グォッ、グォッ、グォアァァァァッ」
 ドスジャギィは戦闘体勢に入り、威嚇する。
「訓練通りなら……!」
 アストは坂道を駆け下り、その崖から跳んだ。
 腰に手を伸ばし、ハンターナイフを抜き放った。
「先手必勝ぉぉぉぉぉっ!!」
 目下には、ドスジャギィ。
 アストは飛び降りながら、そのハンターナイフの切っ先を振りかぶった。
 その研ぎ澄ましたハンターナイフの刃は、確実にドスジャギィの背中を捉えた。
「ギャオォウゥンッ!?」
 不意の高所からの攻撃に、ドスジャギィは怯み、横倒しになってしまう。
「おっしゃあぁっ」
 着地したアストはすぐさまハンターナイフを納めると、体勢を戻そうとしたドスジャギィの背中に飛び乗った。
「グォオウォッ!?グォアァァァァッ!」
 ドスジャギィは自分の背中に取り付いた小賢しい人間を振り払おうと身体を暴れさせる。
「ぐぁっ、このッ、暴れんじゃっ、ねぇっ!」
 アストはドスジャギィの肉を握り潰すかのようにしがみつき、ドスジャギィの背中から離れない。
 それを確認してか、セージも現れる。
「いいぞっ、そのまま掴み続けるニャ!」
 セージはラギアネコアンカーを抜き放つと、配下のジャギィ達のど真ん中へ突入する。
「邪魔させんニャ!」
 ラギアネコアンカーが縦横無尽にジャギィ達を斬り裂き、蒼白の稲光が軌跡を描く。
「ギャアゥンッ!?」
「クアァァッ!?」
 セージの鮮やかな錨さばき(?)にジャギィ達は次々と倒れていく。
「クァッオゥッ!」
 一頭のジャギィがセージを尻尾で打ち据えようとするが、身体の小さなアイルーには当たらない。
「りゃニャアァァァァッ!」
 セージは尻尾をやりすごすや否やそこで飛び上がり、ジャギィの頭を踏み蹴るように脚を付き出す。
 頭を踏み蹴られたジャギィは、頭から地面に叩き付けられ、そこで動かなくなってしまう。
「雑魚は片付けたニャッ、アスト!」
「任せろぉっ!」
 ドスジャギィは必死に暴れたためか、息を切らしており、その場で棒立ちになっている。
 それを見計らって、アストはポケットのシースから、剥ぎ取り専用ナイフを抜き放った。