Re: モンハン小説を書きたいひとはここへ!トリップ付けるの推奨( No.921 )
  • 日時: 2014/04/11 10:52
  • 名前: ダブルサクライザー ◆4PNYZHmIeM (ID: gyb6IpjF)

 モンスターハンター 〜輪廻の唄〜

 二十二章 怪力の赤鬼

 エリア1。
 ここは比較的安全なエリアなのか、アプノトス達が静かに草を食んでいた。
「セージ、テツカブラってどんなモンスターなんだ?」
 アストは歴戦の猛者であるセージに今回のターゲット、テツカブラについて訊いてみる。
 セージな一思案してから、アストに答える。
「鬼蛙テツカブラ。近年発見された両生種に当たるモンスターニャ。ヤツの最大の特徴とも言える、二本の大きな牙は高い攻撃力を持つばかりか、強靭な顎の力を活かして、ドスジャギィよりも大きな岩を担ぎ上げるニャ。ハッキリ言って、正面から立ち回るのは自殺行為ニャ」
「なんか、聞くだけですっげぇ強そうなんだけど」
 アストの中では早くも諦めが頭を過った。
「確かに一撃は重いニャ。その代わり、隙は大きいニャ。馴れてくれば、その辺の大型モンスター辺りも楽勝ニャ」
「そうなのか?」
「百聞は一見に如かずって知ってるかニャ?あれこれオレが口出しするより、実際にヤツを見て、痛い目に遭う方が経験になるニャ」
「で、出来れば痛い目に遭いたくはないかな……?」
 いつもの会話のように、それでも狩り場での警戒はしながら、アストとセージはエリア2へ進んでいく。

 エリア2。
 狭い洞窟になっており、立ち回るに十分な広さがない。
 出来ればここでテツカブラと戦うのは避けたい。
「「「ギャアァ、ギャアァ」」」
 前方から、洞窟にいる黄土色をしたランポスに似た小型の鳥竜の群れが威嚇してくる。
「ランポス?いや、近種か?」
 アストはコマンドダガーを抜き放った。
「ゲネポスニャ。ヤツらの牙には強力な神経性の麻痺毒が仕込まれているニャ。喰らうニャよ」
 セージもラギアネコアンカーを抜き放つ。
 ゲネポス達も戦闘体勢に移る……が、不意に攻撃の意志を捨てて逃げ出した。
「?」
 アストはコマンドダガーは握ったままで、逃げていったゲネポス達を見送っていた。
 どこか、既視感を覚えた。
 小型モンスター達が不意に様子を変えた時。
 アストはその場から駆け出し、壁を背中にした。
「セージッ!」
「分かってきたじゃニャいか」
 突如、エリア2の中央から砂埃が立ち上ぼり、地面を砕きながらその巨体は現れた。
 赤い甲殻、扁平な身体に短い四本の脚、そして、セージが言っていたような二本の大きな牙。
「こいつか……」
 アストは唾を飲み込み、まずはペイントボールを手元まで持ってくる。
 テツカブラも縄張りに侵入者が入ってきたと思ったのか、敵意をアストとセージに向ける。
 アストの右手にペイントボールが握られ、それを投げ付けた。
 テツカブラの背中にペイントの実の汁が飛び散り、ベッタリとそこをピンク色に染めた。
 臭いものをぶつけられたテツカブラは、それを攻撃だと認めて、敵意の中に殺意を滲ませた。
「ヴオォォォォォォォォォォォッ!!」
 洞窟を揺るがすような咆哮がテツカブラから放たれた。
「うっ、おぉっ!?」
 あまりの大音響にアストは思わず耳を塞いでその場で足を止めてしまう。
 セージも耳を塞いでいるが、アストよりは冷静だ。
 ようやくアストとセージが動き始めようとするとき、既にテツカブラは動いている。
「ヴゥオォォォォ」
 テツカブラはその二本の大牙を地面に突き刺すと、それをシャベルのようにして地面をくりぬき、巨岩としてくわえる。
「さ、早速かよっ!」
 頭部のの力だけであそこまで支えるのだ。
「ヴオォッ!」
 テツカブラはその巨岩をくわえたまま、大きく飛び上がった。
「っ!?」
 セージは咄嗟に後ろ後方へ下がる。
 アストもそれに習うように後方へ飛び下がる。
 直後、テツカブラの全身を乗せて地面にのしかかった。
 もしもあれに踏み潰されなのら、まず助からないだろう。
「ったく、脅かしやがって……」
 少しは軽口を叩けるだけの余裕を持ち始めたアストは、コマンドダガーを構え直す。
「今度はこっちの番だ!」
 アストはテツカブラに向かって駆け出した。